温かい想い(その16(裏)・B)
投稿者名:ユタ
投稿日時:(02/11/26)
「ふ〜、あんたと力合わせるなんてあんま気が進まないけど・・・・ちょっと耳貸して」
シロの耳をぎゅっと引っ張るとボソボソっと耳打ちした
はじめはフンフンと頷くシロだが、しだいにその表情が「驚き」に変わっていく
「そ、そんなこと出来るでござるか!?」
「やれなきゃ死ぬ・・・・それだけよ」
「・・・・・・・・・・」
押し黙るシロ・・・
「なら、やるしかないでござるな!」
満面の笑みを浮かべるシロに、微笑を返すタマモ。
そしてタマモはシロに背後にまわると両手をシロの両肩に置いた
「いい?コントロールと霊力の出力調整は私がするから、あんたは思いっきりぶっ放すだけでいいわ」
「了解でござる!」
気合を入れるように叫ぶとシロは両手を静かに天にかざした
「行くわよ!!」
タマモの声を同時にシロとタマモから凄まじい霊力が立ち込める。
シロは赤い光、タマモは青い光を放ち始めた・・・
その異常事態に気付いたのか、人型残留思念達も攻撃態勢に移行する・・・
「くっ・・・」
シロが苦しそうに顔を歪める。タマモの青い霊力がしだいにシロの赤い霊力と融合してく。
その二つの霊力がシロの腕を伝わり、手のひらと立ち上る・・
立ち上った霊力がしだいに50cm程の丸状の霊力の塊りへと変化していくのがわかった。
そしてそんな光景を見た人型残留思念の大群が二人に一斉に向かってきた!…と同時に!
「シロ!!今よ!!!」
「うわああああああああああああああっ!!!!!」
裂帛(れっぱく)の気合の叫びと供にシロの頭上に浮かぶ霊力の塊りから、
轟炎に包まれた無数のサイキックソーサーが現れる。
炎の包まれたサイキックソーサーは次々の人型残留思念を穿ち!貫き!切り裂く!!
人型残留思念は断末魔もあげる間もなく消滅していった・・・・・・・そして
ドゴオオオオオオオオオオオオオオオアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!
ズゴゴゴごごごごごゴアアアアアアアアアアアアアオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!!
ドガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアオオオオオオオオオオオオオオオっ!!!!
100体の人型残留思念が連鎖を起こすように大爆発していく。
美しい炎舞のあと・・・・そこにはパチパチっと火花を散らす炭となった木々があるだけだった・・・・・・・・
それ以外には何の存在もなかった・・・シロとタマモすら・・・・・
いや・・・ある地面がモコモコっと動いた。そして、
「ぷはーっ!な、何とか生きてるでござるな!」
「ホント・・・何とかって感じね」
息も絶え絶えという感じで、穴から這い上がる二人
「さっき思念爆弾があけたこの穴がなければ死んでたかも・・・」
「先生直伝の土遁の術でござる♪」
「あの師にして、この弟子ありね・・・」
満面の笑顔のシロとは対照的に冷や汗を流すタマモ
「全く・・・二人の霊力と技を融合させるなんて・・・無茶な作戦考えるでござるな!」
「これがベストだったのよ・・・連射のきくあなたのサイキックソーサー、連射はできないけど威力のある私の狐火…
この二つを併せればどうにかなると思ったのよ・・・・まぁ、最後はあんなに爆発するなんて思わなかったけど・・・」
「まぁ、巧くいったんだしよしとするでござるよ!・・・・さ、そろそろ先生達のとこに行くでござる!」
「ええ・・・・・・。・・・・うっ・・・・・」
「タマモ!!」
力無く倒れていくタマモを支えるシロ。
「ど、どうしたでござるか!?」
「心配ないわよ・・・ちょっと霊力を使いすぎただけ・・・・私はいいから先に行っていいわよ」
「そんなわけにはいかないでござる!!・・・・・・・・・・・・・・・!!!!?・・・・・・・・」
タマモに肩を貸し担ぎながら、気配に気付くシロ。
ハっと顔あげるとそこには、5mほど離れてこちらの様子をうかがうに3体の残留思念が立っていた。
「さっきの生き残り!!?」
さっと右腕をあげ霊波刀を構えようとするシロ・・・・
「な!霊波刀が!!?」
疲れで震える右腕からは何の反応もなかった・・・
その光景に残留思念の口元がニィと歪む
シロは気後(おく)れしないように、ギンと睨むと静かにタマモを寝かせた。
(・・・・・・・・・タマモ)
苦しそうに、息をするライバルを心配そうに見つめると再び立ち上がり、
かばうようにタマモの前に立つ・・・
「・・・はぁ・・・はぁ・・・バカ犬・・・さっさと逃げな・・・さいよ・・・」
しゃべるのが何とかという状態でも精一杯の悪態・・・・いや気を使うタマモ。
そんなタマモに振り返らずシロは叫んだ
「心配しないで少し黙ってるでござるよ!!・・・・いいか!?犬族は!人狼は!・・・・
・・・いや・・・拙者は・・・拙者は・・・」
少し顔を伏せるが・・・やがて力強い瞳を伴い顔をあげた。
「拙者は!!友を命にかえても守るでござるっ!!!!」
「・・・・バカ犬・・・」
悪態をつきながらタマモはその口を少し緩めた。
緊張の面持ちで構えるシロ・・・・3体の残留思念達はしばらくシロを囲うようにまわっていたが・・・
シロに反撃できる力がないと本能的に察知すると一斉に襲いかかってきた
(南無三!!)
右手に薄く霊力の膜を張り、玉砕覚悟でその拳を叩きこもうとするシロ。
しかし・・・その動きは先程と比べようもなく鈍かった。
(やられる!)
と思った瞬間!
『ンモーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!』
ズゴオオオオオオオーーーーーーーーーーーーーー!!!
牛が大声を出せばこんな声がするのだろう・・・
その声と共に3体の残留思念はまるで掃除機に吸い込まれるように消えていった。
そしてそれを吸い込んだモノをシロは見る
「こ、これは・・・確かバサラっていう式神・・・・・といことは!」
バサラの後ろに隠れように立っている人物・・・いや、正確にはインダラという馬の式神に乗っている人物・・・
六道冥子がそーっと現れた
「シロちゃ〜ん・・・タマモちゃ〜ん、大丈夫〜?」
「冥子殿!?」
「ワシもいるケンノー!・・・・・・・・あー、こちらタイガー。無事二人を救出しましたケン」
タイガーは耳につけてる超小型通信機で本部に連絡をいれた。
「タイガー殿!?・・・二人ともどうしてここに!?」
「ええと〜、ええと〜・・令子ちゃんは友達だから〜そのお友達のシロちゃんも私のお友達で〜」
「つまり、助けにきたですジャー!横島さん達のところにも他のメンバーが助けにいっとりますケン、安心してくだシャイ!」
「そうでござったか・・・・かたじけないでござる・・・・。!!・・・・タマモ!」
シロがタマモの元へ駆け寄る
「おい!タマモ!しっかりするでござる!」
「・・・・・・・・・・うっさいわねぇ・・・・・・・・・・・・生きてるわよ」
目は開けないがいつも通りのタマモにホっと息をつくシロ
「立てるでござるか?」
「少し休んだおかげでね・・・・。あんた・・もうあんな無茶な真似するんじゃないわよ!」
タマモはゆっくりと立ち上がると、ギロっとシロを睨んだ。
「ふん!拙者の勝手でござる!」
「死んだらどうすんのよ!?」
「そんなことお前の知ったこっちゃないでござる!」
「友・・・・・・・。・・・ケンカ相手がいなくなったら、私がつまらないって言ってるのよ!!」
「へ?」
意味深なタマモの言葉に、マヌケな声をあげるシロ。
「ふ、深い意味はないんだからね!」
タマモは赤面するとプイっとあさっての方向をむいた。
シロはポカーンという表情を浮かべていたが、やがて「ぷっ」と吹き出した。
「そうでござるな・・・」
「ふん!」
あくまで言葉はぶっきらぼうだが、二人ともお互いの心内は理解しているのだろ・・・
顔はあわせず、微笑みをもらした
「友情っていいノー!」
「本当ね〜〜・・・あ〜、タマモちゃんヤケドしてるじゃない〜〜〜・・・ショウトラちゃんお願い〜〜」
冥子の影から、戌の式神ショウトラが出現し、タマモの傷をペロペロと舐めた。
ヒーリング効果があらわれ、タマモの表情が緩んでいく・・・
その光景にシロも安堵の息を漏らした
「でも〜〜、凄いわね〜〜〜」
冥子が周囲を見て、驚き(?)の声をあげる・・・
まわり15mはまさに草木も生えない不毛の大地といった感じだった
インダラから降りテクテクと歩きまわる冥子、やがて何かを見つけたのかその場に走り寄る
「あ〜、これ富士の樹海にしか咲かない霊草だわ〜〜」
まるでおもちゃを見つけたように目を輝かせ、走る速度あげる冥子・・・・・だが・・・
「きゃっ!」
ズガガガぁ!
小さな穴にひっかかり、短い悲鳴と共に派手にコケる冥子。どうも緊急回避という言葉とは無縁の彼女であった。
そしてゆ〜っくりと立ちあがると・・・・・・・
「ふ、ふえ・・・痛いよ〜・・・・ううっ、ふええっ・・・」
今にも泣きそうな冥子・・・・それを見たタイガーから大量の冷たい汗が流れる。
「冥子しゃあああん!泣いちゃあかーーーん!!」
タイガーの慌てようにイマイチ反応を示さない二人だったが、
冥子を見てハっとする・・・・・確か美神達から聞いた、例のアレ・・・・・
「これって・・・・あの!?・・・・・・・・・・・・・・・・待ったぁぁ!!冥子殿ぉぉぉぉ!!!(泣)」
「ま、まさか・・・噂に聞く・・・いやあぁぁぁっ!(汗)」
その言葉が9月20日の二人の最後の言葉になった・・・・・・・・・・合掌
その16(裏)・・・完
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あとがき
ど、どうでしたでしょうか?(汗)
おそらく「GS美神 ベストフレンズ賞」なるものがあれば間違いなくこの二人だと思う今日この頃なワケで・・・
本当は最終回で
「タマモ・・・」
「何よ」
「拙者たち・・・出番が少なかったでござるな・・・」
「バカ・・・それは言わない約束でしょ!(涙)」
「ごめん・・・(滝涙)」
と、いうセリフの予定があったんですが、それは何か二人が可哀想だし(汗)
次回は予定通り「その17」でいきますm(__)m
今回も読んでくださった皆さんありがとうございました!!!
今までの
コメント:
- >「友情っていいノー!」・・・本当にいい関係の二人に一票。
炎のサイキックソーサーとは、二人ともナイスアイディアだ。
もし、炎の霊波刀だったらブレイズオブグローリー、なんちゃって。 (矢塚)
- いや、合体技いいです。こういうの大好きです。シロとタマモらしい友情が描かれていると思います。あと、冥子たちがおいしいタイミングで出るのもいいですね。 (柿の種)
- ども。初めまして。
最近こっそり読んでて、そろそろ終わりそうだからまとめて感想しようと思ってたんですけど・・・。合体技、先に使われちゃったよぉ(笑)ま、霊波刀の方だし良いかと思ってたら矢塚さんが思いついちゃうし・・・(泣)ごめんよぉレヴァーティン(合体技の名前 笑)
えーと、ユタさんみたいなコメディ調なのは、自分では書けないことが分かったんで尊敬してます。はい。最終話、期待してます。 (NAVA)
- シロタマが活躍する話+冥子ちゃんのプッツンネタを同時に読めて至福なkitchensinkでございます(爆)。素直に「友」と言葉を使わずとも誰の目にもシロタマが最高の友人関係にあることが分かる点がいいですね;どうにも正直でないあたりは保護者の令子に似たのでしょうか?(笑) お互いをかばいあっていた前半、そして合体技による大逆転を演じた後半の話ともに楽しめました。次回からは本編に戻るそうですが、楽しみにしております♪ (kitchensink)
- 矢塚さんへ
>炎のサイキックソーサーとは、二人ともナイスアイディアだ
ほっ・・・・受け入れてもらえて一安心です(汗)
もし、どなたかが使っていたらと不安でした。
>炎の霊波刀だったらブレイズオブグローリー
おお!そのアイデアもいい! (ユタ)
- 柿の種さんへ
初めまして♪と、言ってもお名前は存じております(笑)
今回は皆さんのいうとおり、二人の友情が書きたくなりまして・・・それと冥子のプッツン(笑)
コメントありがとうございました♪ (ユタ)
- NAVAさんへ
どうも初めまして!
す、すいません・・・使ってしまいました、合体技(汗)
レヴァーティン・・・格好いい名前っすね!
僕のは名前すら・・・(汗)
僕はギャグしかかけないんで・・・(泣)
あー、シリアスやラブコメが巧くかけるようになりたいです・・
(ユタ)
- kitchensinkさんへ
昨日のチャットではどうもでした♪
>どうにも正直でないあたりは保護者の令子に似たのでしょうか?(笑)
書いてて思ったんですが、タマモの口調と令子の口調って似てるんですよね(汗)
二人ともクールですから(笑)
本編頑張りますのでよろしくお願いします! (ユタ)
- お返事どうもです。
で、申し訳ないんですけど、こっちもこのまま合体技使っちゃって良いでしょうか?(汗
もう伏線張っちゃってるし、話の都合上必要というか、別のを考えるのが面倒というか(ぉ (NAVA)
- NAVAさんへ
どうぞ!どうぞ!別に著作権なんて無いですから!
それに先に考えついたのは、NAVAさんのハズですから!
使いまくって下さいm(__)m (ユタ)
- シロとタマモの話ですか。
ついにシロも裏技いりですね。時代の流れは恐ろしいです。 (空の助)
- 最後に冥子さんの「プッツン」をもってくるあたりが
さすがユタさんですね!!
シロとタマモの合体技や友情もジーンときましたが
やっぱりお約束があるとホッとする私はダメ人間でしょうか?
やはりタイガーは冥子さんのプッツンを予想して「生け贄」に
されたんでしょうね。(笑) (ハルカ)
- ↑↑すまんNAVAさん。曲のタイトルと引っ掛けた、ただのギャグ(←古かった) (矢塚)
- 空の助さんへ
>ついにシロも裏技いりですね。時代の流れは恐ろしいです
まぁ、師匠があんなんで、師匠の師匠があの人ですから自然の流れかと(笑)
武士の子ですから、卑怯な技は使わないでしょう・・・(多分)
コメントありがとうございました♪ (ユタ)
- ハルカさんへ
>シロとタマモの合体技や友情もジーンときましたが
>やっぱりお約束があるとホッとする私はダメ人間でしょうか?
とんでもない!お約束でホっとするのは人の性(さが)ですよ(笑)
>やはりタイガーは冥子さんのプッツンを予想して「生け贄」に
されたんでしょうね。(笑)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ギクゥっ!!!そ、そそそんわけないですよぉ・・(大汗)
じ、次回もよろしくお願いします(吐血) (ユタ)
- ラストのシロタマの台詞に笑いました♪
次回は本編だそうで、楽しみにしています。では。 (紫)
- 紫さんへ
>ラストのシロタマの台詞に笑いました♪
よし!(ガッツポーズ)
いや〜、この二人って多分冥子のプッツンを体験したことなですよね・
だからこんなセリフかな〜と(笑)
はい、本編も頑張ります!コメントありがとうございました♪m(__)m (ユタ)
- 有れさえなければ、最強なのに・・。
冥子ちゃん。
だからあるのか。
アレが。
哀れタイガー。 (トンプソン)
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