ザ・グレート・展開予測ショー

温かい想い(その6(B))


投稿者名:ユタ
投稿日時:(02/11/ 5)







美智恵はエレベータから降り、しばらく廊下を歩く。
そして第3小会議室とプレートがついたドアの前に立った。


コンコン


美知恵が軽く二回ノックをする。だが、中から返事はない。

美知恵はガチャっと取っ手を回し、中に入る。
会議室の中は暗く・・・
部屋の中にある壁時計がチクタクと静かに秒針を刻んでいる。時刻は午後7:30と表示されていた。
もちろん誰もいなかった。換気扇の電源も点いていないためまさに時計以外は無音状態・・・・・・・そこへ・・・・・・・










バシイィィィィっ!!!!!!!




何がぶつかる激しい音が部屋に響いた!音源・・・それは青い厚いファイルが
壁に叩きつけられたことによるものだった。もちろん投げつけたのは美智恵。
ブルブルと全身を振るわせる・・・・・・・・そして








「ふっっざけんじゃないわよぉぉぉぉぉっ!!!!!!!!!!」







美知恵が怒りの限りをあげて叫んだ

「何が証拠がないよ!これだけ資料を揃えてまだ足りないですって!!
大体、他の悪霊の可能性のほうが高いというデータ!?
どっからそんな情報が入るのよ!私は聞いてないわよ!」


ドカアアアアアアン!!


美知恵が会議用の長机を派手にひっくり返す

「女だてらに?産休?旦那も夜の楽しみが増える?
女性蔑視にセクハラじゃないの!!?
アシュタロス戦の時、責任が降りかかる面倒なことは全部他人に押し付けといて、
あんたらは一体何やっとんのじゃぁぁ!!
まぁ、あんな奴ら指揮権持ってたら世界が滅んでたでしょうけどね!!はっ!(乾いた笑)」

ぐぬぬぬっと美智恵の拳に怒りマークは浮かぶ。

「これだから、官僚は嫌いなのよ!
国家試験だけで受かって現場のことも知らずに上から意見だけ言って!
私に家族、友人、社会的地位がなく、
私が令子のようにカルシウム不足のキレやすい人間だったらあんな奴ら即効死刑にしてるところよ!!!」


バコオオォォォォン!!


ホワイトボードが美智恵の一撃で真っ二つとなる 

「『事件は現場で起こってるんじゃない!会議室で起こってるんだ!』っていう名セリフを知らんのかぁぁ!!」

怒りのあまり頭がショートしかけているのか、真逆のことを叫ぶ美智恵。
取り合えず一段落したのかゼエゼエと肩で息をしていたのを落ち着かせる。

「ふぅ・・・」

落ち着きを取り戻すように深呼吸をし、壮絶な状況になっている部屋を片付けはじめる。

「・・・・・・」

ホワイトボードを見て、美智恵の動きが少し止まる。懐から財布を出すとそっと一万円を抜き取り
「ホワイトボード弁償代」と書いて机の上にに置いた。
散らばったファイルのページを拾い集めると美智恵は何も無かったかのように会議室のドアを開ける。

(私も・・・まだまだ・・・未熟ね・・・)

美智恵は自嘲(じちょう)気味に笑うと、会議室から退室し静かにドアを閉めた。









一時間後・・・・・極楽ホテルのラウンジ・・・・・



「先生」

美智恵に気付いた西条が軽く手を挙げ、声をかけた。

「ごめんなさい、西条クン。遅くなって・・・・・」

「いえ・・・・・それで・・・・話とは?」

美智恵に話があると言われた時からただ事ではないと思っていた西条は単刀直入に聞いてみた。
しばらく、顔を伏せ間をあけると美智恵が静かに口を開いた・・・・

「・・・・・・・私は今から個人でソウトについて証拠を調べあげます・・・・」
「!?」
「もう上の判断は待てません」

西条は美智恵の言葉に軽い放心状態になるが、やがてハっとして立ち上がった。

「待って下さい!それなら僕らにまかせて下さい!現場のメンバーなら美か・・・!」

西条の話の途中だが、美智恵は申し出に首を横に振った・・・

「私はさっき言ったわね『責任より人の命が大事』と。・・・・だからこの仕事は私の全責任おいてやらせてもらうわ」

スっと美智恵は一枚の封筒をテーブルの上に置いた。そこには漢字で二文字・・・・

『辞表』・・・・・と書かれていた。

「せ、先生!」

ますます、狼狽する西条。逆に美智恵は相変わらず落ち着いた口調で話す

「だから、西条クンはもしも私に万が一があった時・・・・あとはあなたにお願いしたいの・・・」
「・・・・・・・・・」

美智恵の真剣な表情に、西条は黙って座った・・・・・
顔の前で手を組む・・・・・・・そして

「待って下さい」

小さな声で言った。そして続ける・・・・

「その仕事、僕にやらせて下さい」
「西条クン!?」

今度は美智恵が驚く番だった

「何を言ってるの!?西条クンには頼みがあ・・・」

先程の美智恵の真似のように首を横に振った

「・・・・・落ち着いて下さい先生。何も無謀なことをしようと言うんではありません」
「・・・・・・・・・・・・・聞きましょう」
「まず、僕がソウトについてのさらに詳しい資料を揃えます。そして先生は信用おける民間GSに応援を頼んでください。
その上でGS協会にも今回の資料を渡して、オカルトGメンが動けるように手を回してもらいましょう」
「西条クン・・・・・・・」

西条の説明・・・作戦を聞いて美智恵は弟子の成長に感嘆する。
そして「何を熱くなっていたんだろう・・・」と冷静さを取り戻した

「わかったわ。でも条件があります」
「はい」

美智恵はしばらく何か考えるように俯いていたが・・・・・‥・・・スっと顔を上げる。そして・・・

「無理をしないこと、命が危なくなったら即退却よ」

ニコっと笑顔で言った。

「わかってます。こう見えても僕は先生の弟子ですよ、ヘマはしません」

美智恵の笑顔に少し緊張が解けたのか、西条も笑みをこぼして言った。

「そうね・・あなたは私の弟子の中でも一番優秀よ。でも過信はいけません。
相手はパイパー以上の魔力、そして、人間の心理を操る狡猾さも持っているわ」

コクっと頷く西条。

「じゃあ、ソウト出現の予想地域と・・・・・」

美智恵が今後の行動についてアドバイスを述べる・・・が

「ソウトの現在行動地域は東京・・・・・・・・、
行動本拠地は静岡・・・・・・・富士の樹海・・・・ですよね?」

美智恵の言葉に重ねるように西条が続けた。

「え?」

驚く美智恵の表情に西条は不適に微笑む。そしてコンコンと自分の頭を指で軽く二回小突く

「大丈夫ですよ、先生の資料とデータは頭に一字一句全て入ってます」
「・・・・・・・・・・ふぅ、あなたの頭脳明晰ぶりには驚かされてばかりね」
「師匠が優秀ですから」

西条の一言に美智恵が軽く吹き出す。

「ふふ、じゃあそういう事にしといてあげるわ」
「ありがとうございます」
「じゃあ、今日はその優秀な師匠が夕飯を奢(おご)ってあげるわ。ご飯まだでしょ?」
「い、いえ、そんな!」
「年配の言うことは聞いておくものよ」

西条の遠慮を軽くあしらう美智恵。まだまだ強き師匠健在であった。











・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


(・・・・・・・・・私のせいだわ!)

美智恵がグっと口唇を噛んだ。強く噛んだせいで切ったのか唇の端からつぅと真紅の血が流れた。

「ごめんなさい・・・・・・・・・西条クン・・・・・」

ベッドの主・・・・・・・・・西条の手にそっと手をかぶせた。ポタ、ポタっと何粒かの涙がシーツを濡らした

『先生』

「!!?」

突然頭に響く声・・・・西条の声に驚く美智恵。ベッドで静かに眠る西条には人工呼吸器が付けられている。
とてもじゃないが、話したとは思えない

(西条クン・・・・!?・・・・・・そうかテレパシーね!)

二人は超能力者ではないが霊能力者・・・・
近くにいれば多少は霊波で会話することが出来た。

『西条クン!大丈夫!大丈夫なの!?』

『ええ・・・・英国紳士はこのくらいじゃ死にません・・・・・』

『冗談はいいから!』

『すいません。・・・・命は助かりそうです』

『そ、そう。なら・・・・安心したわ』

『先生・・・・・僕の意識もあんまり・・・・持ちません・・・・だから必要なことだけ言います』

『ええ、わかったわ』

『・・・・・・・・・僕のオフィスのパソコンに今回集めたデータが入って・・・ます。それを使って・・・下さい・・・』

『・・・・西条クン』

『・・・あと・・・・は・・・おね・・・がい・・・しま・・・す』

ここで、西条の意識が切れた。
美智恵は幾分穏やかになった西条の寝顔に、少し安堵の笑みをみせた。








ガラガラガラガラ・・・・・・・・・・・・・・・・・・トンっ・・・・・

病室の扉が小さな音を立てて閉まった。


カツン・・・カツン・・・カツン・・・


再びヒールの音が静かな廊下に響き渡る。



(あなたの努力は無駄にしない・・・・・・・・・だから)

グっと力強い瞳で顔を上げた、そして

(だから・・・・・・・あとは・・・・・)

グっと袖で涙を拭う

「私の番ね!!」

力強く声を挙げ、美智恵は白井総合病院を後にした。





あのラウンジの食事から三日後・・・・美神除霊事務所訪問当日の出来事だった・・・・






その7に続く

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あとがき

今回のお話・・・・・・・・・本当は書く予定ではありませんでした(汗)
某ドラマに影響受けたのモロ出てますね‥・・
今回のお話で「美智恵はそんなキャラじゃない!」って怒ってる方、今回は除霊だと思っていた方いましたらごめんなさいm(__)m

次回こそはお話進めるので、ご容赦を・・・・ではその7もお願いします!


追伸 ここの方々は「おキヌちゃん萌え」が多いですね〜♪僕もですが(笑)
   いつか、おキヌメインのラブコメ書きたい(TT) 



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