ザ・グレート・展開予測ショー

黒金4・『対峙』


投稿者名:紫
投稿日時:(02/ 9/14)

「ダメだ・・・!!」

「宇宙のタマゴ内部にはあらゆる可能性が無限に広がっている!」

「外からでは異物を追尾しきれん・・・!!私自ら中に入るしか・・・。」

「・・・いや・・・むしろあの女の復活を手助けしてやるか?」

どうせその後すぐに消去してやれば良いのだ。

鍵盤をたたく。範囲は狭いし、目的も同じなのだからエラーも起こらないだろう。



(え!?・・・プログラム・ワームが引き返していく!!何かあったのかしら?)

(まあいいわ。この隙に・・・)

(なに!?魂が再生されながら外へ出てく・・・!!私まだなにもしてないわよ!!)

(せっかく、いろいろやっておこうと思ってたのに・・・!!)

なにを考えていたのだろうか。

喜んでいるのに残念がっているような、変な表情で、美神は再生されていった。



医師たちが美神の体を取り巻いて騒いでいる。

そこへ、彼女の魂が戻ってきた。

「も・・・戻った!?」

「!!・・・美神さんっ!?・・・生き返ったんですね!!」

「おキヌちゃん・・・!!ごめん、心配かけたわね。」

(何で戻れたのかしら?・・・まあいいか。)

「っと、こうしちゃいられないわ。急いであそこに戻らないと・・・!!」

そうは言いながらも、彼女は持ち前の霊感でわかってしまっていた。

自分が既に、事態の中心から決定的にはずれてしまっていることを。

・・・自分が到着する頃には、決着がついているだろうことを。



「これでエラーも起こらんだろう。・・・さて、世界の再構築を楽しむとしようか。」

「・・・なんだ!?」

空間を引き裂く音と共に、転移してきた横島が現れる。

「・・・!!おまえは・・・!?」

(こいつ、本当にあの小僧か!?)



この時既に、横島と『王』は、支配する、される、という関係ではなかった。

横島が『守る』事を考え、意識をアシュタロスの抹消に向けたためである。

・・・『王』と意識が、目的が一致し同化し始める。



横島は・・・『王』はアシュタロスをにらみ付けながら、口を開く。

「オマエを殺し、アレを壊す。」

その宣告と共に、アシュタロスに意識を集中させる。不意打ち。

「が!?ああああああああっ!!」

黒金の霞が包み込む。強制的に、アシュタロスを構成する力の流れを狂わせ、分解する。

防御すらできない。その為の力すら狂わせるのだから。必殺。

腕が砕ける、足が折れる。体がひび割れ、魔力が吹き出す。

しかし・・・アシュタロスは死ななかった。



横島はアシュタロスに、自分でも意識しないほど少しだけ、同情していた。

南極で彼をコピーし、その心を知った時から。

『中立』故に、彼の立場すらわかってしまった。

もちろん、それで彼のしている事を肯定するわけではない。

しかし、同情は迷いを生み、迷いは『力』を操作するうえで不純物となった。

それはほんのわずかな隙。アシュタロスの消滅が一瞬遅れる程度の。



間一髪でコスモ・プロセッサの鍵盤をたたき、壊れた体を回復させる。

体にまとわりついていた霞を吹き散らす。

相手がどういう存在か読みとり、理解する。

「・・・おどろいたな・・・!まさか『反作用』がこんな形で現れるとは・・・!!」



『王』は、表には出さなかったが、必殺のはずの一撃を耐えられたことで動揺していた。

ために、少しだけ様子を見て、どういう事か考えてみた。・・・わからない。

彼は自分がアシュタロスに対して、少しでも同情しているなんて思いもしなかった。



両者はにらみ合う。

対峙。

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