ザ・グレート・展開予測ショー

星たちの密会(3)


投稿者名:矢塚
投稿日時:(02/11/20)


 セイリュートからの通信によれば、今回の相手は侵略者の宇宙船とそれに積まれた宇宙

怪獣が一匹。すでにセイリュートに乗船したカナタ達が制圧にまわっている。

 今回は迷惑かけっぱなしの涼に気を使い、カナタ達だけで頑張ってみたようだ。

「今、母船の制圧が完了した。すまないが、怪獣の捕獲には失敗してしまい地表に射出さ

れてしまった。なんとか都市部に被害が出ない場所に誘導は出来たのだが、制圧時にわた

しの転送装置を破壊されてしまいカナタ様たちを地上に転送出来ない。『マリーアント』

の方は、大破した敵母船が引力に引かれないようフルパワーで牽引中。ブラッドもこちら

に同乗している。ということで、宇宙怪獣のほうはリョウどの一人で退治してくれ。」

 セイリュートのさらっとした説明に、涼が激昂する。

「たった一人でやんのかよっ!?」

 涼の怒りがよほど恐ろしいのか、昨日殺されかけたカナタは通信にもでなかった。

 今頃、セイリュート内でこの一件の事後を想い、現実逃避の安らかな眠りを得ているに

違いない。

「仕方ないだろう。すでに怪獣は地表に降りている、今動けるのはリョウどのしかいな 

い。リョウどのが地上にいてくれて助かった。まあ、我々の気遣いが思わぬ形で役に立っ

てよかった。」

「お前等の気遣いはいつもいつも、俺にとっては裏目に出てんだよっ!」

 どうしようもない状況に涼は覚悟を決める。どのみちやるしかないのだが・・・

 今の通信はマリアには聞かれていない、事情が事情なので説明を省く。

「別の仕事が入っちまった。すまねえが、ここでお別れだ。」

 名残惜しそうに涼が言う。

「ノープロブレム・涼。マリア・楽しかった。」

 一呼吸おいて、マリアが続ける。

「別の仕事とは・お話にあった・ガードロイヤルですか?」

「ん?ああ、そうだ。まあ、こいつをやらねえと、もとに戻れねえし・・・」

 それを聞いたマリアが、少しだけ考える。

「・・・マリア・お手伝いします。涼の体取り返す・手助けしたい。」

 予想外の台詞に涼は驚く。

「な?いいのか?うれしいけど、ぶっ壊れるかもしれねえぞ?」

「ノープロブレム・涼。マリア壊れても・Drカオスに直してもらえる。大破しても・マ

リア・友達助けたい。」

「そうは言ってもなあ・・・今日友達になったばかりなのに、命のやり取りなんか頼めね

ーよ。」

「涼は初対面の・カナタさんの為に・戦ったのに・なぜ・マリアだと駄目ですか?」

「・・・それは、俺は男だし。それに、自分の意思でやったことだし・・・」

 言葉に詰まる涼。それに対しマリアが静かに、しかし、感情を十分に感じさせる口調で

言う。

「マリアの・涼を助ける行為は・プログラムによるものでは・ありません。

マリアが・選んだ・マリアの意思です。マリアには・友達との時間は関係ありません。

友達の為に戦う・これはマリアにとって・意味ある戦いです・・・マリアが・マリアであ

る為の。」

 意外に頑固なマリアに困り、涼はセイリュートに助言を仰ぐ。

「問題ないだろう。マリアどのの装甲は、私の調査ではかなり強力だ。ただ、マリアどの

の武装では少々頼りない・・・武器のほうはわたしがなんとかしよう、手助けは多いほう

がいいからな。一応、私の方からDrカオス氏には事情説明の連絡はとっておく、という

ことでどうだ?」

 セイリュートの言葉にしばし考え、決断を下す。友達を見捨てられないという気持ちは

涼には良くわかったし、その思いをむげに断る事も涼には出来なかった。

 なにより、マリア自らがその申し出をしてくれたのがうれしかった。

「わかった。それじゃあ、よろしくたのむぜマリア。ただし、壊れるのは無しだ。いい

か?」

「イエス・涼。」

 頼もしいマリアの返事に涼は頷く。

「そんじゃあ、いくぜ!」

 涼の合図とともに、二人は目標のポイントに向かい飛び立つ。

 いつの間にか、空には星たちが美しく瞬いていた。

  
          つづく

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