ザ・グレート・展開予測ショー

ANOTHER WAY!!(7)


投稿者名:ハルカ
投稿日時:(02/11/14)

俺達はついにアシュタロスを追い詰めたが、
もう少しのところで俺の『模』の文珠の効果が切れてしまい
飲みこんだ結晶の力に耐えきれなくなった俺の肉体は崩壊をはじめた。

うぐああああぁぁ!!

「ヨコシマ!!??
 私が一時的にヨコシマの中に入るわ!!
 数分なら肉体の崩壊を食い止めれるはず・・・・
 もしそのままヨコシマの肉体が崩壊すれば
 私も一緒に消滅するけど、ホレた男と死ぬのも悪くないわね!!」

ルシオラが一つの決意とともにこう言ったのを俺は薄れゆく意識の中で聞いていた・・・・



・・・・・ここはどこだ?
なぜ俺はこんなところにいるんだ?

!!
そうか・・・
あの時、文珠の効果が切れて・・・・
ということは、俺は死んだのか。

ここが極楽か・・・それとも俺の場合は地獄か?
あまりゾッとしない所だな。

ここは何も無い空間。
ただ、闇が蒼く広がっているだけ。
ただ蒼く蒼く蒼く蒼く。

そういえばあの後どうなっただろう。
アシュタロスだって無傷じゃない。
俺が与えた傷や、ジャミングやらで
ヤツの霊力も限界に近い・・・満足に動けるのはあと数時間ぐらいか。

世界が壊滅することはまずないだろうし
それに隊長がいる!!
あの人なら裏技でも反則技でもなんでも使って
あのアシュタロスが相手でもみんなを避難させる事はできるだろう。

唯一の心残りはルシオラのことだ。
俺が死んだと知ったらアイツはどんな顔をするんだろう・・・
死なないって約束したのに!
必ず幸せにするって誓ったのに!!
ああ、最期にあいつの顔をおがんでから死にたかったな・・・・

そのとき突然ルシオラの声が聞こえた。

(ヨコシマ!!どこにいるの!?
 お願い、聞こえたら返事をして!!)

「ルシオラ!!ルシオラなのか!?
 どうしたんだ!いったい!?」

俺は必死に言葉を返した。
すると目の前の空間が裂けて、その裂け目からルシオラが姿をあらわした。

「ヨコシマ・・・・
 よかった!もう逢えないかと思ったんだから!!」

そう言うとルシオラは目に涙をいっぱい溜めて俺の胸に飛び込んできた。

「ルシオラ・・・
 俺の肉体は崩壊したはずじゃ・・・?
 ここはあの世じゃないのか!?」

俺はルシオラに逢えた事に感極まって泣き出したくなる衝動を抑えながら
強くルシオラを抱きしめて尋ねた。

「グスッ、ここはヨコシマの深層意識の中よ。
 ヨコシマの肉体が崩壊しだしたのを見て・・・
 私、何とかしなくちゃって思って・・・
 ヨコシマの意識の中にダイブしたんだけど
 なかなかヨコシマの魂が見つからなくて・・・
 早くしないとヨコシマが死んじゃうって思うと不安で押し潰されそうで・・・
 泣かないって決めたのに!
 泣かないって決めたのにヨコシマの顔を見たら・・・・・・・
 うああああああああん!!!!」

そう言うとルシオラは俺の胸の中で泣き出してしまった。

そんなに不安だったのか・・・ルシオラ。

!!

俺は重要なことに気がついた。

「ってことは、このまま俺が死んだらお前も死んじまうのか!!?
どうなんだ!?」

「そっ、それは・・・・」

ルシオラの顔に動揺の色が見える。

(ここまできてヨコシマを騙すことなんてできっこないわね。
 ヨコシマ、死ぬ時は・・・死んでも一緒だからね。)

「ええ、そのとおりよ・・・」

ルシオラの顔が暗くなる。
何もかも決意してきたつもりだったけど
ヨコシマを悲しませることだけは・・・つらい。

横島はルシオラを責めるのだろうか?
『どうしてそんな危険なことをするんだ!?』と。

しかし返ってきた横島の声は想像に反するものだった。

「だったら俺はまだ死ぬわけにはいかねーな。
 ルシオラ!!肉体の崩壊を食い止めるぞ。手伝ってくれ!!

 ・・・ありがとな、ホントの事を言ってくれて。
 もし俺がお前の立場だったら
 迷わず同じ事をするだろうから文句なんか言えねえよ。」

ルシオラは嬉しかった。
彼は自分の心を理解してくれた。
自分の不安を打ち消してくれた。
今までの不安が嘘のように思えてくる。

本当にヨコシマならやってくれるかもしれない!!

「そうね、ホレた男と死ぬのも悪くないけど
 一緒に生きていたほうが100倍いいものね!!
 まずは霊力を高めてこの深層意識内から出ることが先決よ。
 それで一時的に肉体の崩壊は止まるはず・・・
 最終的に崩壊が止まるかどうかは霊力次第ね。」

二人の霊力の放出と共に、この深層意識の空間に亀裂が走っていった。



「な!?肉体の崩壊が始まらないだと!?
 ・・・・ルシオラが何かしているのか。
 これ以上厄介なことになる前に完全なるトドメを・・・刺す!!」

ズン!!

アシュタロスがトドメを刺そうと歩を進めようとしたとき
見えない何かがアシュタロスの行く手を阻んだ。

「これは圧縮空気の壁か!?
 こんな真似ができるモノは・・・・」

アシュタロスがおキヌちゃんの方をギロッと睨む。

(横島さんを傷つけさせはしない!
 その為に私は歌い続けるのよ!!)

おキヌちゃんも負けじとキッとアシュタロスを睨み返すが・・・

「こざかしい!!!!」

アシュタロスはすべての霊力を開放し強引に
おキヌちゃんの作り上げた壁を突き破ってゆく。

(ダメ!!負けられない。
 私だって横島さんにこの場を任されたんだから!!)

おキヌちゃんがアシュタロスに対抗して霊力の出力を上げたとき

カハッ

おキヌちゃんののどが切れて血が流れ出した。
それでもおキヌちゃんは声にならない声で歌を続けようとする。

「だめよ!おキヌちゃん!!
 もうおキヌちゃんの体には霊力がまったく残ってないのよ!!
 ロウソクの最後の瞬きが消えるのと同じだわ!!
 それ以上続ければ間違い無く死ぬわよ!」

状況を見かねた美神さんがおキヌちゃんを止めようとするが
おキヌちゃんは歌うことを・・・いや歌おうとすることを止めない。

おキヌちゃんはあらん限りの霊力を振り絞り
まさに命の灯し火が消えようとした瞬間、
横島にもらった『救』『命』の文珠が輝きを放った!!

二つの文珠がおキヌちゃんの霊力に変換されてゆく。

その霊力に反応するようにおキヌちゃんの作り上げた
圧縮空気の壁が収束しアシュタロスを囲むように球状に集まった。

そして、一点に集められ更に圧縮された空気がレーザーのように
何発も打ち出されアシュタロスの体を打ち抜く!

アシュタロスの体に無数の穴があき、ヤツももう限界に見える。
だが、アシュタロスは必死に立ち上がろうと試みる。

大打撃を与えたおキヌちゃんだったが、それからすぐに
糸が切れた人形のように倒れてしまった。

「おキヌちゃん!!」

限界を超えて歌を歌い、
その場に倒れてしまったおキヌちゃんを美神さんが抱き寄せる。

「・・・・・よかった。気を失ってるだけみたいね。
 横島クンの文珠が無かったら本当に危ないところだったわ。
 まったくあのバカ、こんなに心配してくれている娘がいるっていうのに・・・
 早く帰ってきなさいよ!!」



俺とルシオラは霊力を上げてまだ肉体の崩壊を食い止めていた。

「もっと霊力を上げて!!
 今は一時的に崩壊がおさまってるけど、完全に崩壊を止めるなら
 まだ霊力が足りないわ!!」

・・・俺は生きて帰れるのだろうか?

「ヨコシマ!!聞いてるの!?」

ルシオラを元気づけようとしてあんなこと言ったけど
本当のところは・・・不安だ。

「・・・もう、ヨコシマってば!!」

そう言うとルシオラは俺の顔をとり、唇と唇をあわせた。

我にかえりあたふたする俺を見ながらルシオラは真面目な顔で
言葉を続けた。

「もう、ヨコシマ!目が覚めた?
 自分一人ですべてを抱え込まないで。不安があったら私に言ってちょうだい!!
 ヨコシマが私を支えてくれたように、私もヨコシマを支えたいの!!」

(ルシオラ・・・ありがとう。)

もう心の中に不安や迷いは無い。
心の底から勇気と共に霊力が湧き上がってくる。

俺達のいる空間に亀裂が入りその隙間から光が差し込んできた。

「やったわ!ヨコシマ!!
 これなら肉体の崩壊が止まりそうよ!!」

ルシオラは喜びの声を上げ、そして俺は・・・

「・・・なあルシオラ。
 この件がすべて終わったら俺たち、結婚しないか?」

「・・・・・・・・・えっ!?
 な、何言ってるのよこんな時に!!」

ルシオラはあわてて言葉を返すが俺は本気だ。
ジッと真面目な顔でルシオラを見つめる。

「今すぐ、返事はしなくていいよ。
 全部終わったら返事してくれ。」

やっと掴んだこの幸せを!やっと掴んだ俺を支えてくれる女性を!
俺は二度と離したくはない!!

「・・・わかったわ。
 だから全部終わるまで死んじゃ嫌だからね!」

ルシオラがそう言った瞬間に俺たちのいる深層意識の空間が砕け
あたりにまばゆいばかりの光がひろがった。



気がつくと俺はもともといた空間に戻っていた。
崩壊を食い止めることに成功したようだ。ルシオラも隣にいる。

「クッ、肉体の崩壊を止めたのか。
 だが貴様にはほとんど霊力など残ってはおるまい!!」

アシュタロスが憎たらしげにそう言うと背中の主砲に霊力を込め始めた。

「お前もな。お互い最後の一発ってわけか。」

俺も言葉を返しながら霊波刀の出力を上げる。

一瞬の静寂の後、アシュタロスが主砲を発射した!!

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