悪夢ふたたび(終)
投稿者名:3A
投稿日時:(02/11/13)
―俺は…あいつを…守るはずだったのに…守れなかった…
闇の中で横島は同じことを何度も呟いていた…
―苦しい…この苦しさから逃げたい…もう…俺は…
『情けないわよ。』
―!?…今の声………いや…空耳か…
『そんなヨコシマ見たくないわよ…』
「ルシオラ!?」
目の前に彼女がいた。そして彼女の瞳から涙が流れていた。
「ル…シオラ…」
『お願い…生きて…あなたを必要としている人たちがいるのよ…その人たちを悲しませるの…?』
「………」
横島は何を言ったらいいか分からなかった…
ルシオラは横島に抱きついた。
「ルシオラ…」
あたたかい…そう感じた。
『あなたがつらいと…わたしもつらい…』
「……俺…お前を…お前を守るはずだったのに…」
目頭があつくなるのを感じた。
『………自分を責めないで…』
「で…でも…俺は…」
『また会えるわ…また…』
横島はルシオラを強く抱きしめていた。
「はあ…はあ…」
阪上はもう血だらけで立っているのがやっとだった。
「だ…大丈夫ですか…さ…阪上さん…」
小竜姫もボロボロだった。
「小竜姫さんこそ…」
「もう終わりか…残念だな…」
アンの手に文殊が現われた。そして一つの文字が浮かびあがる…
「これで…おわりだ!!」
アンが文殊を投げようとしたその時文殊が爆発した。
「な…ど…どいうことだ…!?…うっ…うう…うわあああああああ…」
突然アンは苦しみだした。
「ど…どうしたんでしょうか…」
「多分…横島さんがアンを追いだそうとしてるんですよ…」
阪上は床に座り込んだ。
「ふう〜」
「よ…横島さんが…」
小竜姫は嬉しそうな顔をした。
「ただ…はたして…勝てるかどうかは分かりません…負ければ横島さんの…魂は消滅するかも…」
「そ…そんな!?」
「僕たちにできることはただ一つ…横島さんが勝つことを祈るしかありません…」
「………」
小竜姫は心配そうな顔をした。
「大丈夫………横島さんは…あなたの弟子なんですから…」
「こ…これは…おのれ…横島め…わ…わしの邪魔を…」
激しい痛みが体じゅうからくる。
「う!?や…やめろ…やめろ―――――――!?」
人魂みたいなものが横島の体からでてきた。
「…あれが…アンの魂…」
阪上は立ち上がりその魂を赤い剣で真っ二つにした。
「うぎゃあああああ………」
大きな悲鳴が部屋の中に響く…
「さようなら…アン…さようなら…父さん…」
阪上は涙を少し流した…自分を育ててくれたのはアンだった…たとえ前世の自分と敵どうしであっても…育ててくれたのはアンだった…
「…俺は…自由になったんだ………」
「横島さん!!横島さん!!」
「…!?…あれ?小竜姫さま…どうしてここに…」
「良かった…気がついたんですね…」
小竜姫は涙目になっていた。
「ア…アンは…」
「消えましたよ…もう復活はできないでしょ…」
自分に体をヒーリングしながら阪上が言った。
「また…あいつに助けられたな…」
横島は小さく呟いた。
「さ…阪上…お…お願いだから…落ちるなよ………」
「よ…横島…さん…は…話し掛けないで…く…ください…」
阪上は今にも泣きそうな顔をしていた。今横島たちはゆっくりゆっくりと地上へ降りていっている。
城が空に浮かんでいたので飛んで降りなければならない。
小竜姫は傷がひどくダメージを受けていてヒーリングだけでは回復できない。
横島の文殊で飛ぶこともできるが横島もダメージがひどく文殊をだせない。
それで…飛べるのは阪上だけだった。
「………下を見ない…下を見ない………」
横島と小竜姫を抱えながら阪上は呟いていた。
「こ…こわい…フォーを怒らせたのと同じくらいこわい………」
「…お前…なんで飛べるのに高所恐怖症なんだよ…」
「………そ…そんな事言われたって…こわいものはこわいですよ…」
そして阪上はチラッと下を見てしまった。
「………うわ―――!!!!?????めっちゃくちゃこわい―――もう嫌だ―――」
「こ…こら!!こんな所で落ちるなよ!!」
「さ…阪上さん…落ち着いて…」
「うわあああ…」
阪上は完全にパニくっていた…
半年後―――。
「だあだあ」
「も…もう勘弁してほしいでござる…」
「わ…わたしも…」
シロとタマモはもうくたくただった。赤ん坊の世話はやっぱりきつい…
「シロさんたちと遊んでもらえて嬉しいだろうな…」
阪上は椅子に座りながら言った。
「で…あんた今なにやってるの?」
美神はコーヒーを飲みながら言った。
「まあ…フォーが働いてるんで…僕は…家事をやってますよ…洗濯とかご飯の支度とか…」
「ふ〜ん…」
「横島さんは?」
「ああ…今小竜姫のところに行ってるわよ。」
「はあ〜また修行ですか…あれ?美神さんそれはなんですか?」
「え!?」
床に遊園地のチケットが落ちていた。
「あ…こ…これは…」
「……そうか!?横島さん…」
阪上は途中で言葉が出なくなった。美神がすごい顔で睨みつけている。
「勘違いしないでよね…」
「え……ぼくは別に…なにかわるいことでも…」
このあと「横島さんたちと行くんですね。」と言うつもりだったらしい。
「あ…あ…あの…」
「つ…疲れた…」
「まだまだこれからですよ。」
「そ…そんな…」
今日の小竜姫はとても機嫌がいいようだ。
「ねえヒャクメ…なんで小竜姫は機嫌がいいんでちゅか?」
お茶を飲みながらパピリオが言った。
「横島さんと今度遊園地に行くんだって…」
「え〜〜!?きいてないでちゅよ!」
「二人で行かしてあげなさいよ………カメラ用意しとこうっと…」
「なんででちゅか?」
「友だちの初デートを記念にとっておこうと思って…」
ヒャクメは嬉しそうな顔をした。
「私ってなんて友だち思いなのかしら…」
今までの
コメント:
- やっと終わりました…本当に長かったです…
それはそうとヒャクメとパピリオが久しぶりに登場しました。
もうちょっとこの二人は使いたかった… (3A)
- まずは本当にお疲れ様でした;「横島忠夫ただいま修行中」から考えますと、約9ヶ月にも及ぶ長期連載になりましたね。ラストでも横島クンがルシオラの助けを貰ったものの、ほぼ自らの力でアンの呪縛から抜け出せることの出来た点が良かったです。「その後」っぽいラストの方での話では彼も小竜姫さまと上手くいってるようですし、今回の物語のもう一人の主役だった阪上クンも幸せそうな生活を過ごしてるみたいですね。個人的にお気に入りの作品の一つだっただけに、連載終了が寂しいです(笑)。改めましてお疲れ様でした♪ (kitchensink)
- 私からも、祝辞を述べさせていただきます。長い間、ご苦労様でした。私は長期連載が出来ないところが悩みの種であるだけに尊敬してしまいます。
坂上緑クンの解放・その後のキャラたちのほのぼのとした雰囲気が印象的でした。坂上クンのキャラは、私としては親しみ易い感じがして好きですよ♪
…どうしてもkitchensinkさんと被ってしまう……(自爆)。 (マサ)
- kitchensinkさん
いつもコメントをしてくださって本当にありがとうございます。
この作品が気に入ってもらえてとても嬉しかったです。
マサさん
阪上が気に入ってもらえて嬉しいです。どんな奴にしようか迷っていたんですがこんなキャラに………
本当にありがとうございます。
それはそうと…『緑(ちゃん)』という名をぜんぜん使わなかったな…使いたかった…(今ごろ) (3A)
- 完結おめでとうございます。そして、お疲れ様でした。
なんと言いますか、最後は収まる所に収まったと云う感じですね。最も、横島と小竜姫の仲に関しては、まだまだ本決まりでは無い様ですが。
それにしても阪上よ。お前、ヒモになっちまったんだなぁ(涙) (黒犬)
- 黒犬さん
小竜姫さまと横島くんの仲はどうなっていくか………ライバルが多いですね…(でも小竜姫さまが勝ってほしい…)
コメントありがとうございました。
(3A)
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