回顧の夜
投稿者名:Maria's Crisis
投稿日時:(02/10/ 4)
疲れ過ぎて眠れない夜がある。
そんな時はいつも、あんたのことを考えてしまう。
勝者のあんたと敗者のあたし。
勝ったはずのあんたが死んで、負けたはずのあたしがこうして生きていられる。
こんなの皮肉だなんて思えやしない。
バカバカしいほど残酷・・・。
そんな残酷さに耐えていかねばならないの・・・?
生きていることは罪・・・、それなら、その罰を・・・。
自分の考えを持ってはいけない。
命令に絶対服従せねばならない。
血を通わせてはいけない。
血は流さねばならない。
喜びを感じてはいけない。
苦しみを感じねばならない。
笑顔を見せてはいけない。
涙もこらえねばならない。
幸せになってはいけない。
悲しみを背負わねばならない。
機械的に毎日を過ごす。
ため息ばかりの毎日・・・。
こんなことであんたやあいつに償えるとは思っていない。
でも、どうしたらいいのかが全然分からなくて・・・。
こうやって、こうやって、自分を痛め続けて・・・。
こうやって、こうやって、自分を殺し続ける・・・。
けれども・・・。
けれども、あたしの中に居るあんたはいつも笑っている。
あんたもあいつもどうしてそんなにお人好しなの?
・・・ホントやさしいのね。
おかげで、あたしも少しは救われているよ・・・。それでなきゃ、今ごろ・・・。
え?本当はあたしが勝者で、あんたが敗者?
あの時あいつが割って入って来なかったら、あたしが勝っていた?
ふふふ・・・、いつからそんなに冗談が上手くなったの?
お互いに惚れた男の為に戦ったのよ。
その男にあんたは守られた。
それなのに、あたしなんか・・・・・。
あんたの霊波を受け、動けなくなった・・・。
近づいてくる地面を意識し、同時に死も覚悟した。
なんか、すごく悔しくて・・・、悲しくて・・・。
生まれて初めて涙を流した・・・。
それで、思わず叫んじゃった・・・。
あの人の名を・・・。
完敗よ・・・、あんたの圧勝。
敗者は敗者らしくあの場で消えればよかったのさ。
勝者のあんたには勝者らしく、ハッピーエンドが待ってたでしょ?
待っていてくれる人が居たでしょ?
あたしにはそんな人は居ない・・・。
ふられちゃったのさ・・・。
ふふふ・・・、考えてみれば、あの人と一緒になろうなんてこと自体がおかしな話さ。
色々ひどいこと言っちゃって、ごめんね。
人間とでも愛し合えるって、すごいことだよね。
よっぽど、あたしの方がバカだったよ。
やっぱり、あんたとは気が合うみたいだ。
よくよく考えてみれば、一年も一緒に居られなかったわけだけど、そっくりだよね?
あんたのことをしょっちゅう「生真面目だ」なんて言ってたけど、お互い様だったよ。
下っぱ魔族はホレっぽいよね?
図体と知能の割に経験が浅いから、アンバランスなんだろうね。
・・・あんたもそんなこと思ったことない?
疲れ過ぎて眠れない夜がある。
そんな時はいつも、あんたのことを考えてしまう。
疲れ過ぎて泥のように眠ってしまう夜もある。
そんな時は、夢の中であんたと再会する。
だから、寂しいだなんて思ったことはない。
夜になれば、あんたを感じられるのだから。
夜になれば、輝く・・・。あんたらしいよ。
さて、明日も早いからもう寝ることにするよ。
あたしは目を閉じて一つため息をつくと、睡魔の誘惑に身を委ねる。
おやすみ、姉さん・・・、この話の続きは夢の中でしようね?
完
今までの
コメント:
- 四回目の投稿です。
りおんさんのリクエストにお応えした作品です。
かなり迷った挙げ句、得意の変化球なしの、シンプルにストレートに書き上げてみました。 (マリクラ)
- え〜、何と言ったらいいのか・・・。とりあえずご苦労様でした。私なんかのリクにこたえていただき恐縮の至りです。
肝心の作品について。・・・何て言うんでしょうね・・・ベスパの生き方、彼女らしい生き方みたいなものに深く心を打たれました。こう、切ないものが心の奥からこみ上げてきて、胸が苦しくなってしまいます。
「・・・あんたもそんなこと思ったことない?」・・・この言葉は彼女たちにとても似合っていると思います。素晴らしい作品でした。
改めてお礼を申し上げます。ありがとうございました。 (りおん)
- はじめまして。魚高といいます。……直ぐに消えますので覚えなくていいです(泣)
良いっスね!カッコ良いス!ツボっス、ツボ!
しかし、何をしても彼女から毒を抜くことは出来ない。
だからと言って、軽軽しくそれを受け止めることも出来ない。
悲しいけど、苦しいけど…最後には照らされていることに気づく。
ところでべスパの能力で、忠実に命令に従っているのなら階級も、ジークなんぞ軽く追い抜かしてることでしょう。
哀れな三枚目に乾杯ィ! (魚高)
- 原作では言葉遣いが微妙だったキャラなだけに、これだけ並べると違和感も何もないですね(汗)。落ち着いてかこのことを考え直すことが出来た時、『あの時、何故こうしなかったのだろうか』と悩む事は人間誰しもありますが、魔族である彼女も過去の事を冷静に受け止めるようになったのですね。 (マサ)
- やってしまいました...不定期に時々やらかしてしまう、「作品まるごと飛ばし読み」です(爆)。スイマセン、完全に読んでコメントを書いたつもりだったのっですが...(ダメ)。実はもうこれで2回目だったり(もっとダメ)。結果コメントが大幅に遅れて申し訳ありませんでした(平伏)。最愛の人に死なれ、そして同じくらいに愛していた姉をも失ったベスパのやり場の無い悲しみが伝わってきました。彼女が魔族の軍隊でも頑張っていけるのも、そしてどんなに自分を痛めつけようとも決して自ら命を投げ出すことをしないのもルシオラの無条件の優しさを常に感じているからなのですね。色々な感情を抱えながらも強く生きようとする点がベスパ「らしい」感じでした。投稿お疲れ様でした♪ (kitchensink)
- りおんさんへ:いえいえ、これからも何かありましたら、なんなりとお申しつけください。
魚高さんへ:はじめまして。忘れろ、と言われても、もう覚えちゃいました(笑)
消えるなんておっしゃらずに、これからもよろしくお願いしますね♪
マサさんへ:確かに言葉使いは難しかったです。印象に残ったもので構成してみたのですが・・・。
「(汗)」ってあることはマズかったのでしょうか?
kitchensinkさんへ:わざわざ戻り読みして頂きましてありがとうございました・・・。
先日は大変失礼を致しました・・・。心よりお詫びを申し上げます。
「神様・仏様・kitchensink様」とも呼ばれる方に毎回コメントを頂戴できまして、
大変光栄に思っております。これからも、よろしくお願い致します。 (マリクラ)
- 思うにあの一騎打ちの結果は、確かにルシオラの一人勝ちだったように思えます。
惚れた男の為に姉を討つ覚悟を決めながらも、それを果たせなかったベスパ。
恋人を守り抜くと云う誓いを果たせなかった横島。
その二人を尻目に、彼女だけが己の意思と望みを貫き通せたのですから。 (黒犬)
- 語り口が、すごくカッコいいです♪
ベスパさんの複雑な胸中の描写も素敵でした〜♪ (猫姫@(=^w^=))
- マリクラさん、えーと、『(汗)』はマヌケな私がベスパの言葉遣いを頭にインプットしきっていなかった為に途中まで誰なのか小首を傾げてしまう有様だったからでして…(ダメ人間)。 (マサ)
- とてもうまく書かれているというか…なんというか…
ぺスパの思っていることがよく伝わります。とても感動しました。 (3A)
- 黒犬さんへ:そうですね、黒犬さんのおっしゃられる通りですね。
でも、横島クンはある意味、恋人を一時的ではありますが、守ってみせてはいるんですよねえ。
この辺りは主観を変えてみると、色々な思いが交錯しているように感じられます。
今回はたまたま、りおんさんのリクエストという形になりましたが、なかなか深いテーマに感じられました。
猫姫さんへ:感想ありがとうございます♪
カッコよかったですか〜(笑)元々ベスパってかっこいいキャラですからねえ。
混じりっ気なくストレートに書いたのが、雰囲気が出た原因なのかもしれません。 (マリクラ)
- マサ先生へ:ああ、その辺は私も気にしている所なんですよね・・・(汗)
書いていて、すぐにこれが誰なのかが分かってもらえないというのは、問題ですからねえ。
私も実は、この作品を書いていて、「誰だか分からないかも・・・」って思ってました。
次回からはその点を改善していきたいと思います。
ご指導ありがとうございました〜♪
3Aさんへ:はじめまして。ご感想ありがとうございます!
終始独白調にこだわったのが、よかったかと自分では思っております。 (マリクラ)
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