ザ・グレート・展開予測ショー

命の『選択』?番外編2


投稿者名:運値
投稿日時:(02/ 9/29)

都会の片隅にある打ち捨てられたゲームセンター。暗く、誰も居ないはずのこの場に、一
人の男の子がいた。目だけがギラギラと光っている男の子は忌々しげにある男の名を呟く。

「横島…あのボンクラが…この恨み、タダ殺すだけでは済まさん…」

仄かに揺らめく眼光。赤い光が鋭さを増し、その姿が陽炎の様に揺らめく。

その男の名はダミアン。かつて、美神によって倒され、アシュタロスの戦い時、復活を果たしそのまま姿を晦ましていた。

「時は満ちた。私の魔力もかつての力を取り戻している。さあ、復讐を始めようか…」

そう呟くと、ダミアンの姿は掻き消えた。



パピリオは、あの直後に妙神山の門を破り東京まで飛んで来ていた。そして、彼女の目の前には東京タワーがそびえている。

「ルシオラちゃん……」

パピリオは呟く。その顔はどこか寂しげで、何か思いつめているような表情である。

「アタシは、横島に嫌われちゃったでちゅよ…」

実際、パピリオの姉であるべスパは魔界軍に入隊した後は一度も会うことがなく、そして、今度の一件で横島を絞め殺しかけたことで完全に孤立してしまったと思い込んでいた。
パピリオはルシオラが消えた辺りに座り込み独白を続ける。目から流れる涙をハンカチで拭いながら。

「もう、アタシは一人ぼっちでちゅ…。アシュ様もポチもルシオラちゃんもべスパちゃんも…ハァ、何でこうなっちゃったんでちゅかねえ…それにしても…」

キッと顔をあげ、ハンカチを噛みながら叫ぶ。

「小竜姫は許せないでちゅ!!!元はと言えば、あのオバサンのせいで!!!」

独白の内容が何時の間にか小竜姫に対する恨み辛みに変わっていく。もし、あの場面に小竜姫がいなければ、そもそもこんな事にはならなかった。そう考え付いたのだ。

「小竜姫は、きっとサディスとなんでちゅ。アタシを苛めて楽しんでるに違いないでちゅ!!!」

すでに、ハンカチはブチギレており、パピリオの額には幾つも青筋が浮かんでいる。

「考えれば考えるほどムカツキまちゅ!!!」

そう叫んだとき、ふと後ろに気配を感じた。

「誰でちゅか?」

振り向くと、後ろに少年が立っていた。

「お前は、確かアシュ様の所にいた…えーと、誰でちたっけ?」

盛大にすっ転ぶ少年。

「ダミアンだ。名前ぐらい覚えておけ!!!」

「で、そのダミアンが何の用でちゅか?事と次第によっては容赦しないでちゅよ」

油断なくダミアンを見据えて言い放つ。それを見てダミアンは笑いながら言う。

「もう、お前達と戦う気はない。それどころか、お前に有用な情報を持って来てやったのだ…」
「ハア?」

ダミアンは口の端を歪めながら続ける。

「もう一度、もう一度ルシオラに会いたくないか?」
「何を言って…」

パピリオの表情に迷いが浮かぶ。それを見てダミアンは心の中でほくそ笑む。
(もう一押しだな…クックック)

「私はルシオラを元に戻す方法を知っている。私に協力すればもう一度会わせてやろう。」
「それは本当なんでちゅか?」

いまいち信じられないルシオラに対してダミアンは言う。

「信じるも信じないもお前の自由だ。だが、私を殺したらその機会は永遠に失われるであろう」
「………」
「まあ、話くらい聞いてもいいだろ?」

パピリオにはこの誘惑をはね退ける力はなかった。

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