ザ・グレート・展開予測ショー

温かい想い(その4)


投稿者名:ユタ
投稿日時:(02/11/ 2)








「ふぅ〜、で?お願いっていうのは・・・・・・?」

すっかり息を整えた美神が肘をつき美知恵に尋ねた

「実はね、除霊してほしい悪魔がいるのよ」

相変わらず、静かな口調で美智恵は続けた。その雰囲気に美神もおキヌも緊張感を帯びていく

「・・・・・・他ならぬママだからね、話だけは聞いてあげるわ」

雰囲気に飲まれないように、美神は冷静に言葉を返した。
それを聞いてコクと頷(うなづ)く美智恵。そして少し間を開けて口を動かした



「・・・悪魔ソウト・・・って知ってる?」
「悪魔ソウトですって!!?」

ガタっ

美智恵の言葉に美神が急に立ち上がった
そのせいで美神の椅子が倒れる。そんな美神の急な行動におキヌは少し驚く

「あ、あの・・・悪魔・・・ソウトって何ですか?」

いまいちに状況のつかめないおキヌが首を傾(かし)げて美神に尋ねた

「悪魔ソウト・・・今から数百年前にヨーロッパで暴れまくった凶悪な悪魔よ」

「凶悪・・・凄い強かったんでしょうね・・・」

凶悪と聞いて、ゴクリとおキヌの喉が鳴った

「ええ・・・もちろん魔力が高いというのもあったわね・・・でも問題だったのは奴の特殊能力だったの・・・」

美智恵の目が鋭くなる。

「特殊能力?」

「ソウトの特殊能力・・・それは」

椅子を戻して、座りなおした美神が美智恵のセリフの続きを、絶妙のタイミングで続けた。


「・・・残留思念を使役する能力」



「ザンリュウ・・・シネン?」

またもや、聞きなれない言葉におキヌの頭上に「?」が浮かぶ

「残留思念っていうのは場所や物が、人間や魔物の念(想い)として残しているもので、
本来はそこから動かないものなのよ」

「・・・・・・」

美神の説明を黙りながら、うんうんと頷き聞くおキヌ

「ソウトはその残留思念を取り込み、自分の魔力に変換し、さらに意のままに操ることが出来たらしいわ」

「残留思念は強い思い・・・まぁ大抵は怨念ね、それに私達みたいな霊能力者程、強力に残るのよ」

「つまり残留思念が強ければ、強いほど悪魔ソウトも強くなって、より強い残留思念を使役するってことですか?」

おキヌが自分なりに今までの話をまとめてみた。

「正解。残留思念は本人の霊とかじゃないからね。よっぽどのレベル差がなければ取り込めるわ」

「じゃあ、強力な残留思念をたくさん使役されたら・・・」

「やっかいね・・・強力な妖怪や魔族の残留思念なんて使われたら、そこらのGSじゃかなわないわね」

ゾクっと、おキヌと背筋に悪寒が走った。
話を聞いただけでもソウトの強さがわかるからだ。

「でも、確かソウトは封印300年程前に封印されたって聞いたけど・・・」

美神はうっすらとした記憶を頭の隅から呼び寄せて美智恵に言った。
悪魔、魔族、神族、神話・・・この職業をしていく上で欠かせない知識を美神は豊富に抱えている。
それがGSとしての美神の強さの一つでもあった。

「ええ、何人もの優秀なエクソシストが命を賭けてね・・・」

「それが、なんで今になって?」

「ソウトはある壷に封印されたらしいわ・・・。それを封印していた教会が100年後の産業革命に
よる工場拡大につき取り壊しになったの・・・そのまま壷は行方不明・・・
日本へはドサクサ紛れに裏輸入ルートか、何かで入って来たんでしょうね」

「んで何かの拍子(ひょうし)に封印が解けた・・・・か。
・・・と、いうのが悪魔ソウトについての説明ね。どう?おキヌちゃんわかった?」

「は、はい・・・凄い悪魔さんだったですね」

悪魔にさん付けするところがおキヌちゃんらしいと美神は笑みをこぼした


「そこであなた達に・・・除霊をお願いするのよ」

「ちょっと待ってよ!そんなヤバイ仕事なんでオカルトGメンがやらないわけ!?」

母のお願いに抗議する美神。それを聞いて美智恵の表情が少し暗くなった。

「・・・・・・役所っていうのは面倒な所でね、いろいろ手続きがかかるのよ・・・」

「それで?」

「ソウトが確認されたのは、2日前。でもこれはあくまで非公式。上の連中は確証がないって動こうとしないわ」

美智恵は「ふぅ」、ため息をつく

「警察が事件が起きてからじゃ動かないのと一緒ね」

「ええ。でもね・・・ソウトは今間違いなく日本にいるわ、
ソウトと思われる被害も出てる。これ以上被害が出るまで手をこまねいてるなんて私は出来ない・・・」

「Gメンのトップは動こうとしない、だから民間GSを動かして証拠を掴ませる・・・
そしてその証拠でGメンを動かす・・・というのがママのシナリオ?」

美智恵のシナリオをスラスラと述べる美神。
自分の考えをすぐに読み取った娘に少し舌を巻くものの、あくまで余裕の表情で美智恵は言った

「ま、そんな感じね。・・・で、令子やってくれるわね?これは人々を守るという正義の仕事よ」

美智恵が熱い瞳で美神を見つめる。その背中には正義という字の炎が燃え滾(たぎ)ってた・・・気がする

「美神さん・・・」

美知恵に感化されたおキヌの目も「やりましょう!」と熱く語っていた。



そんな二人を見て
ニコっと美神が笑みを漏らした。そして・・・一言。






「いや♪」



ズシャァァァァァァァァっ!!!!!!!!!!!!!!


おキヌと美智恵が派手にこけた





「令子!あんたって子は!!?」

娘の情けない一言にバンっとテーブルを叩く。だが、美神も負けていない

「何で私が他人の為にタダで働かなきゃいけないのよ!
証拠つかんでからオカルトGメンが働けばいいじゃない!私には関係ないわ!!」

「美神さ〜ん(汗)」

「令子ぉぉ・・・・!」

おキヌは情けないと、思いつつも「あぁ、やっぱり美神さん」だとため息をつく。
美智恵は怒りと「なんでこんなふうに育ったのかと」反省の思いを込めて怒りマークが額に浮かぶ。

「な、何よ。正論でしょ!?」

そんな二人に一瞬たじろぐ美神だが・・・

「ふぅ・・・まぁ、あなたならそう言うと思ったわ」

意外にも美智恵はため息をついて、椅子を直し席に着いた

「あ、あきらめちゃうですか!?何なら私一人でも・・・」

人の為にという思いが強いおキヌは美智恵に駆け寄る

「大丈夫よおキヌちゃん・・・」

「え?」

「令子、もちろんタダとは言わないわ・・・」

「ふふん、いくらかしら♪」

まるで、こういう展開になることを予測していたかのように機嫌がよくなる美神

「ソウトを発見し、存在の証拠を掴んだら1億!更に除霊の成功報酬は5億出すわ!」


キラリラリン!


美神の瞳が眩しいほどに輝く。その瞳に輝く文字は!!・・・分かると思うので割愛(笑)


「おキヌちゃん!金…─!じゃなくて、正義のために戦いましょう!!人々の幸せは私達が守るのよ!!」
「はは・・・」

力強く拳を握る美神に、ただただ苦笑いしか出来ないおキヌだった・・・









その5に続く





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あとがき

今回は説明的なセリフばかりなってしました。
こういうのを巧く書けるようになりです(泣)
 その3の「霊眠期」に続きオリジナル設定で「悪魔ソウト」について、
書いてみたんですが、どうでしょう?ああ、何か今回もツッコミ所満載な気が・・・(汗)

ではツッコミ・・・・─!じゃなくて・・・感想のほう頂けたらこれ幸いですm(__)m

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