ザ・グレート・展開予測ショー

星あかり。


投稿者名:トンプソン
投稿日時:(02/ 9/29)

星に照らされてる山も灯りを木々に遮断され薄暗い。
しんと、しずまり返った広場のなかひとりの少女はじっと天然の切り株を椅子にして座っていた。
少女は、そっと自分の腕を撫でる。
血のかよった腕は、あたたかくそして柔らかい。
この身体は、こころは、ある目的のためにつくられたのだ。
ただ、目的を果たすために作られた【自分たち】
創造主ともいえる御方は、私にだけ本心を教えてくれた。
それはもちろん─理解しようにも立場が違いすぎる。
ただ、創造主はそれを願っていた、それだけでいいのだ。
そして、それはあいつらによって叶えられた。
ずきんと、戦いで出来た無数の傷が痛む。
創造主の願いは叶えられた。
おそらく自分達はそのために【創られた】だしその為に生きているのだ。
きっとそれは、創造主での【願望】と呼ぶべきものであろう。
だけど、本能以外の何かがひっかかるのだ。
ずきん、ずきん─
ひどくなる傷の痛みを自覚しながら思う。
そして、創造主と共に姉がいなくなった。そして、あいつはまだ泣いてるだろう。
優しいやつだから、敵であろう自分のを見捨てきれないくらいに。
姉の変わりに私が?なんて思わないでもない。だが死ぬのなんて嫌だ、絶対。
森林の奥、少女はいや、少女の姿をした両手をきつく握り締め、額に押し付ける。
その姿は、まるで神に祈りをささげる殉教者のように、儚く美しい。
少女は、神への反逆のために【創られた】イキモノなのに。
いや、もしかしたらお願いをしているのかもしれない。創造主と姉の安らげる事を。
神ではないなにかに。
目的を果たし、逝くことを。
姉へそして創造主へ。
人間を裏切ってまで助けてくれた男、礼の一つもかえすこともできなかった、最初で、最期のオトコへ。
「…ありがとうよ」
ぽつりとこぼれた言葉は、小さくそして寂しげだ。
そして、口元に淡い、ほんとうに淡い笑みを浮かべる。
なにがうれしいのか。
謝るべきひとはたくさんいるけれども─。
自分のこころのままにいきれるのだから。
生きて、死ねるのだから。
これがしあわせでなくてなにが、幸せなのだろうか?

あいつの望む結果とはちがったが。

ぎゅっと傷のある場所を両手で抑える。
どくどくと恐ろしいくらい早い血液の鼓動が聞こえた。
少女は、ぱんと両手で自分の頬を叩く

「さて、と私が最後の生き残りだけじめをつけねば」

FIN
いまさら何かは言わなくてもいいよねv

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