ザ・グレート・展開予測ショー

魔人Y−10


投稿者名:NAVA
投稿日時:(02/12/ 1)




 横島は今、ガラス張りの部屋の中で瞑想を行っていた。

 『当面の実験は横島君自身の把握になります。血液検査に始まり、身体能力、霊力など、様々な角度からのデータ取りです』

 と言われて、現在、霊力の測定をしているわけだが暇だ。
 
 ガラス張りの向こうにはわけのわからない機器が並び、研究者達が真剣な表情で画面と睨めっこしている。

 ヤマサキはいつも通りにニコニコしているが。


 ――――――――『普段どおりにリラックスしてやれ』なんて言われても、霊力の上げ下げは何となくやってるだけでこういう状況じゃあなぁ・・・。


 ほとほと困り果てているところにヤマサキから連絡が入った。

 「いや〜、横島君。やっぱり君の霊力を上げるにはこれしかないみたいだね〜♪」

 「ん?」

 言われて目線を上げる。

 何故か女性研究員がガラス越しで目前に一列になって並んでいる。

 みんなモジモジしたり、お互いに顔を見合わせたりしている。

 「さぁ、みなさん♪人類の発展のため!魔法科学の発展のためです!」

 ヤマサキが言う。




 「お・・・おおおおおおおおおおおおおっ!!!!!!」




 その瞬間、横島の身体から凄まじいとしか形容出来ないほどの霊力が迸る。

 もしもの時のために、特別に厚く作られたガラスがビリビリ振動するほどだ。

 目前では、一斉に白衣を脱いだうら若い女性から脂の乗っている熟女までが『最大限まで露出したビキニ』でこちらを誘うようにセクシーポーズを取っていた。

 「はっはっはっはっは〜。いやぁ〜、凄まじい霊圧ですよ〜。これでやっとデータ取りが出来ますね〜♪」

 データ取りが進むのと合法的にセクハラが出来てヤマサキご満悦。

 と、そこに別セクションの研究者の一人がヤマサキに耳打ちした。

 「ヤマサキ博士。ちょっとご報告したいことが・・・」

 「ん〜?今すぐかい?これから面白いところなんだけどな〜?」

 「緊急を要することです」

 「はいは〜い♪」

 じゃ、ちょっとここはお願いするね。そう言ってヤマサキは部屋を出た。

 「先日言われた通り、献体の体組織を培養していたのですが・・・」

 「何か問題でも起きたのかい?」

 「はい。実は異常な速度で細胞分裂が進んでいるんです」

 「へぇ〜?興味深いね〜。どのくらいの速度だい?」

 「このままの速度でいきますと・・・2〜3ヶ月でクローン体として熟成してしまうかと」

 「おいおい。成長促進は命じておいたけど、そこまで急いだらボロボロになっちゃうじゃないか。困るよ〜?使えないクローンなんてさ〜」

 「いえ、我々はまだ手を加えてないのです。それに・・・」

 「まだ何かあるのかい?」

 「猛烈な勢いで遺伝子情報が書き換わっています。まるで自分の意思を持っているかのように」

 「解析はしてるんだろうね?」

 「はい。現在、調べて分かってることなんですが・・・染色体がXX(ダブルエックス)へ変化しました」

 「女になった?横島君の染色体は確実に男のXY(エックスワイ)だったじゃないか」

 「ええ、そしてその・・・。既に独自の霊波パターンを持ち始めていまして。そのパターンを測ってみたところ、現在、データベースに乗っているどのパターンとも一致しません。献体本人のモノともです」

 「全く別の新しい生命体が誕生しちゃいそうってわけかい?」

 「ええ。ただ、妙なことがあるんです。献体者本人、べスパ、パピリオ、アシュタロスの霊波パターンに全くの別人とは思えないほど類似性が見られるんです」

 
 ――――――――横島君とアシュタロス、その眷属のべスパ・パピリオにそっくりの霊波パターンでXX染色体ねぇ・・・。

 
 「いたねぇ〜?その条件を満たしそうな女性が♪」

 思わず顔が綻ぶ。

 横島本人が使えなくなった場合を考え、実験用にクローンを培養してみたら思ってもみなかった成果が出たようだ。

 「りょうか〜い。今から見に行きましょ♪」


 移動しつつも、


 『想像通りだとしたら、横島君はどんな実験でも断れないようになるかも知れないね〜♪』


 「んっふふ〜ん♪」

 鼻歌交じりでご機嫌なヤマサキだった。






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基本的に文系なんで、クローン云々でおかしいところがあるかも知れないことをお詫びします。

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