ザ・グレート・展開予測ショー

#新歓企画『対決!!』Ver:マサ・5


投稿者名:マサ
投稿日時:(02/11/10)

マリアが2点連取したため、今度は横島のサーブである。
「ふっふっふっ…これでどうだっ!」
そう言って横島が出したのは……胡椒(こしょう)?
横島は球を上空に高く放り投げると、体を勢い良く左に回転させ、胡椒の粉を撒き散らす。
その結果…
「はぁ…はぁ…はぁ〜っくしょーい!!」
 カコ〜ンッ
くしゃみによって一時的に回転の勢いを更に増したところに、落ちてきた球が当たって見事にサーブとして決まる。
鋭い回転の掛かった球が横島から見て台の左端から角度を変え、マリアの懐に高速で突っ込む。
「打ち返せる確立・82.7%!」
 カコッ
マリアのラケットが球を捉える。
と、その瞬間。
 パキッ …ヴヴ――ッ…
ラケットが割れ、変な音を響かせてマリアの動きが止まる。
「どうしたんじゃ、マリア!?」
『駆動部に原因不明のエラー発生…エラー発生…エラー…ピー…ガガガッ…』
マリアの口からではなく、何処からか聞こえる音声も乱れてきた。
「しっかりしろーマリア〜〜〜!!小僧、マリアに何をしおった!?」
「さぁな〜。俺は知らんぞ〜≪鉄球のお返しじゃ〜!≫」
全く知らんとばかりに横島。
「あいつ、【障】の文珠を使ったわね〜っ!?」
「横島さん、サイテー……!!」
流石に、この二人には分かったようだ。
いや、それよりも美神譲りの卑怯な技の方が流石かも知れない。

横島の卑怯な方法について説明しよう。
まず、手に持った状態で予め球の中に文珠を作り出すという器用な技を行う。
次に、胡椒を使ったサーブで相手の注意を引き、更に回転で大きな振動を与えないようにする。
そして、相手が打った瞬間に文珠の効果が発動するという寸法だ。

「あのロボットを行動不能にするとは、やるじゃねぇか。横島!」
ここに勘違いをしている人物が一人。
「おおっ。主よ、哀れなる子羊をお助けください…」
「…僕からもお願いします」
祈ってみる唐巣とピートであった。

と、その時…。
「ここだよー。変な人が台を壊してるのー」
「こらーっ!おまえたち、そこで何をしているーっ!!」
利用者の少年からの通報で事務の人が来たようだ。
大人の利用者は腰が抜けて動けなかったのか、数名がその足元に座り込んでいる。
「あああっ、見つかっちゃった…!?」
「どうするんスか、美神さん!」
「勿論!」
「「「「「勿論…?」」」」」
一行が息を飲む。
「逃げるに決まってるでしょ!!」
「やっぱりそうなるんかー!こんなんばっかし〜!」
頭を抱えて涙を流す横島。
「いいから!早く逃げるわよ!」
「堪忍や〜!仕方なかったんや〜!」
 プシュゥゥゥ…
横島は【煙】の文珠で煙幕を作り出す。
「ごほっごほっ。こらー、何処行ったー!」


煙が晴れた時には、先程の人影は消えてその代わりに一束の現金と壁に大きな穴が残されていた。
 カラァン…
手に持ったモップが床に倒れた乾いた音だけが無残に破壊された体育館に空しく響く。












場所は変わって、とある公園の一角。
 サアアアァァァ……
「ううっ……もうダメです…」
「ご苦労様♪」
霧になったピートがマリアを担いだまま倒れこみ、それに美神が労いの言葉を掛ける。
「マリア〜〜〜!」(泣)
「あ〜っ、ピートさん大丈夫ですか?あうあうっ」
「ピート君、君は良く頑張ったよ」
「ピートぉ、おまえがいなかったら俺はどうやって生きろって言うんだ!」
「酷だな…」
「仕方ないでしょ。霧にならなけりゃあ、マリアを運ぶなんて不可能よ」
色々な言葉が飛びかう中、全員でマリアの体を横に転がすのであった。
「美神の旦那、こんな事していいのか?」
「あのまま捕まりたくはないでしょ?この私が修理費用まで置いていってあげたんだから、感謝して欲しいくらいだわ」
別に威張るような事ではないとは思いつつ、苦笑しか出来ない雪之丞。

暫くして…
 チュイィィィン…シャカシャカシャカ…
『各システム、正常に作動開始しました』
機械的な音声と共に、マリアが起き上がる。
「おおっ!?直ったぞ」
「よ、良かったっスね…(ドクドク…)」
正常に戻ったらしいマリアとは対照的に、美神の折檻にボロボロな横島。
「で、試合の勝敗はどうなるんだ?」
「そう言えばそうだったね」
「あー、分かった分かった。もう問題はお断りだわ」
「ということは?」
美神の言葉に、不死身の横島が起き上がって目を輝かせる。
「…今日は私が奢ってやるって言ってんのよ!」
「「「本当(ス)か(ね)!?」」」
予想外の言葉に驚く面々。
「本当よ!」
「やったぁ!!これこそ正に神の恵みー!」
人のちらほら見える公園に、横島の声が大きく響き渡った。







               ―― 完 ――

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