ザ・グレート・展開予測ショー

温かい想い(その19)


投稿者名:ユタ
投稿日時:(02/11/30)

誰もいなくなった静寂の樹海でお互いの温かさを確認するように抱きしめあう二人・・・・・・・


「ルシオラ・・・俺は・・」

少し離れると、今にも泣きそうな顔で横島は俯いた

「ヨコシマ・・・」

ルシオラは顔を伏せる横島の右手を握ると自分の右頬に添えた
温かい・・・柔らかい感触が横島の手のひらに広がっていく・・・これは本当に思念体なのだろうか・・・
いや、そんなことはもうどうでもよかったのかもしれない

(ああ・・・・ルシオラだ・・・俺は・・・俺は・・・こんなにも・・・)

ルシオラのことを忘れていたんだ・・・・と心でつぶやいた。
まるで何かを確認するかのようにルシオラの頬を撫で続ける横島・・・
ルシオラの残留思念を見たとき激しく動揺した・・・例え感情がなくとも、操られていても・・・・
思い出というのは総じて美化されていることが多い・・・だが、とんでもない
自分はこんなにも忘れていたんだ・・・・ルシオラの温かさ・・柔らかさ・・・そして笑顔を・・・

(それなのに・・・・俺は・・・・)

「俺は・・・・・・・・」

「もし・・・「ルシオラを見殺しにした」なんて、こと言うならパロスペシャルかますわよ・・」

「へ!?(ぱ、パロ!?知ってる人いるんかなぁ〜・汗)」

ちょっと語調の強めたルシオラの言葉に横島の目が丸くなった。
ルシオラは「はぁ〜」と一つタメ息をつくと・・・・

「ったく!ちょっと座りなさい!」

ピっと人差し指で地面を指差した。

「な、何で!?」

「ルシオラ姉さんの説教タイム!」

「なんか・・キャラ変わってない?(姉さん・・・って・汗)」

「いいから!」

後頭部に大きな汗を一つかく横島を、強引に座らせるルシオラ

「わ、わかったよ」

戸惑いながら、ルシオラに指示され正座する横島

「別に足崩してもいいわよ」

「あ、ああ」

ルシオラも横島の右隣に腰をおろした。

「いい?・・・ヨコシマは私を見殺しにしたとか、見捨てたとか思ってるみたいだけど・・・・・・全然!そんなことないんだから!」

「で、でも・・・・」

ルシオラは真剣な表情で横島を見つめるが、罪悪感から横島はその顔をまともに見ることが出来なかった。

「本人がそう言ってるのに・・なんでごねるのよ・・・」

「それは・・・」

相変わらずやりきれない表情で俯く横島。そんな横島を見ながらルシオラは静かに目蓋を閉じた
そして・・・・そっと語り始めた・・・・・・・

「私は・・・ヨコシマと会ってから・・・・

 多くのもの愛し、

         多くのものを憎み・・

                 何かを傷つけ、
                    
                           何かに傷つけられ・・・         
                       
それでも一生懸命生きた・・
 
 アシュ様の部下で終わるはずの一生じゃ、決して得られないもの、感じられないものを経験することが出来た・・・・・」

ルシオラは静かに目を開けると、自分の右手を胸に当てた。

「それが私の誇り・・・・・・こうして、幸せな気持ちでいられるのも・・・・・全部ヨコシマのおかげなのよ」

「ルシオラ・・」

「だから・・・後悔なんてしないで・・・いつも、私の大好きなヨコシマでいて・・・ね?」

「いつもの俺・・・」

「うん、スケベでバカで、おちゃらけてて、いつもドジばっかり踏んで・・・」

「え、えらい言われようやなぁ〜(汗)」

「でも・・・本当はやさしくて、頼りがいがあって、いざって時は助けてくれて・・・私の大切な人・・・それがヨコシマなんだから!」

「・・・・・ルシオラ・・・・・・・」

ルシオラの微笑みに同調するように、横島も笑みをもらす・・・
全て解決したわけじゃない・・・それでも今まで胸にあった重りが軽くなったような気がした・・・・

「そうだよな・・・お前の言うとおりだな・・・もっとこう明るくなくちゃ俺らしくなよな!」

「うん」と満面の笑顔でルシオラは頷いた・・・・・だが・・・
その笑顔を消し、体操座りをすると少し顔を伏せながら横島に聞いてみた。

「・・・・・・・・・・・・・・・・あのね・・・・聞きたいことがあるんだけど・・・その・・・いま・・ヨコシマの好きなひ」

言葉を続けながら横島のほうへ振り向くルシオラ・・・その瞬間

「ルシオラ──────っ!!!!」
「きゃ────────────っ!!!!」

いきなり口唇を突き出す横島をさっとかわすルシオラ!
そのおかげで、地面に顔面をこすりながら横島が滑っていく。

「いきなり何すんのよおおぉ!!」

横島のいきなりの行動にゼーゼーと息しながら叫ぶルシオラ。

「なにって・・・・チウ・・・・」

血と涙をダラダラ流しながら、横島は答えた。・・・その答えにもういろんな感情が混ざって怒鳴るルシオラ。

「流れを読めって生前から言ってるでしょーがぁぁっ!!!」
「精一杯読んだのにーーー!!!(泣)」
「もっとこう、肩を寄せるとかリードとかあるでしょう!!?それに人が話してる最中でしょーーー!?」
「そんなん俺の恋愛経験で分かるかーーーーー!!!!
 うわ────────────ん!やっぱり俺は「ガー!」って迫って!「キャー!」って殴られるキャラなんやーー!!」

逆ギレしながら、地面に頭突きを繰り出し続ける横島に、ルシオラは「ふ〜」とタメ息をついて、寄り添った。

「ったくぅ・・・そんなわけないでしょ・・・・・」



ルシオラは横島のアゴ掴んでを軽く自分の顔に向けると

チュッ

口唇が触れるだけの軽いキスをした

「ルシオラ・・」

「なによ・・・」

少し顔を赤らめながらルシオラは聞いてみた。

「その、もう一度してもいい・・・?」

ルシオラは少しだけ驚きの瞳を浮かべるが、すぐにクスっと微笑んだ・・・・

「・・・・・・・・・・・・・バカ・・・そういうのは女に聞くもんじゃないわよ」

ルシオラがそっと目蓋を閉じる。
両者の心臓が高鳴る・・・・お互い自分の心音が聴こえてしまうのでは・・・と思うほどに

「・・・・んっ」

ルシオラの口唇に温かい感触が触れる・・・それと同時に甘い吐息がもれた・・
さっきよりも永い永い口づけ・・・・一秒が一分・・一時間・・・永遠にでも続くのかと思った・・・いや続いて欲しかった

「・・・・・・あっ・・・」

ゆっくりと名残惜しそうに離れる二人・・・その顔は紅葉のように赤く上気している

「ヨコシマ・・・・」

まだ夢ごごちのような気持ちで愛しい人の名を呼ぶルシオラ・・・・そしてその愛しい人は

「ル、ルシオラ────────────っ!!!!!!!」

「きゃあぁぁぁぁ!!ちょ、ちょっと!!!?」

「俺は俺は!もーーー!!」

なぜか、服を脱ぎだしルシオラを押し倒す横島。
ルシオラもまんざらではない様子・・・・

「ちょっ・・・こんなとこで・・・駄目・・・あん・・・・・・・だから・・・ヨコシマ・・・・んっ」

このまま!このままいくのか!?横島・・・・・・・・・・・だが・・・・・・・・

「だから・・・んっ・・・だ、ダメぇ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・駄目っていってるでしょ!!?このヤドロク────────────っ!!!」



ズガシャアアアアアアアアアアっ!!!!



ルシオラのアッパーが横島のアゴを捉(とら)える。
そこは見えない壁・・・・・・・・・・少年誌の壁がその後の展開を許さなかった・・・・・

「いってぇぇ!!違うんやあぁぁ!!若さゆえの大暴走なんやああぁぁぁぁ!!!(大泣)」

「ったく・・・・ヨコシマらしいって言えばヨコシマらしいけど・・・・・・」

アゴを押さえながら涙をダーと流す横島。その光景にルシオラは「もう〜」と言いながら、ただタメ息をもらすだけだった。

「ゴメンね・・・」

「あん?こんなもん、いつも美神さんに・・・」

「そうじゃなくて!」

「んじゃ、何が?」


カチャカチャとベルトを締めながら、横島が不思議そうな表情で聞いてみた。

「私・・・・ソウトに吸収されるときに、思念の一部を残したの・・・・でも、それもソウトの妨害念波で消されちゃって・・・
 もう少し・・・・私が頑張れば横島達にこんな思いさせなくてもよかったのに・・・・・本当にゴメンなさい」

「バーカ」

「え?」

「そんなん気にすんなよ・・・・・・・・・・このくらい、
 いつもの事!もっとキツいことなんていくらでもあるんだからさ」

「ヨコシマ・・・・・・・ありがと」

ルシオラは少し感動の涙を流し横島の肩に顔を預ける・・・穏やかな表情で・・・・
横島は少し照れながらそうと・・・ルシオラの肩に手を置いた・・・・

「ねぇ・・・・ヨコシマ・・・」

5秒ほどして、静かにルシオラが口を開いた。

「ん?」

「お話して・・・・」

「話?」

「うん・・・・・あれからのこと・・・・いろいろあったんでしょ?」

「え?今って霊基構造の記憶と呼応してるから全部知ってるんじゃないの?」

「もう!・・・・私はヨコシマの口から聞きたいの・・・・・・・・・・・」

少しだけ頬を膨らませるルシオラ・・・そんな表情ですら横島は「可愛いな」と心で囁いた

「ああ・・・・・・・・・・・・・そうだな・・・・・・・・・・・・・
 そんじゃ、アシュタロス事件の後からな・・・・・あの後すぐに美神さんの妹が生まれてさ」

「へー!」

「それがかわいいの何のって・・・・でも、何とそれがパイロキネシストだと判ってもう大変」

「さすが美神さんの妹・・・一筋縄じゃいかなわけね」

「それで・・・・」

「うん・・・・・」

横島は話し続けた・・・・・ひのめの誕生から、ドッペルゲンガーに取ってかわられたこと、ユニコーンを捕獲しようとしたり、
懐かしい幼馴染に会ったり、タマモと出会ってGメンの事件に巻き込まれたこと
バチカンの牢屋に閉じ込められたこと、織姫に騙されて(?)一緒に逃亡したり、
おキヌの臨海学校について行ってえらい目にあったこと・・・・美神監修のアトラクションのこと・・・
自分が幽霊になった夢・・・・・・・・・・・・・・全て

その全てにルシオラは新鮮な話題のように聞き入った・・・あるときは笑い、あるときは怒り、あるときは顔をしかめ
苦笑いし・・・・それでもずっと幸せな笑みを浮かべ頷いた・・・・

横島とルシオラの語らいが終わる頃・・・・・すでに太陽は西に沈もうとしていた・・・










その19(B)に続く
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あとがき

調子にのって、三日連続の投稿です(汗)
おそらく今まで一番力を入れた回だと思います・・・
今回も二つにわけるので、票とコメントは(B)のほうへお願いしますm(__)m




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