ザ・グレート・展開予測ショー

シロの中の「私」


投稿者名:キーコ
投稿日時:(02/11/28)

夢を見た。とてもなつかしく楽しい夢。
目が覚めた後、しばらく夢の余韻に浸っていた。

窓に目を向けるとカーテンの隙間から日の光が漏れている。
期待を込めてカーテンを開くと、思ったとおりに快晴で雲一つない。

(あの頃だったら迷わず先生のアパートに行っただろうな)

多分、眠い目を擦って文句を一つ二つ言いつつも散歩に付き合ってくれただろな。
今は・・・・


1年前に先生が独立して、隣町に事務所を開いた。
私もついていくと言ったが先生は、
「ゴメンな、シロ。一人でやってみたいんだ」
そう言って、一人で行ってしまった。

それからというもの、先生にあまり会えない。
前は毎日のように会っていたのに、今は会いに行っても必ずしも会えない。
最後に会ったのはいつだったっけ。

会えないから考える。
もうどれだけ先生のことを思い浮かべただろうか。
いつからか、思い浮かべると胸がドキドキするようになっていた。
なんとなくこれが恋なんだなと思った。


朝御飯を食べ終えて外に出てみると、相変わらず雲一つないイイ天気。
この空を見ていたら、無性に先生に会いたくなった。

(・・・・今すぐ会いたい)

考えるより先に足は隣町へと向いていた。
なぜだか今日は会えるという勝手な予感を持って。

心が弾む。はやる気持ちを抑えてわざと足取りを遅くしてみる。
のんびりと朝の行き交う人達を見ながら隣町まで歩いていく。

(大丈夫、今日は絶対会える)

予感はもう確信に変わっていた。


ようやく先生の事務所の前まで着くと、ちょうど先生が出てきた。
「ほら、当たったでござる」
と軽くつぶやき、先生に寄っていった。

「先生〜〜〜!!」
「お・・・シロ!どうしたんだ?こんな朝早く」
「へへへ、会いに来たでござるよ!!」
私は最高の笑顔で少しとまどってる先生に抱きついた。
「え・・わ、悪いな、シロ。おれ、今から仕事で・・・・」
「え・・・」
「だから、また今度さ・・・」
先生は困っている。
でも、今日はそんなの気にしない。
「散歩に行くでござる!!」
目を見て言ってみる。
「いや・・・だからな・・・」
「行くでござる!!」
普段会えない寂しさと怒りをプラスしてみる。
「・・・」
先生は苦笑してから、
「・・・・はいはい。わかった!わかりました!今日は付き合いますよ!」
と両手を上げながら言った。
「へへへ〜〜、やったでござる〜!」
やっぱり先生は優しいのだ。
「早く行くでござるよ!」
「おい!ちょっと待て!そんなひっぱるなって!ちょっと、シロ〜?」

(散歩からデートに変更しようかな)
そんなことを思いながら先生と会えた喜びを感じていた。

おわり

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