ザ・グレート・展開予測ショー

MOON LIGHT++月夜の晩は・・・++


投稿者名:姫桜
投稿日時:(02/11/23)

月を見つめてふと思う
 彼の 真剣なまなざしを・・・

MOON LIGHT++月夜の晩は・・・++

美神は、ワイングラスを片手に、窓辺にたたずんでいた。
ワイングラスの中に揺れる液体はバラ色のワイン。美神にぴったりの色だ。
真夜中に出る月は何もかも見透かしているようで、少し怖いけど、なぜか目を離せない。
昔こんな事を聞いたことがある。
『月の持つ神秘のパワーは、どんな願いもかなえてしまうような
  不思議なパワーを持っている』と・・・。
涼しい風に髪をなびかせながら、美神は月に願う。
―――ずっと、ずっと一緒に。アイツの側にずっといたいな―――
月に見透かされた前世の記憶。現在の記憶と共鳴して強い願いへと変わる。

夜の風の匂いは、なぜが人を感傷的にさせる。
いつも強気な瞳を持っている美神も、今夜は切なげな瞳を見せる。
今宵、月の見える夜更け。一体この星で何人の人が、美神を同じ願いを、月に願ったのだろう。月は、一体何人の願いをかなえることになるのだろう・・・。

次の日、太陽が昇ると、アイツの笑顔がそこにあった。
そして、アイツが美神に小さな箱を差し出す。
「お誕生日、おめでとうございます。」
美神は訳も分からないまま、その小さな箱を受け取り、丁寧にリボンをほどいた。アイツはそれを、照れくさそうに見ている。
「これ・・・」
それは、小さな 小さな、精霊石のついたリング。シルバーのリングにちょこんと乗っているバラ色の精霊石。アイツが、美神の細い指にはめる。サイズも美神にぴったりだった。
「それ、ずいぶん前から厄珍堂で注文してたんすよ。バイトする代わりに、値引きしてもらって。美神さんはシルバーも似合うかなと思ったら、ビンゴ!よく似合いますよ。」
そういえば、今日は私の誕生日だ・・・など考えながら、美神は自分の細い指に光るリングを眺めていた。
「美神さん、改めて言います。俺、美神さんのこと好きです。」
美神は昨日、どさくさにまぎれて、アイツに告白されていた。その時美神は、冗談で流したけれど、アイツは本気だったらしい。
「・・・美神さんの気持ちが、聞きたい。」
アイツは・・彼は、真剣なまなざしで尋ねる。
美神の心の中では、答えは決まっている。
YES・・・
それなのに、言葉に出来ない。
「・・・よ、横島くん?」
「はい。」
「あ・・・あの・・、あんた、人に無断で厄珍のところでバイトしてたわけ??」
美神は冷たく言った。・・・違う。言いたいのは、こんな事じゃなくて・・・。
「あ〜〜、すんませんっ!!仕方なかったんやぁ〜〜」
アイツはいつものように情けなく、鼻をたらしている。
その時・・・。
CHU・・
アイツの頬に、美神の唇が触れる。
「許す。」
それだけ言って、美神は部屋を出た。
美神にとって、精一杯の「よろしく」の言葉。
精一杯の「ありがとう」だった。
アイツは、頬に残る唇の感触の余韻に浸る余裕も無いような表情で、美神の姿を目で追っていた。

『月の持つ神秘のパワーは、どんな願いもかなえてしまうような
  不思議なパワーを持っている』
この話は、本当だったのかもしれない。
だって、とことん素直じゃない女性の、素直な願いを受け入れて、最高のバースデープレゼントを用意してくれたのだから。

――ずっと、アイツの側にいれたらいいな・・・―――

おしまい

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お久しぶりの「姫桜」です☆この作品は、ずっと温めてきた作品です。童話のような要素を入れながら、きれいなお話が書きたいなぁと思って作りました。今私の中でブームの美神さんと横島くんのLOVE物ですが、いかがでしょう??私の中では結構気に入っている作品です。

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