ザ・グレート・展開予測ショー

遊びの時間は永遠に!(前編)


投稿者名:矢塚
投稿日時:(02/11/28)

この展開は、27巻「遊びの時間ふたたび」の展開です(久しぶりのスタイル)

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「もうええっちゅーんじゃ!」

 横島の突っ込みが、美神事務所に響きわたる。突っ込んだ相手はそう、

娑婆鬼(四男)を負かし夜叉鬼(長女)と引き分けたのだが、そのリターンマッチ

に来た娑婆鬼の長男、次男、三男である。

「そう邪けんにするな!俺たちとの勝負、絶対受けてもらうぞ!でなければ、

鬼の面子がたたんっ!」

「あんた等の面子なんて知らないわよっ!それに、こんなきりの無い勝負は

いくらお金を積まれても、もーいやっ!」

 しつこい鬼に、美神が切れる。このままでは、実力行使での退去を求めかねない。

三兄弟が、その頑固な美神の態度にこじはて違う手段に訴える。

「お願いします!一回だけ!一回だけでいいんです!一回だけやらせてください。」

 いきなり土下座をし、懇願する。流石に『勝負の鬼』だけあり、勝負の為なら

恥も外聞も簡単に脱ぎ捨てるようだ。なおも、三兄弟による懇願は続く。

「3人でとは言わないから、一人とでいいんです。だから一回だけ、やってください。」

 決して、土下座しながら成人女性に対して言ってはいけない

台詞を連呼する三兄弟。この辺は、人間との意識構造が違うらしい。

 なぜか赤面している美神(なんでだ?)

「まあ美神さん、こいつ等もここまでやったんですから、尻子玉云々は抜きにして

勝負だけでもしてやったらどうです?」

 男として、あまりに情けない三兄弟に感じるところもあり、

横島が同情の手を差し伸べる。

その台詞に三兄弟が感動する。妖怪変化には好かれ易いフェロモンでも、

出ているのだろうか?

「あーそう!横島クンまでこいつ等の味方なんだっ?いいわよいいわよっ!

もうっ!やったろーじゃないっ!!」

「いいんですか?美神さん。」

 おキヌが、心配そうに尋ねる。歓喜する、三兄弟。

「女に二言はないわ!やってやるわよ!但し!・・・横島クンがね!!」

「なんでじゃーっ!?」

 横島の叫び。三兄弟は、しぶしぶとではあるが納得している。勝負さえ出来れば

いいようだ。それに、どうも横島には好意的で、

『まあ、あいつが受けてくれるんならいいか。』なんぞと、ひそひそ呟き合っている。

「み、美神さん、何故横島さんが?」

 おキヌの問いに、美神が答える。

「だって、横島クンはこいつ等の肩を持ったのよ?肩を持った以上、責任も

持つのが男でしょう!」

「無茶苦茶言うなーっ!」

 屁理屈の女王の台詞に、横島が叫び抗議する。

 しかし、その抗議は三兄弟によってさえぎられた。

「よっす。したら、鬼ヶ島へゴー。」

 

 流石に『勝負の鬼』だけあり、島に到着すると準備は万端整っていた。

ドーム状の試合場には、鬼、鬼、鬼が所狭しと詰め掛けていた。

「何で、私たちまで・・・」

 不満ぶーぶーの美神に、三男が言う。 

「名代を差し出したんだから、せめて審査員ぐらいしろ。人として最低限の

礼儀だろうが。」

 鬼に、人の道を説かれる美神。

「ほんじゃ、勝負種目の抽選をはじめっぞー。」

 円形のリング中央で、抽選箱を抱えた三男がマイクで観衆に言う。どよめく会場。

「まーた抽選やんの?それって、この前使ったやつじゃん。オヤジくさい内容の。」

 審査員席にいる美神の皮肉に、会場中から視線が注がれる。

『ちっ!勝負の行く末を決める抽選の、このハラハラ感がわからんのかっ?

人間歳をとると鈍くなるのかねー。それとも、金の事しか頭に無いのか?

金の亡者め。』

 という、意味がたっぷりと込められて。その視線の意味するところを察知し、

美神が殺気立つ。鬼の間でも、美神の金に対する偏執は有名なようだ。

「桃太郎のっ・再来がっ・お望みかしらっ!?」

 同じく視線の意味には気づいていたおキヌが、今やルーチンワーク

になりつつある『美神のフォロー』に入る。

「まあまあ美神さん。疑心暗鬼、疑心暗鬼ですよ!」

 試合場では、もうどうでもいいような表情の横島と長男がくじ引きをはじめる

ところであった。ゲストである横島が、抽選箱からくじを引くこととなった。

 このとき、横島の胸中では何かが引っ掛かっていた。何か、忘れているような

感覚。大切なことでもあり、またほんの些細なことであったような・・・

 そんな思いを胸に抱きつつ、くじを引く。二つに折られた白い用紙が、箱から

引き抜かれ次男に渡される。それをひらき、内容を見る次男が驚愕する。

「こ、これは・・・お前、とんでもないモンを選んじまったな・・・」

 用紙を、特設カメラに向ける次男。巨大なスクリーンに勝負内容が映し出される。

 そこには、競艇と書かれた文字の上に大きくばってんが引かれ、書いた者の

意思が十二分に伝わる立派な文字が書かれていた。

『野球拳』

 それを見た横島の、胸のつっかえが消えた。

「ああっ!そうだった。この前の夜叉鬼のときに、忍ばせといたんだ!」

 すっきりした様子の横島の台詞に、美神、おキヌが脱力する。

 無論、こんなものは無効でもう一度引きなおすことに・・・ならなかった。

「くじは絶対だ。引きなおしなどは無い。・・・しかし、あの桃太郎襲来以後

封印されていた、禁断の勝負にこの俺が!今!この場で臨むことが出来ようとはっ!」

 と、いうことらしい。『禁じられた遊び』ほど、やってみたくなるのは

人も鬼も同じようだ。

 かくして、ここ一番での悪運の強さを発揮し涙する横島を巻き込み、

史上最低の勝負が開始された。


                    つづく

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