ザ・グレート・展開予測ショー

LONG TIME NO SEE4


投稿者名:人生前向き
投稿日時:(02/11/17)


横島の見舞いに行ってから二日後の朝早く、事務所に置いてあった電話が鳴った。元来目覚めのよいおキヌは、自室で寝ていたにもかかわらず、ごくわずかなその音に気づき、電話の置いてある部屋へと赴き受話器を取った。
「はい、こちらは美神除霊事務所です。」
「あっおキヌちゃんかい。西条だけど。」
「西条さんどうしたんですか。こんな朝早くに?」
「いいかい、これから僕の言うことを落ち着いて聞いてくれ。」
聞くからに西条の声は焦っていた。そしてもらした西条の言葉におキヌは初め、悪い冗談だと思ったが、聞くからに嘘を言っているようでない西条の気迫に、おキヌは呆然とその場で立ち尽くした


ドンドン ドンドン 
「美神さん!起きてください、美神さん!!」
激しいノックとともに取り乱したおキヌの声が聞こえる。
激しい音に美神は、慌てて寝ていたべッドから飛び起きドアの鍵(横島夜這い対策君1号)を開け、おキヌを部屋へ招き入れた。




「どういうことですか?」
横島の病室の前、美智恵は一人の男を前に声を荒げていた。 猫背でなければ身長は170cmくらいだろう男は、よれよれの安物スーツを着て、みるからに不衛生であった。

「いや〜なんですかな。昨晩、え〜っと名前はなんでしったっけ、そうそう横島でしったっけ。彼は昨晩、いきなり気でも狂ったかのように暴れだしましてね。異変に気づき取り押さえようとした私の部下に襲い掛かったんですよ。襲い掛かられ命の危険を感じた部下はその場でズドンとやっちゃったらしいんですわ。」

男はライターを取り出しタバコに火をつけた。犯人などすでにわかりきっている、美智恵は、何故横島の傍に自分の部下をつけていなかった、そう自分の愚かしさを呪った。

「その襲われた人に会いたいのですが。」

美智恵はすでに遅いとわかっていながら男に聞いた。

「彼は今、ICU(集中治療室)にいますよ。あいにく魔族にやられて生きれるほど頑丈に育ててなかったんで。」

「横島君の遺体は。」

「遺体なら研究所に送られましたよ。いまごろ科学者たちが両手を挙げて喜んでますよ。」

完全にしてやられた。握った拳をぶつける場所もなく、美智恵はその男のタバコを取り上げ壁の禁煙マークを指差すとそのまま踵を返した。


美知恵は先程奪ったタバコを休憩室の灰皿へ捨てると、壁にもたれかかった。 

《無力だ、彼に何もしてやれなかった。大戦後、過去に戻るのがもう少し遅かったなら、いやもとより予測しうるべき事態だった。しかしあの時は令子のことばかり考えて、彼のことなんて・・・。まるで令子を助けるために彼を犠牲にしたようなものね。なにをやってるのだか・・・・》

突然きた陣痛に美智子はお腹を押さえうずくまった。周りに人が集まってくる。

《こ、こんなときにくるなんて、神様も残酷ね。》

祝うべき新しい命の誕生、悲しむべき幼い少年の終わり。
悲しむ時間さえない。そうこの子のため。

美智子は母の顔へと戻った。




__久しぶりのこの作品 皆さんごめんなさい。

ちょっぴりダーク 死んでしまった横島君 しかし私の中では横島君は永久不滅です。

生きてます!!(たぶん

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