ザ・グレート・展開予測ショー

かなた絵日記(四拾弐)


投稿者名:みみかき
投稿日時:(02/ 9/24)




 気になる女(船)の事は、いつだってどこにいたって気になるもの。

 ある者は万単位の電話代を注ぎ込み、
 ある者は授業中にどうでもいい内容の手紙をアイツに回す。

 宇宙の海は舞の海。(古っ)
 自由の旗の下に宇宙の海を渡り歩く(予定の)青年海族ブラッドも例外ではない。
 なけなしの400円を握り締め、いるかいないかわからない船(彼女)を求めて
 開店間際の星乃湯へやって来た。
 なんで人気の少ない時間帯にわざわざ来たかとゆーと、
 深夜からは水道工事のアルバイトが彼を待っているからだ。
 日々の糧、それなくしてはどんな人も生きてはいけない。
 皆、限られた時間で希望や夢、そして愛を見つけて生きている。


 「ちわー、大人ひとりー」

 『男』の暖簾をくぐり、ガタついた扉を引く。
 店の50m前から握り締めた400円を番台に置くと、予想に反して高く、そして細い声が聞えた。

 「ああ、ブラッドか。いらっしゃいませ」

 普段なら、そこにいてもちっとも嬉しくない無愛想なヤロー(無論リョウの事)か、
 なぜか彼の心の規格範囲外の王女(ユウリの事)が座っているのだが、
 今日、そこにいるのは女神さまであった、少なくとも彼には。

 「今日はお前が一番の客だ。空いているし湯の衛生状態も良好だ。ゆっくりしていくといい」

 まるでそう、ドジこいて電柱にぶつかったかなんかした主人公が憧れの先輩(女子)に見つかって
 クスクス笑われて、『濡らしてきたからこれでしばらくタンコブ冷やしてね』とわざわざ自分の
 ハンカチを額にあてがって、なにかクリアするパラメーターが大変そうなキャラに登場されて
 呆然とする少年の様に、ブラッドは固まっていた。(よくワカラン例え)

 さすがに普段のウエットスーツもどきのアノ格好では不味いと思ったのだろう。
 白いプリントTシャツに、髪の毛には普段のセンサー(なのか?)はついてはいない。
 したがって艶のある漆黒の長髪だ。
 彼の位置からは見えないが、腰から下はキュロットスカートだ。

 「どうした?早く中に入って着替えるといい」

 この場で鼻血を吹かなかったのが自分でも不思議だった。

 「あ、はい!そそそそうだにゃ。着替えるとするかにゃ」

 普通、番台というものは店の備品の様なもので、座っているのが女性だろうとあまり意識して
 着替える人は少ない。(と私は思う)
 ましてや男の美学を追求して止まない若き海賊としては、そりゃもう42号のごとしである。
 ぶらぶらである。
 しかし、いくら番台が空気の様な存在だからといっても、
 また彼がロ○コンではないといっても(公式見解)、愛しの愛機(かのじょ)に
 ソレは見せられない。
 つーか、見せたがったらヤバイ。
 ま、見せたがる人も昔からはいるが。

 そういうワケで、ブラッドは今回は自分の流儀を曲げてセイリュートからの死角で
 服を脱いでいる。

 「リョウ殿はユウリ様の買い物の付き添いだ。なにか今日は量が多いらしい。
 カナタ様とじい殿は定刻の警らに出られた。だから私が番台に座っている」

 何で自分がココに座っているかと、彼は疑問に思っているだろう。
 そう察してセイリュートは経緯を説明した。

 「そそそそうかい、じゃ後で俺も何か手伝おうか?」

 「いや、かまわぬ。ここでアカウントするだけだし、お前も仕事があるだろう。
 こちらを気にせず、ゆっくりしてくるがいい」

 なんちゅーか、ブラッドの様なガタイのいい男が前をタオルで隠す姿はかなりアレだが、
 武士の情けである。
 そそくさとサッシを閉めて、やや手前のカランに陣取る。
 ケロリン桶を引き寄せて赤いレバーを押す。

 『いや〜アレだな〜。なんつーかこう、現地の装束に身を包む彼女も、ウチに秘めた色気つーか
 危険な誘惑ってゆーか。なんだっけな、地球(げんち)の言葉で美しい者を称える言葉……、
 そう、”萌え”!”萌え”っていったっけ。ええわ〜彼女。もうゲットするしかねえよな!』

 ちなみに彼は宇宙を駆ける船が欲しいだけで、ロ○コンではありません。(公式見解)

 次に青いレバーを押して水を入れる。
 お湯8に対して、お水は2が望ましい。

「よし、人気も少ないし湯上りのコーヒーでも飲みながら将来の事でも語り合うか」

 最初の一杯目で身体を湿らそうとすると………


 「ううわっちぃぃぃい〜〜っ!!あちあちあちあちあちゃぁぁ〜〜っっ!!」

 最初の一杯はよく温度を確かめよう。
 飛び跳ねるブラッド。
 そしていきなりサッシが開く。

 「ああ、開店し始めはボイラーの温度が安定していないからな、よく確認して入ってくれ。
 火傷した様なら水で冷やしておくといい。あとで軟膏を渡しておこう」







 ぞぉ〜おさん、ぞぉ〜おさん、お〜はながながいのね♪






 サッシが閉まる。





 そ〜よ、かあさ(以下著作権に配慮)よ〜♪







 「ただいまー」
 「ただいま、セイリュートちゃんご苦労様」
 買出し組の二人が帰ってきた。

 「おう、番台俺が替わろう、ってセイリュート、どうした?頬杖なんかついて」

 「いや、ちょっと個人的な秘密についての対応を考えていた。
 ああいう場合、私は彼を褒めるべきか慰めるべきか、それとも……」


 (終)

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