ザ・グレート・展開予測ショー

LONG TIME NO SEE 1,2,3


投稿者名:人生前向き
投稿日時:(02/11/17)

 小竜姫は戸惑っていた。
 何故私たちはこんな子を戦場へと送ってしまったのだろう。駆り出してしまったのだろう。彼一人だけに辛いことを押し付けて、どんどんと彼の手を汚していってしまってる。


 「じゃぁどうするべきだったんですか?」

 気持ちとは裏腹に無意識のうちに出てきた彼女の言葉に、彼女は苦虫を噛締めた顔をし、自分の発言を呪った。
 
 
 「横島さん。夕食お持ちしました。」
 看護婦が入ってきたのを見計らい、小竜姫はその場をあとにした。
 「三日後また来ます。」と一言残して。


 他に人影が見当たらない帰路を急ぎながら小竜姫は後悔していた、彼に言った言葉を。
 《私は彼を傷つけることしかできない。彼が私にすがりついてきたその手を、私は助けるどころか振り払ってしまった。なんであんなことを・・・》
 街灯がつきはじめ、彼女は足を止め、歩道の横にたたずんでいる木にもたれかかった。


 看護婦は夕食をベッドの横にある机に置くとそそくさ出ていった。
 俺はただジ―ッっと時間の流れを感じながら、焦点の合わない目で運ばれてきた夕食を眺めていた。


 小竜姫様が来た次の日、おキヌちゃんと美神さん、そして隊長が数回目になるであろうお見舞いに来た。彼女たちはいろいろ俺に話しかけてきたが、俺のたどたどしい反応を不信に思い始めていた。
 「どうかなさったんですか?」
 おキヌちゃんは痺れを切らして心配そうにたずねてきた。彼女は多分、俺がルシオラのことを考えているのだと思っているだろう。美神さんもそうだと思う。アシュタロス大戦後、彼女達とした会話は、何か尋ねられたら返答するという、まったくもってあじけないものばかりだ。今まで気づかずにいたが、心配する人がいることは幸せということを痛感した。
 「う〜ん。なぁぜだぁ〜〜〜!!こんなでかい病院なのに、美人な看護婦さんがいないんじゃぁぁぁ!!! 俺はハーレムを予想していたのに、こんなんだったら治るものも直らないっすよ。お願いします隊長、治療のためにもっと良い環境を・・・・・・・」
背筋が凍っていく、鳥肌がたつ、俺のシックスセンスがこの場を去れと告げている。しかし、傷を負っている俺が彼女たちから逃げることなど不可能だろう。

それならば!!
 「な、なー―んちゃって!!冗談ですよ冗談。いやーー今日は天気がいいですよね」
これで大丈夫だ。明日の朝日はおがめる。頭の中で行った計算ではうまく回避できたはずなのだが、シックスセンス警報機はいまだ光っている。俺はおそるおそる横に座っている隊長を見たが、彼女は憐れみの眼差しをこちらにやり、首を横に振っているだけだ。
「いや・・その・・・そうそう!!ここがどこだか知ってます・・・・・・よね?」


 その後はいつも通り、言葉にするのも恐ろしい夢を見さしてもらった。
 《馬鹿なこと言うんじゃなかったよ・・・・》
 俺は再び傷ついた体を引きずってヨロヨロとベッドに寝なおした。

 「私たち仕事があるから帰るわ。」
 「仕事の依頼がきたんすか?」
 「そうよ!久しぶりの仕事よ、ひさびさにぼろ儲けしないと。」
美神さんはコブシを振り回しながら、勇み足で部屋から出て行き、その後を追いおキヌも帰っていった。
 「じゃあ横島さん、また来ますね。」
ドアが閉められ、部屋にいるのはおれと隊長の二人となった。
少しの間、しょうもない話をしていたが、会話が途切れると隊長は、沈黙が続くのを避けるように次の話題を見つけだそうとしていた。

 「あまりよくない話ですかぁー。」
さっきからの隊長の落ち着かない態度は、昨日の小竜姫さまとダブっていた。俺の言葉にはっとして隊長は俺の顔を直視するやいなや黙ってしまった。
 「俺への今後の対応が国から発表されたんですか?」
 「何故それを・・・・・」
 「なんとなくです。」
テーブルの上にあったぬるくなったお茶を一気に飲み干し、やるせないような声で鞄から出した書類を、一文字一文字読み上げる隊長に顔を向けた。

「・・・・・であるからして、甲、横島忠夫を本日付でA級魔族とみなす。今後、甲は行動を制限され、すべての職務・教育に携わることを禁じ、戸籍から甲の名を取り除く。それに対し国は甲に、金銭面で多大な保証をすることをここに記す。」
 
 俺を一番知っている俺自身でさえわからなくなってくる、俺の存在を。
いや、彼らが見る俺が本物なのかもしれない。俺から見る俺は自分を誇大しているだけなのだろうか。
そうかもしれない。
そしていつか、自分さえも自分の前から消え失せていくのだろう。


 「あなたは強くなりすぎてしまった。」
隊長は書類を読み終え、彼女自身に訴えかけるような小声でつぶやいた。
 「いえ、弱いからですよ。」
 今、彼女と一緒にいたら、きっとまた昨日のように変なことを口走ってしまう。そう思い俺は、気にもしていないように、たんたんと枕の下に隠してあった財布を取り、彼女を一人残し病室から出ていった。
 
 ナースステイションの前の、喫煙スペースにある自動販売機の前で立ち止まり、何種類もあるジュースのサンプルから、まるで嫌味のように売っている商品に目が止まる
「ははは・・【幸せのみず 桃味】か。」
 俺は財布に入っている貴重な500円玉を自動販売機に与え、そのジュースを押す。
2・3回押しボタンを確かめると、売りきれの赤いランプがついていた。俺は溜息をつき隣にあるボタンを見もせず押すと、取り出し口に手を入れた。

「120円で買える幸せ、売り切れに注意ってな」

 自動販売機の横にある長椅子に腰をかける。気がつかない振りをしていたが、病室を出てからすでに周りには、病人らしからぬ体格をした男が三人、していることは様々だが彼に注意を向けていた。



いや続きを書いたんですが、皆さんお忘れかと思いまとめてほんの少し変えて投稿します。違反だったらすみません  

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