ザ・グレート・展開予測ショー

交差じゅーよん。


投稿者名:hazuki
投稿日時:(02/11/13)

ただ単に、光と言うには酷く激しい、白いそれ。
目を焼き尽くすかと思われるほどの光の洪水。
視界が、白い光に、覆われる。
「なんだああっ」
車から降りてきたのだろう、横島は腕で顔を覆っていう。
「きゃっな、なんですかっ!?」
同じようにおきぬ。
ちゃきっと、どこからか出したであろうサングラスを掛け、きょろきょろっとあたりを見渡す美神。
ぞありと、背筋を這い上がるような、悪寒を感じながら、美神はそこを探していた。
─くる!
そんな確信を持って。
この状況で、この状態、敵に襲ってきてくださいと言っているようなものである。
そして、この得たいのしれない不快感。
美神の一流の勘、いやそれ以上に、いままで生き延びてくるために研ぎ澄まされたなにかが、危険だという。
が、そう美神がどこからくるかというものを捜す前に、藤吉郎が動いていた。
しゅんっと
身を屈め、ぐんと足を進め、そこへと一直線へと。
目はまだ光の影響で見えはしないが、それは今の藤吉郎にはなんの関係もなかった。
見えてないのに、見えている。
矛盾しているのだが、そうとしか言い様のない状態なのだから。
目は光に焼かれているのに、なのに、目の前のものが見えるのだ。
それは目で見ているのではない。他のなにかとしか言い様がない
そおゆう感覚は、人には説明できない。
そして光がその一点、そう光が集まってゆく方向へと藤吉郎は走っていた。
手にはくないを持ち、振りかぶりそこへと振るった。

きぃいんっ

甲高い金属音が響き渡る。

本来なら、それまでの空間には、誰もいなかったはずなのに、間違いなく刃物でうけるその音が聞こえる。

目の前には、白髪の、少年。
線はいささか細い、肌の色はどこまでも、白く透き通るかと思わせる、一見した所、女性じみた軟弱なものを思わせる顔のつくりなのに、その瞳、その瞳にある光、いや炎が、強いその人の本質を表している。
さらりと、極上の絹糸を思わせる、雪のようなという表現が相応しい、髪は腰まで伸びており一つでくくっている。
ゆったいと、動きやすい、シャツにハーフパンツという服装なのに、手にある日本刀がどこか、アンバランスだ。
少年は、ゆるりと、口角を吊り上げる。
そして、その瞳の、底のない、淀んだものは、まぎれもなくヒカゲと同じ種類の瞳で。
ぞわりと、
熱い身体に、冷たい水をかけられたような感覚に襲われる。
(こいつはっ)
「よく、わかったね」
そして耳に届く声は、確かに頭できいたものと同じで。
「なんで!!!こんなことをするんだっ」
その瞳に飲み込まれそうになる、自分を叱咤するかのように、藤吉郎。
「君こそ、なんで、そんなにこの人たちを助けようと、するの?関係ないのに?」
心底不思議そうな口調である。
刀に込められた、力は少しもゆるがない。
ぎりぎりと、その細身とは思えないほどの力に押されながら、藤吉郎はいう。
「んなのっ、ここで見捨てたらっ死ぬより酷い目に合わされた挙句に、三代先まで呪われそうに決まってるからだろっ!!!」
と。
…どーやら、藤吉郎はニンゲン(妖怪?)を見る目は確からしい。

つづく。

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