ザ・グレート・展開予測ショー

温かい想い(その8(B))


投稿者名:ユタ
投稿日時:(02/11/10)








美神達が見たもの・・・

それは『西条』の形をした残留思念だった。

『ギギギギィ〜(←笑い声)、
ボクの特技の一つはダメージを与えた相手の残留思念を作りだし、使役することが出来るギィ!』

「な!?まさか西条さんを!?」

最悪の予想が一瞬美神の頭をよぎる。

『名前なんか覚えてないギィ!ただ、ボクの周りをチョロチョロしてたんで返り討ちにしてやったギィ!ギギギギギィ♪」

「そ、そんな・・・・・じゃあ西条さんは・・・」
「ソウトに果敢に挑んで・・・・」
「死んだ・・・」

美神と同じく最悪の結果を思い浮かべ、力なく呟くおキヌ、シロ、タマモ。
そしておキヌ達の隣では・・・

「くっ・・・・西条!お前が死ぬなんて・・・・・・・安らかに眠ってくれ!!」

横島が力拳を握り「ダー」とわざとらしい涙を流す。

「横島さん、目が笑ってますよ・・・」
「あ、あっれーおかしいなぁ♪」

『別にトドメはさしてないギィ、面倒だったギィ』

「コラアァ!てめえ!それでも悪魔かぁ!しっかりあの世の送っ・・・・げふっ!」
「もういいから、あんた少し黙っときなさい・・・」
「ふぁい(はい)」

美神の裏拳が顔面にメリ込んだまま、横島が答える。
そんなことをしてる間にソウトに操られた、西条の残留思念が飛び掛ってきた!

「くっ、これは!」
「つ、強い!」

前衛を任せられていたシロ、タマモに次々と霊剣ジャスティスもどきの剣で攻撃をしかける西条の思念体。

『ギギギ〜♪そいつは残留思念というより思念体・・・・・もはや実体に近い存在だギィ〜♪』

「精神力を具現化する能力を持ってるGSがいるって聞いたことがあるけど、それに近いもの・・・ね」
「み、美神さん!そんなことよりシロちゃんとタマモちゃんが!!」

冷静に相手の能力分析する美神の身体をおキヌが揺らす。
オリジナル西条に近い剣術に徐々に押されるシロ、タマモ。

「確かにこれは助太刀してあげないと・・・・・・・ね!」

美神が神通棍で参戦した・・・・・・・が

「え?」
「あれ?」

西条の思念体は急に方向転換すると、別の人物へ斬りかかった・・・それは

「わーーーーーーーっ!何で俺ばかり狙うんやーーーーーっ!!!」

横島だった。横島に先程以上の剣撃を繰り出す西条の思念、
その表情はどこか嬉しそうだった

「み、美神さーん!助けてくれーー!」

何とか西条の思念体の攻撃を、受け止めながら横島が助けを求めた。

「あんた、よっぽど西条さんに恨まれているのね〜。・・・おキヌちゃん!」
「はい!・・・横島さん、今助けます!」

ピリリリリリリィィィィィィ!!!!!

懸命に吹くおキヌネクロマンサーの笛の音色が周囲に響き渡った。
すると西条の思念体が苦しそうな声をあげ動きを止める

「今よ!横島クン!」
「往生せぇぇぇやああ!西条ーーーーっ!!!!」


『滅』


横島はありったけの怒りを込めて文珠を投げつける。
『グアアアアアアア!』という断末魔をあげながら、西条の思念体が光に包まれ消えていった・・・

「ふぅ、少しは気分が晴れ・・・・ゲフ!」
「バカタレぇ!何、文珠使ってるの!もったいない!とどめなら霊波刀を使いなさいよ!」
「い、いや、奴の顔をみたらついつい(汗)」
「ったく!あと文珠何個!?」
「3個くらいっす・・・」
「キツいわね・・・」

今後の戦いの展開を考えると、もう少し文珠が欲しいというのが美神の本音だった。

『ボクの思念人形が・・・これは少し面白くないギィ!』

ソウトの表情が少し怒りに変わる。ソウトが鉄杖を掲げると先程と同じように空間が歪み、新たな思念人形が現れる・・・それは

「お、俺の残留思念!!!?」

横島の残留思念だった。
そして雄たけびににも近い声で叫ぶ・・・

『お、女ぁ!女ぁ!!』

ズッコケる女性陣一同

「お、おおおお俺はこんな奴じゃなぁい!」
「こんなもんよ、現実を見なさい」

涙を流しながら首を横に振る横島に、美神がポンポンっと肩を叩いた。

『こいつは「トウキョウ」というとこで見つけてきた活きのいい残留思念だギィ!やれギィ!』

『女あぁぁぁ!!』と叫びながら横島の思念体が飛び掛ってくる。
横島は「嘘やぁ、嘘やぁ!」と泣きながら戦意喪失・・・
シロとおキヌは残留思念とはいえ、横島に攻撃しにくいのかオロオロするばかり。
唯一の戦力になったのがタマモ・・・

「私がやろうか?」

と、美神に声を掛けるが

「いいえ、コイツは私がやるわ」

タマモの前に立つ美神、横島の思念人形との距離はわずか3m・・・美神は息をすぅっと吸うと・・・




「コラアアアアアアアアァァァっ!!!!!!!横島ああああああああああぁぁぁぁぁっ!!!!!」



カラスも驚いて逃げる大声で叫んだ!その声にビクゥっと怯えてその場で立ち止まる横島の残留思念。
美神はツカツカと近付いて

「あんた、丁稚の分際で私に襲いかかろうなんていい度胸ね!!ああん!!?」

まず右フックで殴り倒すとヒールの底で踏みつけながら、神通棍の先端でグリグリと押しつぶす

「『ひいぃぃ!!すんまへん!すんまへん!堪忍やあぁぁぁ!仕方なかったんやぁぁぁ!!!』」

なぜかオリジナルの横島まで一緒に泣いて謝る。

「・・・多分横島さん本人に言ってるんじゃないですよ」

おキヌが横島に近付いて、苦笑いしながら耳打ちした。

「あ、そ、そうか・・・・・・・・・・にしても・・・・・・・・・」

横島は自分の思念体に折檻する美神をダラダラと汗を流しながら見つめた。

(文字通り、俺の思いを踏みにじる美神さん・・・・笑えん!全然笑えんぞおおおぉぉぉぉ!!!)

涙をダーっと流す横島。
そんなことをしてるうちに横島の残留思念が霧散していく。

「根性ないわね〜・・・。ま、オリジナルがオリジナルだからね・・・」
「ほっといてくれーーーーーーーーー!!!(大泣)」

『ま、まだまだギィ!これならどうだギィ!!』

またしても残留思念を造りだすソウト


ビュビュ!と空間が歪む

「い、嫌な予感がするわね・・・」

バシュウ!

・・・現れたのは・・・
亜麻色の髪は長く美しく伸び、抜群のプロポーションを誇る女性型の残留思念・・・

「やっぱり私の残留思念ーーー!・・・(汗)」

予想通りの展開に美神の顔がひきつる。

『一番強い残留思念だったギィ!これならどうだギィ!』

『金ぇ!金ぇ!金ぇ!』



ズシャアアアァァァァァァ!!!!!



美神が派手にズッコける。

「嘘よぉぉ!こんなの私の残留思念じゃないわぁぁぁぁ!!!」

うおー!と涙を流しながら叫ぶ美神

「ま、間違いなく・・・み、美神さんの残留思念だ・・・・」
「え、ええ・・・」
「うう、何か恐い残留思念でござるな・・・」
「まぁ、自分の姿を客観的に見るいい機会ね」

美神の思念体に4者4様の反応を見せる横島達。


「嘘よね!?あんなの私の残留思念なわけないわよ!ね!?おキヌちゃん!?」

美神はガクガクとおキヌの肩を揺らす。

「え!・・・・・・・・そ・・・・・・それは・・・・・・・・」

おキヌは涙を流しながらフっと目をそらした。
その状況を苦笑いにながら見るシロとタマモ。

「美神さん!おキヌちゃんになんて残酷な質問をするんですか!?」
「うるさい!」

ドガぁ!

地面に血をダラダラ流しながら横島は倒れこんむ・・・・・・

『世の中金ーーーーーーー!!!』

「あ、あさましい残留思念ねぇ・・・」

タマモが美神の残留思念に少しビビりながら言った。

「・・・・・・・オリジナルがオリジナルだけに・・・・・ブギっ!」

倒れている横島の後頭部に美神の踵(かかと)がメリこんだ

「み、美神さん!取り合えずアレなんとかしないと・・・」
「そ、そうね・・・・・・・まぁ一応私似の思念体だから、私が消すわ」

横島を助けるようにおキヌが美神に声を掛けた。
美神が神通鞭へと変化させ、自分の残留思念へと飛び掛かる‥・・・だが

「でやぁぁぁぁぁ!!!!」
『金えぇぇぇぇぇ!!!!!!!!』

美神の残留思念も神通鞭を振りかざし、それを叩きつけた。


バチチイイイイイイイィィ!!!



両者の神通鞭が衝突し、先ほどと同様にスパークが起こる。
2秒ほど均衡を保つが・・・

バシィ!

「きゃああああああああ!!!!」

吹き飛ばされたのはオリジナル美神のほうだった。

「いたたた、さ、さすが私の残留思念ね(←認めた)・・・・・・・・横島クン!文珠使っていいから、フォロー!」

「へ、へい!」

美神の前出る横島。キィィンと文珠が光始める。その文字は・・・・・・・・・『惚』

ドガァ!

「いでぇ!」
「あんた・・・その文珠を何に使う気かしら・・・」
「い、いや・・・思念体とはいえ美神やし〜・・・」
「真面目にやらんかぁぁぁ!!!」
「す、すんまへん!」

改めて文珠に『滅』という字が浮かぶ。
気合をこめて投げつけようとする横島の手を美神が掴んだ。

「な、なんすか!」
「あんた!『滅』って何?!もっと穏やかな字にしなさいよ!思念体とはいえ私なのよ!」
「こんな時にわがまま言うなーーーーーーー!!!(泣)」

泣きながら叫ぶ横島。そんな隙だらけの二人向かって美神の残留思念が飛び掛ってくる。

「かかった!!」

先ほどまでふざけていた表情のオリジナル美神が、
思念体美神の足元に神通鞭をヒットさせる。予想しなかった攻撃にバランスを崩す思念体美神。

「横島クン!!」

「日頃の恨みいいいいいいいいいいぃぃぃぃぃっ!!!!!」




『浄』




カアアアアアアアアアっと光が美神の思念体を包む。
光の中で消えていく美神の残留思念・・・
そう、先ほどのふざけた漫才(?)は相手を油断させる為の演技だった。
横島はそれを長年の付き合いからアイコンタクトで理解していた。

「ふぅ、大丈夫っすか?美神さ・・・おゴオぉォっ!!」

横島のみぞおちに美神の熊殺しパンチが炸裂する。

「あんたが、日頃・・・私をどういう目で見てるかよぉくわかったわよ・・・・」

低く体の奥に響く声・・・
美神が微笑を浮かべる・・・・・・・もちろん目は笑っていない。
どうやら先ほどのセリフが美神の逆鱗に触れたようだった・・・

「じょ、冗談ですってば!堪忍やあぁぁぁぁ!!!!」

横島の弁解など聞かずにゲシゲシと蹴りを入れ続ける美神。
いいかげん哀れに思えたのか、やっと思いでおキヌとシロが必死に美神をなだめる。

「ねぇ・・・どうでもいいけど、アレほっといていいの?」

タマモが指をさす。それは・・・怒りで震えるソウトだった・・・・







その9に続く

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