#当選者3人SS!〜夜襲〜
投稿者名:志狗
投稿日時:(02/11/ 4)
とある日の美神除霊事務所
横島は出席日数を稼ぐために珍しく学校へ、おキヌも学校へ、美神は母親に会いに行っていた。
つまり事務所にはシロとタマモだけが残っていた。
そんな所に珍しい訪問者が来た。
横島に仕事を手伝いを依頼しに来た、自称「横島のダチでライバル」の伊達雪之丞である。
初対面の三人で、ちょっとしたいざこざがあったのだがそこは割愛。
場が落ち着いた後、少々雑談などをしていたのだが・・・・・・
この場にいる三人。しかも初対面で、接点と言えばこの場にはいない事務所のメンバーぐらいの物。
さらに三人の内二人。
雪之丞は横島を買いかぶって・・・いや、認めており。シロにおいては、横島は好意を寄せ尊敬する師である。
自然と横島の話で盛り上がる。
タマモは別に横島の事を尊敬などはしていないのだが、命を助けてもらった事がある手前、時々茶々を入れつつも話に加わる。
だが話の種はいつか尽きる物である。
しかもそうなると大抵の場合、話はおかしな方向へ向かって行くものだ。
この場でも当然おかしな方向へ向かった。
シロの横島への好意をからかう方向へと向かったのである。
「ほ〜、お前横島に惚れてるのか。あのヤロウ相変わらずもてやがるな。」
「なっ!せっ、拙者は先生を尊敬していて、別にそういう訳では・・・」
「何言ってんのよ。あんた横島が一緒じゃないと散歩に行こうとしないし、何かとベタベタくっつきたがるし、
おまけに横島が来る度に顔を舐めに飛びつくじゃない、これが惚れてるんでなくて何だっていうのよ。」
雪之丞は後で横島をからかうネタになる、とシロをからかい、タマモは単純にシロをからかうのを楽しむ。
「いや・・・・拙者は・・その・・・・・」
言いよどむシロに雪之丞は意地の悪い笑みを浮かべる。
「なんだ違うのか。そういや俺に恋人ができたのも横島のおかげだったからな〜。あいつにも女を紹介してやらんとな〜。」
口からでまかせである。
恋人とは弓かおり嬢のことを指しているのであろうが、周りはそう見ていてもまだお互いの想いを伝え合ったわけではない。
雪之丞らしくないせりふではあるが・・・・・その場のノリというやつである。
だがそれを知らないシロにはそんな事は関係ない。
「だっ、だめでござる!せんせーは拙者のも・・・!!」
と、あっさり誘導尋問にひっかかる。慌てて口をふさぐがもう遅い。
「へ〜、『拙者の物』か〜。シロも言うわね〜。」
タマモはその言葉を聞き漏らさず、こちらも意地の悪い笑みを浮かべる。
こうなるとシロにもう抗うすべはない。
そうして話はさらにおかしな方向へ向かっていく。
「というわけで、シロがどうやって横島を落とすか考えるわよ。」
「何が「というわけで」でござるかっ!そっ、それにそんなことしなくても、プリチーな拙者に先生はきっと振り向いてくれるはずでござるっ!」
この短い間でシロもかなり洗脳(?)されたのか、言う事が結構大胆になっている。
「そんなことって、何考えてたのよ。それにこういうのは早く手を打ったほうがいいのよ。」
「そーだな。結構ライバル多そうだしな。美神の大将とか、おキヌとか、他にもまだいそうだな。」
「そーよ。それに横島と結婚すれば、散歩も食事も全部一緒にいられるわよ?。」
このタマモの言葉に、シロは何を考えたのか顔がボンッ!と一瞬で真っ赤になる。
「でも、先生の意思は・・・・」
「大丈夫よ。横島ってなんだかんだ言ってもアンタには甘いでしょ?端から見ててもアンタの事を大事に思ってるのは分かるわよ。
それなら恋人、さらには夫婦になっても全然オッケーよ。」
これはタマモの思い込みではないだろう、事実横島とシロは単なる師弟関係にしてはかなり仲がいい。
「先生が・・・拙者の事を・・・大事に・・・。でっ、でも、美神殿やおキヌ殿に悪いでござるよっ!」
なかなか陥落しないシロ。だがタマモは余裕の笑みを浮かべる。
「甘いわね・・・愛とは勝ち取る物よ・・・。前世では帝まで落としたこの私が言うんだから信じなさい。横島の事好きなんでしょ?」
これは嘘。前世の事はほとんど覚えておらず、シロをその気にさせるための方便である。
「そっ、それは・・・・・」
(後一押しね・・・)
シロの様子にタマモはニヤリと笑みを浮かべた。
「どう?横島がシロだけを見てくれるようになったらいいと思わない?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・せんせーのお嫁さんになりたいでござる。」
シロついに陥落。
「じゃあ早速横島を落とす方法だけど、付き合いの長い雪之丞、アンタ何かない?」
「う〜ん、あいつ女にはほぼ見境なく声かけるくせに、逆に相手から来られると弱いみたいだし、そこら辺を突いてみるか?」
「確かに、押しには弱そうね・・・」
「しかも鈍感だからな。おもいっきりストレートな手段がいいだろうな。」
「抱きつく、キス、告白・・・・どーもインパクトに欠けるわね。決定的でもないし。」
「思い切って夜這いなんてどーだ?」
「夜這いって何でござるか?」
それまで赤くなったり、ぽ〜っとしたりしていたシロが口を挟む。
「ん?夜這いってのは簡単に言えば、夜に好きな奴の寝床に忍び込んで襲うことだ。」
さらっととんでもない事を言う雪之丞。だがその言葉にタマモは眼を光らせる。
「夜這い・・・いいわね・・・。横島だったら一度そういう関係になったら、なし崩し的に・・・・。」
この時のタマモの笑みは、正に傾国の妖怪・九尾の狐にふさわしい物だったとか・・・・・
その後・・・・
雪之丞は「今回の仕事には横島を連れて行かないでやるから、今夜決行しちまえ!」と言い残し帰っていった。
そして帰ってきた美神、おキヌには全てを内緒にしつつ夜を迎えた。
「じゃあ、行って来るでござるよ。」
美神、おキヌが寝静まった後、シロはベッドに横になっているタマモに声をかけた。
「・・・うまくいくといいわね・・・」
昼間はシロをからかい続けたタマモだったが、実はシロの事を大切に思っている。
シロの気持ちに気付いているから後押ししてあげたのだ。・・・本人は認めたがらないだろうが・・・。
「いざ出陣でござるっ!」
シロはそう言うと、窓から外へと抜け出していった。
さらにその後・・・〜以下、翌日のタマモの日記より抜粋〜
○月×日
今日、横島が入院。
あのバカ犬、どうやら雪之丞が夜這いの事を「夜、寝床を襲う」と言ったせいで、夜襲と勘違いしたようだ。
「拙者の愛を受け止めてくだされっ!」とか言って、横島を攻撃したらしい。
シロが夜這いに物怖じしなかった時点で気付くべきだったかも。
横島に怒られていじけていたけど、すぐに許してもらえたらしく喜んでた。
まあ横島にとってはいつも美神にしばかれてるから、たいした事ではなかったみたい。
シロに夜這の本当の意味を教えてやった。赤くなってたけど、決行するかどうか楽しみ。
まあ、シロには幸せにはなって欲しいしね・・・(←この行は消されていたが、一応掲載)
今までの
コメント:
- いや・・・やっちゃいました。
雪之丞とタマモがちょっと変かも・・・特に雪之丞・・・。
こんなんで他の投票者の方は納得してくれるでしょうか・・・。
一発ネタだし見逃してくれる・・・カナ? (志狗)
- 一発ネタOK&大歓迎でございます!(爆) 展開予測の投票では一途にシロに投票なさっていた志狗さんだけあって、シロがメインのものとなってますね。この3人、余り似てないようで世間的常識がイマイチ備わっていないという点で似てるかもしれません。だからこそ今回のような飛躍した会話が成り立ったんでしょうけど(笑)。一段上がった位置からシロの様子をおかしそうに眺めてそうなタマモ、やたらと思い込みが激しいシロ、遊びごころ満々な雪之丞がそれぞれに「らしい」気が致しました。投稿お疲れ様でした♪ シロの幸せを祈りつつ、失礼致します(再爆)。 (kitchensink)
- 流石っス!くう〜シロが可愛過ぎっス!ハッ、また取り乱してしまいました。
タマモ、雪之丞はなんだかんだいっていい奴だし、もじもじシロは可愛いはで、なんというかもう良かったです(嗚呼言葉が見つからない)
シロは幸せになれるといいですね。投稿お疲れ様でした。 (辻斬)
- 面白かったです。最後のオチも見事に決まってますね♪
正直、私もこのネタを考えてたので、取られちゃって悔しいです♪(笑)
志狗さんのデビュー作を始め、他の作品も拝見させて頂くと、
私の趣味に相通じる部分が多くて、すごく共感させて頂いております。
これからもがんばってください。
最後に気になった点と致しましては、まあ、少々タマモに違和感を感じました。
タマモが喋り過ぎてるような気がしたので、代わりに雪之丞にもっとセリフをあげれば、
丁度よかったかもしれません。 (マリクラ)
- シロが可愛い……………………………………………………………はっΣ(゚ロ゚)
いかんいかん。ついアッチ側に行ってしまいました。
それにしてもシロが可愛いですね。可愛すぎます。
嗚呼、シロ〜、シロ〜(←病気が出た) (黒犬)
- 〜おキヌの日記より抜粋〜
○月△日
今日、横島さんが退院。
…………なぜか、シロちゃんも一緒に帰ってきました。
そう言えば、昨日は夕食の後からシロちゃんの姿を見ていません。
……まさか。
帰って来てからも、やたらと仲の良い二人。とにかく、ずーっと一緒にいるんです。
「どうしたの?」とシロちゃんに訊いたら、顔を真っ赤にして逃げて行きました。
「どうしたんですか?」と横島さんに聞いたら、顔を真っ赤にしてごまかし笑いをしてました。
…………まさか、まさか。
夕食の後、横島さんが屋根裏部屋に登って行こうとしたので驚きました。
「あ、そーか。今日から一緒じゃねーんだ」
………………まさかまさかまさか。 (黒犬)
- シロちゃんとお風呂に入りました。
……首筋や鎖骨の辺りに、紅い痣を発見。……しかも、数え切れないくらい。
「シロちゃん……これ……」
「…………(ぽっ)」
……………………まさかまさかまさかまさか。
夜、タマモちゃんにシロちゃんがお礼を言ってました。
「タマモとゆっきー殿のおかげでござる〜(感涙)」
「や、やーね。大した事してないわよ。…………でも、良かったわね(赤)」
……………………まさかまさかまさかまさかまさかまさかまさかまさかまさかまさかまさかまさかまさかまさかま(以下略)
……
…………
………………
……………………
…………………………………………ま、負けないもんっ(涙) (黒犬)
- kitchensinkさん
確かにこの三人ちょっと世間ずれしているかも・・・この話が書けたのはこの三人だったからかもしれません。
それにタマモが本気を出したらシロを丸め込むのは簡単かな〜、などと思ったりしてます。
辻斬さん
シロは黒犬さんの話で幸せになっていますので・・・
シロの描写はもっと沢山入れたかったのですが、そうするとずるずると長引いちゃいそうだったので少なめになったのですが、それでも賛成票頂いちゃって・・・ありがとうございます。
(志狗)
- マリクラさん
>私もこのネタを考えてたので
ああっ!それならマリクラさんに任せればよかった!
マリクラさんの方が絶対いいのに!すんませんー!堪忍やー!
タマモと雪之丞については、自分でもかなり後悔してます。
タマモが一番動いちゃたうえに違和感ありありですし(汗)雪之丞はもっと動かしたかったです。
実はシロもちょっと変になっちゃってるかも・・・・・・ううう、精進いたします(涙)
黒犬さん
おおっ!シロっ!大胆だっ!(←これを変換するとき「抱いたんだっ」と出てあらぬ妄想を・・・)
ちょっとアダルトなハッピーエンドで最高ですっ!
私の文よりこっちのシロの方が断然いいっ! (志狗)
- やすやすと誘導にひっかかるあたりが、シロらしいですね。ひとつひとつの反応も本当にかわいいです。
知った風な口を利くタマモや、常識なんかドコ吹く風のゆっきーも良い感じでした。
タマモがもう少し、間違った世間の常識を引き合いに出したり、恩着せがましい言動を取ったり、といった場面があると、より原作らしさが出たかもしれません。
とは言え、オチも横島くんが最後に酷い目に遭うというGS的お約束が、なんだかとても優しい感じに締めくくられていて嬉しかったです。
企画への参加……というか、賞品作成にご協力いただいてありがとうございました(笑)
志狗さんには『一投稿完結』という点で苦労をおかけしたみたいでスイマセン(汗)
以下はお詫びと言うか、迷惑の上塗りと言うか……とにかく書いちゃいます(爆) (斑駒)
- 「よう、美神のダンナ。横島のヤツぁ、いるかい? ……ぁんだ、お前らは?」
いつもの通り、ノックもせずに事務所のドアを開けた雪之丞だったが、彼が目にしたのはいつものGSの面々ではなく、見たこともない二人の少女だった。
そのうちの一人、髪の色の白い方が雪之丞を訝しげに睨みつけて、問う。
「おぬし、何者でござるか? せんせーに何用でござる?」
殺気を帯びるほど警戒心をあらわにする少女だが、雪之丞は動じる事も無く話し掛ける。
「ああ!ひょっとしてお前、横島が飼ってるとか言ってた犬の妖怪か? 『しょっちゅうベタベタくっつくわ、顔を舐めに来るわで大変だ』とかヘラヘラ笑いながらボヤいてやがった……」
「拙者は犬ではござらんっ!」
セリフの後の方を耳に入れることもなく、少女は霊波刀を大上段に構えて飛び掛る。 (斑駒)
- しかし雪之丞は迫り来る相手に微動だにせず、ただひとことを言い放つ。
「『自分にはもったいないくらい、よく出来たかわいい弟子だ』とも言ってやがったかな?」
その瞬間、相手は即座に手にした霊波刀を消し去り、足で急ブレーキをかける。
「まあ、あいつの弟子になるのに役不足はあっても、出来過ぎなんて事はありえないと思うがな」
「せんせーは今がっこーなる所にに行ってるでござる♪ 美神どのも留守でござるよ♪」
少女はしっぽをブンブン振り、笑みを満面に浮かべて答えた。
求められた握手に応えながらも、雪之丞は確信した。
少なくとも『単純で、いいヤツだよ』という横島の言に間違いは無かったようだ。 (斑駒)
- ↑う〜ん、素晴らしいssが取り憑いてますね(特に黒犬さんに花束を←轟爆)。
私の感想を。シロには、これからも夜襲して横島ともっと親密に…って、何故私がここまで狂うんでしょう?(笑) (マサ)
- いいっすね。勘違いも、シロらしいと言うか、何と言うか。卒論の合間に見させてもらい爆笑しました。いやー良いもん見せてもらいました (運値)
- びば・勘違い。
えーと、初めまして。ロックンロールと申します。お見知り置きを。
シロについては上で皆様方が既に語り尽くされているようなので、選挙の関係上私は雪兄ぃについて語ろうかと。
いやぁ。キャラクター性が出てる(笑)。……とまぁ、これに尽きる訳で。正直、雪之丞がここまで『らしく』、シロタマと絡めるとは思いませんでした。イイモン見せてもらいましたよー。 (ロックンロール)
- 斑駒さん
>『一投稿完結』という点で苦労をおかけした
いえいえ、単に自分が未熟なだけですから。うまくいかなかった分、頂いたコメントで学ぶ事があったのだと思います。
>とにかく書いちゃいます。
こういう雪之丞って『らしく』っていいですね〜。私にはもったいない物を頂き、ありがとうございます。
マサさん
>これからも夜襲して
夜襲が夜営に変わり、共同戦線へと・・・
私も狂ってますね(笑) (志狗)
- 運値さん
シロって勘違いをさせやすいキャラだ、というのは私だけの考えではないようで・・・
笑っていただけて幸いですっ♪
ロックンロールさん
はじめまして。こちらこそよろしくお願いします。
>キャラクター性が出てる。
雪之丞は男のキャラのうちではかなり好きなんです、カッコいいし。
うまく書けなかったとは思うのですが、そう言って頂けると嬉しいです。 (志狗)
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