ザ・グレート・展開予測ショー

#新歓企画『対決!!』Ver:マサ・3


投稿者名:マサ
投稿日時:(02/ 9/28)

いよいよ試合の開始である。



Aブロック(唐巣・雪之丞)

「本気で行くよ」
「望む所だ。こい!」
 パカカッ
唐巣はラケットを傾け、やや擦り気味に先制の第一球を打つ。
右端から打たれた球は唐巣側でワンバウンドし、ネットすれすれを通り過ぎ、雪之丞側の対角に突っ込んでいくと再びワンバウンド。
その一連の球の動きはそのオレンジ色が一つの弧を描いたようであり、滑らかに方向転換したピンポン球は雪之丞の顔の右の方のすれすれを通り過ぎて行った。
「………やりやがったな…」
速攻を決められたためか、雪之丞の頬に汗が伝う。
二人の表情にこみ上げる様な笑みが浮かんだ、と、次の瞬間。
「はああああっ!!」
 バッ
雪之丞が身を霊気の鎧で包む。魔装術だ。
「さて、どうする?神父さんよ?」
確かに、雪之丞の言うとおり、魔装術のスピードならば打ち合いに持ち込むのは余りにも唐巣に分が悪すぎる。
「ふっ…!」
 スバッ
目にも止まらぬラケット裁きで放った球は唐巣の目の前で高くワンバウンドし、上空5メートル辺りから落ちてくる。普通ならば真っ直ぐの筈が、激しく左右に大きなブレを生じさせ、あたかも相手のラケットをすり抜けようとするように。
ちなみに、卓球は互いのコートにワンバウンドずつさせてから打ち返さないといけない。
そのため、雪之丞は下で待ちの構えである。
 ガキョォッ
台の一部を削り取り、雪之丞の懐に魔球が飛び込んで来る。
球の動き、そして回転までもを捉えようとする雪之丞。魔装術で身体機能を限界まで引き出した自分ならできるはずであると信じて。
「!?…そこだぁー!!」
 ガッ
球の位置を捉え、回転に合わせてラケットの角度を変え、唐巣の側の左隅に打ち返すことに辛うじて成功した。
渾身の力を込めた一撃が唐巣の側のコートを破砕し、その背後の壁にめり込む。
「自慢するだけの事はある…。…台を変えよう、これはもう使えなさそうだしね」
「ああ。この試合、面白くなりそうだ」
互いに微笑する。

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「だあぁぁー!!」
 パコカッカッコンッ
雪之丞のサーブした球を唐巣が打ち返そうとしたとき、 行き成り球の方からラケットに飛び込んできた。
唐巣が対応出来ずに打ち損じて高く上がった球が何とか雪之丞側にはいった所で上空に高く飛び上がった雪之丞の鋭いスマッシュが左のネット際に炸裂。
 スパァーンッ
「ドライブ回転で勢いを付けた大リーグボール一号風の変化球に、飛び上がっての大ジャンプ魔球風のスマッシュ…見事だよ。まだ手があるとは」
「そう言うあんたも凄いぜ。俺を此処まで追い詰めるとはな」
現在の得点は〔唐巣10−10雪之丞〕でデュース、つまりどちらかが後2点入れれば勝ちである。
此処で唐巣にチェンジサービス。
「はぁーっ!」
 カコーッ
また手前で大きくバウンドさせた球が今度は上空で小さく揺れ始め、だんだんと動きが大きくなっていく。
今度は更に高い所からだ。
 ギュオーギュオーギュオーッ
最終的に球の動きは大きな渦状になって落ちてきた。
これでは球の跳ね返る方向は流石に予測できない。
「くっそー!」
 カッカッカ……
球が乾いた音を立てて地面に墜落した。
「見たかね?必殺の『竜巻落し』を」
「……」
「…後一点だ」
 カコーッ ギュオー……
大きく振りかぶり、唐巣は再び『竜巻落し』を放つ。
 カッ
「まだぁー!!」
逃げる球に必死で食らい付く雪之丞。
紙一重のタイミングで巧く返す事は出来たのだが……。
「これで、ゲームセットだ!」
 スパァーンッ
雪之丞の隙を突き、今度は唐巣が彼のいる反対方向にスマッシュを決める番だった。
「はーっ、若い頃はもう少し動きにキレがあったんだがね」
「≪何者だ、こいつ!?≫」




勝者、唐巣。





続く

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