ザ・グレート・展開予測ショー

温かい想い(その14(A))


投稿者名:ユタ
投稿日時:(02/11/20)







ズゴゴゴゴゴゴアアアアアアアアアアアアアアアっ!!!!!!!!!!!!!!!!!







横島の右腕から凄まじいまでの巨大霊波刀(縦20m、横幅3m)が現われ、
ソウトを真っ二つにしながらその後方の木々をなぎ払う。

『ギギ・・・そん・・なバカな・・・こんな・・人間ごとき・・・に・・・』

ソウトの肉体が最後の言葉と共に崩壊していく・・・・・
その光景を鋭い眼光で見届ける美神と横島・・・

『ギ・・・・・・ギギ・・・・・・・ィ・・・・・・・・』



バシュウ!


まるで風船が破裂するようにソウトの肉体が消滅した。
それを確認して、横島はやっと気を緩めた。

「はぁはぁはぁはぁ・・・・・やっと終わった・・・・」

「横島クン!」

横島に歓喜の笑みで歩み寄る美神

「美神さん!」

美神に気付き横島が勢いよく振り返る・・・ということは・・・・

「のわあああああああ!!!」

横島が振り向く同時に右手の巨大な霊波刀がしゃがんだ美神の頭上をかする

「あんた!私を殺す気か!!はよ、しまいなさいよ!!!」

激昂する美神。せっかく褒めてやろうと思ったが即却下となってしまった。

「ち、違いますよ!何か制御しきれなくて!!(汗)」

自分の右腕を指差しながら汗をタラタラ流す横島。
美神はそんな横島に「はぁ」と一息タメ息をつくと原因と解決方法を述べた。

「いきなり霊眠期から開放されたせいね・・・霊波刀をもっと小さくなるようにイメージしてみなさい」

「小さく・・・・・・・」




シュオオオオオオオオオオオオオ・・・・・・・・・・・




横島が目を瞑り、精神を集中すると霊波刀がいつも通りの長さ、大きさに戻る・・・だが

「あ、あれ?」

「これは・・・・・!」

美神と横島がその霊波刀を見て、驚きの声をあげる
確かに長さ、大きさはいつも通りのハンズオブグローリーだった・・・ただ違うのは

「黒い・・・霊波刀?」

そう、その刀身はまるで黒真珠のような深淵なる闇を表す色だった

「・・・・多分・・・ルシオラの霊基構造のせいで魔力が混ざったのかも・・・どっちにしても今までとは格段にならない出力ね」

「そうか・・・・ルシオラの・・・・。・・・!?・・そうだルシオラは!?」

横島が失念したという表情をしながら、周囲を見渡す。
ソウトが消滅したことによってルシオラの思念体も消えたかもしれない・・・
それでも横島は必死に探し続けた。

ルシオラは簡単に見つかった。
先程の場所で死んだように動かず、地面にうつ伏せている。

「ルシオラ!!」

「・・・・・・・・・」

「その娘(こ)はルシオラ本人じゃないのよ・・・」と、美神は喉まで持ってきた言葉を飲み込んだ。
本人じゃなくてもいい・・・横島が満足するならそれでもいいと思った。
美神は横島に背を向けると静かに横になっているおキヌの介護に向かった。

「ルシオラ!ルシオラ!!」

横島はルシオラの上体を起こすと激しく揺らした。

「‥・・・・ん・・・」

「ルシオラぁ・・・」

寝起きの子供ような表情で目を開けていくルシオラを見て、横島の目に光るもの浮かぶ。

「・・・・ヨコシマ・・・?」

ルシオラ・・・ルシオラだ・・・
本当に思念体なのだろうか・・・抱き上げた重みも温かみもある体・・・さらさらと風に流れる美しい黒髪・・・
・・・そして、忘れることなんて出来ない・・・大切な女性(ひと)の顔・・・瞳・・・それを見ただけで横島は泣き崩れそうだった

「俺だよ!横島だ!分かるだろ!?ルシオラ!!!」

もはや興奮で自分が何を言ってるのか横島は分からなかった。それでも・・・
それでもルシオラに何か言葉をかけてあげたかった。いや、かけたかった・・・
ルシオラは少し呆然とした表情をするが・・・
やがて一つ瞬(まばた)きをすると・・・その細い腕を横島に伸ばす・・・

『・・・・分かるわよ・・・・・あなたはヨコシマ・・・・・・・・・・』

自分に差し出されたその腕を優しく握りかけそうとする横島・・・だが、

だが気付くべきだったかも知れない・・・・・・・・・瞬きをする前とした後のルシオラの瞳の色が違っていたことを・・・・


















次の瞬間・・・・・・・・









「がっ!!?」

ルシオラの小さな手が横島の首を握り締める!
そしてそのままの状態で立ち上がり、片手で横島を高く持ち上げた。


「・・・ル・・っ・・オラ・・・!?」

一瞬の出来事に頭が混乱する横島、息苦しさから顔が赤くなり、思考がまとまらない
そんな横島にルシオラが醜悪な笑みを浮かべて言った

『あなたはヨコシマ・・・・ええ、そうなんこと分かってるギィ!!!』

「!!!!!?」

その一言で横島の中断していた思考が再回転する、そして全てが理解が出来た。

「・・・お、お前」



ドキュウウウウウウウン!!!




銃声が響いたと同時にルシオラの腕から開放される横島

「横島クン!下がって!!」
『ちっ』


ドキュウウウウウウウン!!!




再び鳴り響く銃声・・・だが、その銃弾はルシオラに軽く避けられた。

「美神さん!ヤツは!?」

美神の元まで下がり横島が声をかけた。

「ええ・・・・・・・・」

美神がギリっと口唇を噛んだ

「・・・・・ソウト・・ね」

『ギギギギ・・・・正〜解ギ・・・おっと・・・口調はこのボディに合わせてあげようかしら♪』

「ど、どうして・・・横島さんが倒したはずじゃ・・」

美神に肩を担がれたおキヌが驚愕の表情を浮かべる。

『ふふ、オリジナルのソウトは死んだみたいね・・・・・・・今の私はソウトの亡霊・・・残留思念がこの思念体に埋め込まれていたものよ」

「な!?」

『まぁ、きっとオリジナルソウトが万が一の事態に備えた緊急措置だと思うけど・・・
 ・・・全魔力と人格、それにさっきまでの記憶をこの強力な思念に受け継がせたのね』

「そ、そんなことが・・・」

『いやね〜、ソウトは思念使いのエキスパートなんだから、不可能じゃないわよ♪』

軽くウインクをするルシオラ(ソウト)・・・外見は美少女なのだ、普通の男ならそのウインクにトキめくだろうが、
横島はそうはいかなかった・・・まさに悪夢・・先程以上の悪夢だった

「ふん!あんただってソウトじゃない!まるで他人事のようね!」

『あら、このボディの影響かしら?結構柔軟な思考なのよ・・・・・だから名前なんて気にしないわ・・・・
 ・・・・・・今は・・・ルシオラ・・・・・・・とでも名乗ろうかしら♪』

「お前が・・・・・・・・」



ブオン!!



黒い霊波刀が風斬り音を鳴らし現れた!

「お前がルシオラの名を語るなぁぁぁ!!!!」


ズガアアアアアアアアアアア!!!!


横島の一撃が先程までルシオラ(ソウト)のいた地面をえぐった。

『あら、危ない♪』

言葉は裏腹に余裕の笑みで避ける。

『ふふ、だって・・・・ヨコシマったら本気だしてないんでしょ?』

「うるさいっ!ルシオラの声で俺の名を呼ぶんじゃねえ!!」

横一閃にハンズオブグローリーを振る横島。
だが、怒りまかせの剣撃があたるはずも無い。

妖艶な笑みを浮かべるルシオラ(ソウト)・・・
隙だらけの横島のみぞおちに、トンっと手のひらを添える

『ハア!!』



ドガアアアアアアァアァァ!!!



「ぐはああぁぁっ!!」

横島の体にもの凄い衝撃が走ると同時に横島の体が美神達の目の前まで吹っ飛んだ。

「ぐ、ぐげぇえ、ごほ!」

腹を押さえ嘔吐感に耐える横島。普通の人間なら今の一撃で死んだいかもしない衝撃だった。

「横島クン!!」
「横島さん!!」

うずくまる横島に駆け寄る美神とおキヌ

『ふふ、300年前に私を封印したエクソシストの一人が使ってた技よ♪・・・・確か「発剄」とか言ったかしら?』

「あとはいいから!私にまかせなさい!」
「そうですよ!横島さんは少し休んで下さい!」

横島の肩を抱えながら、悲痛な声で話しかける美神とおキヌ

「・・・・ごほ、ごほ!大丈夫です・・・・俺、まだ戦えます!」

嘘だった・・・肉体的ダメージもある。だがそれ以上に精神的なものが原因で明らかに剣先がブレてきている。
なぜなら・・・今、目の前にいるルシオラには感情があるから・・例えそれが、生前のルシオラと似ても似つかわしくなくても。
さっきまでなら、ソウト本体を攻撃すればよかった・・だが、今は・・思念体とはいえルシオラを攻撃することに躊躇があった。
口調は違っても、その声色はルシオラ・・・。思念体、残留思念にある記憶だろう・・・先ほどからルシオラ(ソウト)がとる仕草
も横島が知っているもの何の違いもなかった

それでも・・むせる息を抑えながらスクっと立つ横島。
そしてもう一度ハンズオブグローリーを構える。

『本当に戦えるの?』

「はぁ、はぁ・・・お前は絶対に許さねぇ!」

精一杯の虚勢・・・いや、本音と本心が入り混じった悲しい叫びだった

『そう・・・・』

ルシオラ(ソウト)の表情が変わる。
その表情は先程まで浮かべていた邪悪な笑みではなかった・・・
悲しい、悲しい・・表情・・・横島が何度も見たルシオラの表情だった・・・

「騙されるか!」

まるで自分を励ますように叫ぶ横島・・・
その表情は固い・・・・だが、次のルシオラ(ソウト)の一言でそれは崩れた


『ヨコシマ・・・・さあ・・・私を殺して・・・』









その14(B)に続く

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あとがき

例の如く長くなったんで2つに分けます。
票のほうはいつもどおり(B)のほうへお願いしますm(__)m

お約束、ご都合主義バンザーーーーーーーーーーイ(爆)

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