ザ・グレート・展開予測ショー

温かい想い(その16)


投稿者名:ユタ
投稿日時:(02/11/25)



美神はカオスから水晶玉を渡されたときの記憶を静かに呼び覚ました・・・・




    ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 
「・・・・と、いうわけでソウトを除霊することになったから、何か道具ちょうだい♪」

満面の笑みで手を差し出す美神。

「いきなり、訪ねてきて態度がでかいのー」

手を差し出された人物・・・・ドクターカオスは呆れた表情を浮かべるだけだった。

「ったく・・・金なら出すわよ!」
「ちょっと待っとれ!!」

美神の一言で素早く押し入れを開けるカオス。
5分程何かを探すと、マリアに4つの水晶玉を持たせた。

「なにこれ?」

見慣れない水晶玉に不信な表情を浮かべる美神。
確かに直径30cmもある水晶玉などなかなか見る機会はないだろう・・・

「ふふふ、これはな・・儂が300年前に開発した対ソウト用の除霊道具じゃ!」

「ふ〜ん・・・で、使えるの?」

自慢げに語るカオスに、あくまで疑問系の美神。

「馬鹿にするな!300年前はこれがあったからこそ奴を封印出来たと言っても過言じゃないわい!」

「あっそ・・・で、使い方は?」

「簡単じゃよ、この4つの水晶球に霊力を込めればええ。
 確かソウトの残留思念が使役できる範囲が400m程じゃったから・・・
 500m四方に囲むように設置すれば大丈夫じゃろ」

「分かったわ、じゃあもらって行くわね」

「ま、待たんかーー!」

マリアに車まで水晶玉を運ばせようとする美神をカオスが必死の形相で引き止める。
美神はやれやれという表情で振り向いた。

「分かってるわよ・・・で、いくら?」
「まぁ、300年前のもんじゃからな・・・300万でどうじゃ!!?」

指をピっと3本立てるカオス。美神はしばらく「う〜ん」と考え込むとポンと手を叩いた。

「ねぇ?あんた、今どのくらい家賃滞納してんの?」
「ん・・・・?え〜と、マリア!いくらだったかのぉ?」
「現在・48万・4400円・です」

カオスの質問に機械的に即答するマリア

「このくらいじゃ」

「ふ〜ん、じゃあその滞納金の額で手をうちましょ。前金で半額の半額払ってあげる」

「な、何ー!?待て!それは安すぎじゃろ!」

「これに霊力込めてくれれば、半額前払いしてあげるわよ?」

「いや、そうじゃなくて・・・」

カオスはあくまで300万で売ろうとするが、値段交渉で美神にかなうはずもない

「ああ、そういえば・・さっき大家さんが庭で薙刀の素振りしてたわねぇ」

その一言でオークション(?)は終わった・・・・

「くっ・・・背に腹は代えれんわい!・・・・48万4400円じゃな!それ以上はまけんぞ!」

「はいはい・・・残り半額は使えたら払うわよ♪さ、霊力込めて」

そうして、ドクターカオスに霊力を込めさせたのはいいが、全盛期を越えたカオスに全ての水晶球に霊力をこめることは出来ず・・
残り二つはこちらで込めるということになった・・・
幸福荘の一室・・・・・・そこには枯れ木のように痩せ細ったカオス・・・
それを看病するマリア・・そして18万1650円だけが残っていたそうな・・・

    ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 



「あのクソボケジジイー!!もっと命かけて霊力こめんかーーーー!!」

と、いう経緯を思い出して(っていうか口に出てた)叫ぶ美神。本当に命まで込めさせられたカオスをクソとも思っていない。

「み、美神さん!八つ当たりは後にしてこの状況をどうにか・・・
 にしても、その話を聞く限りじゃ、カオスはちゃんと込めてたんじゃないっすかー?」

「多分、結界が発動してるうちに、カオスの分の霊力を使い切っちゃたのね・・・
 残りの二つはシロとタマモが込め続けてるから発動してるけど、この結界は四つの水晶玉に霊力がこもってないと駄目なのよ」

「美神さん・・・話はよくわかったんですが・・・」

「何よ」

「凄え、説明的なセリフっすね?(汗)」

「そんなの分かってるわよ!・・・・シロ!タマモ!もう結界はいいから一度こっち戻ってきて!」

『そんなことさせると思う・・・・?』

ルシオラが不適な笑みを浮かべ、パチンと指をならした瞬間







ドガガアアアアアアアアアアアアン!!!

ズゴオオオオオオアアアアアアン!!!

ドガガアアアアアアアアアアアアアン!!!

ズゴオオオオオオアアアアアアアアン!!!






500mほど離れた地点が4つ同時に爆発起こした

『また厄介な結界使われなくないからね・・・・』

「ま、まさか・・・シロっ!!タマモぉ!!」

横島は美神からトランシーバーを取り上げ必死に叫んだ・・・だが・・

「「ザーザー・・・・・・ガガ・・・・・・・・ザー・・・・・」」


聞こえるのは、シロの声でも、タマモの声でもない・・・無機質なノイズ音だけだった・・・


『魔力が上がったのかしら・・今の私なら、1km先の残留思念も使役できそう♪』


「てめえぇぇぇぇ!!!!」
「横島クン!」

美神が横島を引きとめようとするが、
それよりも速く横島がハンズオブグローリーを構え飛び出した。

『あら、恐い』

ルシオラ(ソウト)は顔面寸前を通過する黒い霊波刀を紙一重でかわす。
だが、その紙一重が大きい・・・当たらない、何度斬りかかろうがカスリもしなかった・・・

『ふふ、本当に私を殺す気?』

横島をからかうように避け続ける

「うるせえ!!」

怒号と共に放たれる鋭い突きをかわすルシオラ(ソウト)。
その鋭さに少し緊張の表情の浮かべる

(・・・・少しは本気みたい・・・でもね・・・!!)

『そんな太刀捌(さば)きで!私に勝てると思ってるの!?』

横島の袈裟斬りを交わすと魔力を込め、横島の顔面に叩き込んだ


ドガアアアっ!!!


「ぐはあぁぁ!!」

派手に吹き飛ぶ横島

『ふふ・・・少しは効いたかしら』

「う、うぐっ・・・・」

美神に支えられ何とか立ち上がる横島・・・だが、その足はダメージで振るえヨタヨタとし、
口の中を切ったのであろう、口の端からツーと血が流れた。
 それを見て、ルシオラ(ソウト)は愉快という表情を浮かべる・・・だが・・・・
内心思っていることは違った・・・

(おかしいわね・・・今の一撃で奴を殺せるはずだったのに・・・それに・・さっきから思ったより出力が上がらない・・
 このルシオラとかいう女の幻術も使えないし・・・・)

コキコキと右手の指を鳴らし、肉体の状態を測る。

(まぁいい・・今の状態でも奴らを始末することなんて造作もない)

あくまで余裕の表情で、横島達を見据えた。
その視界には再び黒い霊波刀を構える横島が目に入った。


「まだだぁ!!」

『そう・・・・』

ルシオラ(ソウト)は少し悲しみの瞳を浮かべ呟いた

『私ならずっとあなたと一緒にいてあげられるのよ・・・
 ・・・・・もう一人になんてしないわヨコシマ・・ずっと・・ずっと二人で暮らしましょう・・・』

ルシオラ本人の口から聞けたら、なんと嬉しい言葉だろう・・・
・・・だが、目の前にいるのはルシオラの姿であり、ルシオラじゃない・・・その事実を必死になって肯定しようとする横島。

『二人で・・・・・・・・・・・そう一緒に・・まずはこいつらを殺しましょうよ
 ・・その後はここらへんの人間を根絶やしにしましょう・・きっと楽しいわよ・・キャハハハ!』

悪魔の笑い声が横島の耳から脳へと伝わる。そのたびに怒りで神経がショートしそうだった。

「ルシオラの・・・」

ズアアアアアアア!!!!

ハンズオブグローリーがその漆黒の輝きを増す

「ルシオラの口からそんな言葉を吐くなああぁぁぁーーーーっ!!!!」

『人間なんて殺し放題じゃない♪』



ズガアアアアアアアアアア!!!



ハンズオブグローリーが、先程までルシオラ(ソウト)がいた大地に突き刺さり爆発を起こす。
爆煙の中から現れるルシオラ(ソウト)は笑みを崩さすに、着地した・・・・だが

『ふふ、だから当たらないって・・・・・・・・・ぐっ!?』
 

肩を押さえるルシオラ(ソウト)・・・いや、それだけではない。
脱力するように、膝を地ついた。

『そんな!よけたハズなのに!(おかしい、さっきから体と思考にブレが・・・・まさか!)』

ハっと何かに気付いたような困惑の表情を浮かべるルシオラ(ソウト)。
その表情の移り変わりを美神は見逃さなかった!

「よく分からないけど・・チャンスよ横島クン!」

「は、はい!」

キイイイイィィンと陰陽文珠が輝きだし、文字が浮かぶ・・・・



『消滅』



と。



覚悟を決めるようにグっと一回目を閉じる横島・・・
そして静かに振りかぶる。これさえ決まればこの戦いも終わる・・・・・・・・・・・・だが・・・・・・・



「!?」

横島の動きが止まった・・・驚愕と哀愁という表情と共に・・・

『どうしたの・・・』

ルシオラ(ソウト)自身も横島の行動に顔をしかめる・・
しかし・・しだいに、自分の視界がボヤけているのが分かった

『これは・・・・』

そっと目を拭ってみる・・その指についた雫・・・それは涙
次々とルシオラの瞳から涙が溢れ出る・・・

「ルシオラ・・・」

横島が一言力無く囁くと同時に陰陽文珠の輝きが失われる・・・
その状況にルシオラ(ソウト)は肩を震わせた・・・

『くくくっ・・・・これはいい!こんなものでお前は手出しが出来ないのか!?だったら・・・・』

スっと・・・静かにルシオラ(ソウト)の右腕があがった・・・

『今、殺してあげる!』

残留思念を横島に突撃させようとするソウト!・・・・・しかし・・・・





シュン・・・ビュ・・スン
シュ・・・ビュビュ・・・・シャ・・・
シュン・・・ビュ・・スン
シュ・・・ビュビュ・・・・シャ・・・





その残留思念が次々と消えていく!

『そんな!水晶球は破壊したはず!』

自分の思惑とは違う展開に動揺するルシオラ(ソウト)。そこへ・・・・

「けっ!人間をナメんじゃねぇよ!」
「ゆ、雪之丞!?」

魔装術を纏(まと)った突然の悪友の登場にとまどう横島。

「こんなのに苦戦してるなんて、やっぱりアンタもたいしたことないワケー!」
「エミ!!」

皮肉を込めて笑みを浮かべるエミに驚く美神。

「すいません・・・遅れました。シロちゃんとタマモちゃんはタイガーと冥子さんが救出しましたから安心して下さい」
「ピートさん!」

ネクタイを緩めながら、二人の無事を報告するピートに安堵の声を出すおキヌ。

美神達には、草木をかきわけ登場した三人が、いつものより3割増し頼りがいのある存在に思えた・・・・


















その17に続く・・・・・・・・・・・・・最終回まであと4回

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