ザ・グレート・展開予測ショー

The Buttle Of サウナin星乃湯!!〜もしくは我慢比べ〜コンタクト26番外編


投稿者名:ライス
投稿日時:(02/11/30)


 涼が天沼ゆかりの通う学校に再び調べに行った後の星乃湯………………のサウナ。


――ポタッ、ポタッ……。高気温高気圧のサウナの床にしたたり落ちる汗……。サウナにいるのは、ユウリ、ワネット、それにたこ型?のじい。カナタは涼が出た後、我慢できずにサウナから出ている。

「………………」

 カナタが出てから30分……。二人と一匹?は何も喋らないまま、ただじっと汗が自分の身体から流れ落ちるのを見ていた……。カナタはというと、セイリュートが涼の危険信号をキャッチしたため、学校へと向かっていた。


















 一時間後……。まだ誰もサウナから出ようとはしない。するとユウリがじいに……、

「……じい。」

「? なんでしょうか、ユウリ様……。」

 二人とも汗だくになって、ハァハァ言いながら受け答えた。

「あなたは宙に浮かんでて、卑怯ではありませんか?私達のようにここに座って正々堂々と勝負をすべきです。それが騎士道精神というものではありませんか?」

「そうですワ、じい。」

 ワネットも同意する。するとじいは……、

「むぅ、確かにユウリ様の言う通り……。このワシも老いたとは言え、ナ・リタ国の騎士。…判りました。では、僭越ながら…。」

 じいは腰掛けられるよう、その手とも足とも見分けのつかぬ触手?を出し、ユウリの隣に座ろうとする……。が、しかし腰掛けた次の瞬間!

 ジュワワワワワァァ〜〜〜〜ッ!!

「ギャアァァァァ〜〜ッ!?すっ、水分がぁぁぁぁぁ〜〜っ!?」

 じいの身体から水蒸気が吹き出す。どうやら、じいには高温過ぎたようだ……。

「こ、これではスルメになってしまうぅぅぅ!?い、急いで水分を補給しなくてはぁぁぁ!?」

 そう言って、じいは脱兎の如くサウナから飛び出す。その様子を見て、ユウリとワネットの二人は、邪悪な笑みを浮かべ………、

「ニヤリ。『これであと一人だわ(ですワ)』!!」

 ………どうやら二人とも計算尽くの行動だったようである。そして闘いは続く……。

 その頃、ゆかりの学校ではブ・タイ星の原生生物、エクースがカナタに襲いかかろうとしていた。










 一時間三十分経過………。















 二時間経過………。















 そして二時間三十分が経過した。まだ二人は出ようとしない。タオルは汗でぐっしょりして二人の身体のラインをハッキリを表していた。二人は声も出ないほどになっていたが、女の意地が邪魔をするのだろうか、二人とも一向に出る気配がない。するとしびれを切らし、ワネットが………、

「ハァハァ……。ユ、ユウリお姉さま、そろそろ出てはいかが?」

「ア、アラ、ワネットちゃんこそ出たらどう?(ハフゥ〜……)」

 どちらも一歩も引かない。しかしワネットが追い打ちを懸けるように再び口を出す。

「……………あんまり痩せると、ムネだけ出っ張った骨と皮だけの身体になりますワよ?」

「(ピク…)そ、それだったら、ワネットちゃんこそムネのない分、それでこそ骨と皮だけに……」

「い、言いましたワネ?ユウリお姉さまは元々スタイルが良いからこれ以上痩せる必要はない、とご忠告をして上げているだけですのに……。それにあたくしのムネには未来がありますワ!ユウリお姉さまみたいに終わってはいませんワよ!?」

「………………あんまり成長してるようには見えないけど…………?」

――プッツン。

 その時、なにかが切れる音がした。そしてサウナには険悪なムードが立ちこめる。
 ちょうどその時、カナタと涼とセイリュートの三人がゆかりの学校から戻ってきた。それをコーヒー牛乳を無断でガブ飲みしていたじいが出迎えた。

「あっ、カナタ様、リョウ殿、お帰りなさいませ。で、どうでしたか?ガード・ロイヤルの方は…。」

【うむ、危険地球外放置生物駆除で5697ポイントだ】

 セイリュートがじいの問いに答えた。しかしカナタ達の表情はガックリしている。どういうことかというと、ガード・ロイヤルと直接関係のない人物が手助けをしたのでポイントは半減とのこと。「そいうこともありますよ。」とじい。慰められたカナタは辺りを見回すと、じいに聞いた。

「アネウエとワネットはどうしたカナ?」

「えと……、それがまだサウナに………。」

「ナニ?まだ入ってるのか?もう三時間たつぞ!?大丈夫か、アイツら?」

 涼がそれを聞いて驚く。

「なんで止めようとしなかったんだ!?」

「いや、止めようとはしたんじゃが……、異様な雰囲気が立ちこめていて……」

「バカヤロウ!!そんなこと行ってる場合じゃねぇだろ!!早く出してやらないとその内、脱水症状を起こすぞ!?」

 涼は急いでサウナのドアを開ける。すると中では汗でびしょびしょの二人が座っていた。

「オ、オイ、大丈夫か!?」

「何です(の)!!」

「ワ、ワァ!?ス、スマン!?」

 二人に声をかけた涼であったが、二人の鬼気迫る気迫に気圧されて、慌ててドアを閉めた。

「な、何なんだ、アイツら………!!オレがケンカする時並みに殺気だってるぞ!?」

「だから言ったじゃろう?異様な雰囲気が出とると……。」

「こりゃぁ、どっちかがノびるまで手が出せないな……。」

「絶対に(お姉さま/ワネットちゃんには)負けられないわ(ワ)!!」

 その決着は思ったほど長くはならなかった。十分後に二人とも同時に倒れたからだ。時間は既に日付を変えていた。二人とも湯当たり(というかサウナ当たり)をして、寝込んでしまった。おかげでその夜の銭湯の仕込みは熾烈を極めたのは言うまでもない。

 で、その次の日……。

「オレはもうあの時代を生きたからな。もう一度はムリさ。」

「…なんで?カナタにはよくわからないカナ?」

「お前は本物のガキだからな。」

 そう言いながら、ゆかりの学校から星乃湯に帰るカナタと涼。そして………、

【今日だけだからな?ここに立つのは……。】

「すまねぇ、それじゃヨロシク頼むわ、セイリュート。オレはアイツをとっちめないとイカンからな。」

 いつもはユウリが立つ番台にセイリュートが座っている。涼はそう言うとユウリ達が寝ている部屋へ向かう。昨日のサウナ当たりで二人は風邪を引いたのであった。そのため、セイリュートがピンチヒッターで番頭に立っている。なんでそんなことをするかって?それは……、

「体を拭いてあげましょう!!さぁ、服を脱いで!!」

「え、そんな……」

「遠慮なさらずに、ささ!!って、おごぉ!?」

 涼がオヤジの頭にハイ・キックを食らわす。

「ったく、テメェは!!チョイト目ぇ離すとすぐコレだ!!」

「リョ、リョウ!!お前、番頭してたんじゃないのか?」

「セイリュートに無理言って変わってもらったよ、テメェが気掛かりでな!!」

「それは心外だぞ!?リョウ。オレはただユウリさんの介抱をして上げようと………ぐあっ!?」

「それがダメだって言ってんだろが!!コイツらが寝込んでるからただでさえ人が足りねぇんだ!テメェもさっさと手伝いやがれ!!」

「ヒィィィィ!?」

 そうやって親父を追い出すリョウ。そしてユウリの方を向いて……。

「オヤジが悪かったな。」

と謝る。

「いいえ、リョウさまこそ私がいない分、お仕事頑張ってくださいね。」

 そう言ってにこやかに微笑むユウリ。

「オ、オウ。じゃ、じゃあ、ちゃんと寝てろよな?」

 顔を赤らめつつ、リョウは部屋を出ていく。

「ウフフ………。」

 なにかを思って、天井を見上げながら微笑むユウリ。

 なにはともあれ、星乃湯は今日も活気に満ちあふれて営業中です。
  
 
 終わり

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