ザ・グレート・展開予測ショー

温かい想い(その6(A))


投稿者名:ユタ
投稿日時:(02/11/ 5)










カツン・・・カツン・・・カツン・・・

ヒールの音が静かな廊下に響き渡った。ヒールの主が時折白衣の人と通りすぎる
白衣の人・・・医者、ここは生と死が交わる場所病院。・・・・白井総合病院。
ヒールの主・・・美智恵は集中治療室とかかれた部屋の取っ手に手をかけた

ガラガラ

スライド式の扉は苦も無く右へスライドした。
静かに入室し、目の前にあるベッドの主を悲しい瞳で美智恵は見つめた・・・

「何でこんな事に・・・」

美智恵は小さく呟(つぶや)き、ここまでの経緯を静かに思い出してみた・・・・





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「・・・というのが、ここまでのソウト見解です」

ファイルをパタっと閉じ、美智恵が低い・・・それでいて相手を威圧するような声で言った。

「それはあくまで君の推測ではないのかね?美神隊長」

低くしゃがれた声で男は言った。年は50代後半くらいであろうか・・・少し太った肉体、ビシっとした制服・・・警察の制服だった。

「そうですね、副総監・・・。・・・・美神クンその程度の資料では我々として同意せざるを得ないよ・・・・」

副総監と呼ばれた隣の男が広い会議室に響いた。・・・・会議室・・・
ここは警視庁大会議室。大会議室と言っても、今この場にいるのは7人だけだった。

上座にはよく肥えた・・・もとい恰幅のいい壮年期らしき男性が5人ほど座っている。
この男達こそが警察のTOP官僚・・・つまりキャリア組という連中だった。
そしてその下座に座っているのは美神美智恵、西条の二人だけだった。 

「しかし、お言葉ですが菅局長!ソウトと思われる被害はすでに2件出てます!
このまま放っておけば被害が拡大する可能性は大ですよ!!」

官僚達の意見に納得いかない美智恵が強い口調で言った。

「しかしねぇ・・・それも他の悪霊の可能性のほうが高いというデータも出てるわけだし
・・・・・・・・それに迂闊に動くという責任というものが・・・」

「責任・・・?そんなものより、人の命のほうが大切じゃないんですか!!?」

「美神クン、口を慎みたまえ!」

「・・・・・・・」

「ふぅ、まぁ君の女だてらに『ちょっと』は活躍する君の手腕は『少し』は認めるが・・・
証拠がない以上我々は動けんよ」

官僚の一人がヘラヘラと笑いながら、美智恵を見た。
その官僚の表情にゲンナリとする西条。

「君、確かお子さんが生まれたばかりなんだろ?もう少し休養を取ったらどうだね」

「おお、それがいい。そのほうが旦那も夜の楽しみが増えるんじゃないか?」

その一言に下品な笑いが会議室を包む。



ギン!!と美智恵が睨んだ・・・・・・・・あらん限りの殺気を込めて


強烈な視線に官僚達は押し黙る。



「お、オホン!とにかく、この件については、まだ保留だ・・・・」

「それでは、今日の会議はここまでということで・・・」

ガタガタと椅子が動く音がすると、官僚達は会議室を後にした。
美智恵はしばらく、悔しそうに唇を噛みながら座っていたが・・・・・・・

バンっ

と、勢いよく立つと走って会議室を出た。西条もそんな美智恵に驚きつつ、急いで後を追う。

「ソウトはまだ目覚めたばかりです!叩くなら今しかないんです!」

美智恵は30m程離れた官僚達に精一杯の声で叫んだ。
だが、美智恵の声も・・・

「では、今度のゴルフは来週の日曜ということで」
「おお、いいですなぁ。その後はいつも料亭に」

という官僚達の下らない世間話に掻き消される。いや、実際は聞こえていたのだろう・・・・・
美智恵はそんな官僚達を視界から消えるまで睨みつけ、立ち尽くす。

「先生・・・」

怒りで震える美智恵に声をかける西条。

「・・・西条クン、話したいことがあるわ・・・
極楽ホテルのラウンジに一時間後に来てくれるかしら」

「はい」

美智恵の真意を読み取ったか、西条は小さく返事をした。

美智恵はその場を後にするとエレベーターに乗ると5階と書いたボタンを押した。






その6(B)に続く

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あとがき

今回も「その6」が長くなりすぎたので二つに分けます(汗)
票のほうはその6(B)のほうへお願いしますm(__)m
今回は警察の官僚が出てくるんですが、何分つい最近まで警察庁と警視庁の
区別がつかないこの愚者が書いたものなので矛盾点はいっぱいあると思います(汗)
あと、これはあくまでフィクションです。現実の警察官僚の方々とは何の関係もありません。

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