もう一つの物語(最終話)
投稿者名:hoge太郎
投稿日時:(02/ 9/12)
「・・・小龍姫様。綺麗・・・。」
「・・・本当だべ。わたすも、いつかは山田君と・・・。」
おキヌちゃんと早苗がうっとりと小龍姫を眺める。
「小龍姫様に、ウェディングドレスが似合うかどうか心配したんだけど、杞憂だったみたいね。」
「ありがとうございます。美神さん。」
「それにしても、神様が神様に誓いを立てるってのも変なものよねー。」
「イエス様には、一度お会いしただけですが、とても素晴らしい方です。
それに、上級神でいらっしゃるので、問題ありません。」
ウェディングドレスを身に纏い、小龍姫が微笑んでいる。
他に、GS女性陣。エミや冥子、魔鈴やシロタマなどがキャイキャイ騒いでいる。
一方の横島。
「おっ!銀ちゃん!来てくれたんか!」
「当たり前や。横っちの晴れ舞台やで?来んわけにはいかへんやろ。」
「それにしても、横島さんが小龍姫様と・・・。
ワシもいつか一文字さんと!!いや、エミさんも捨てがたい・・・。ブツブツ・・・。」
「横島さん。お久しぶりです!」
「ピート!ICPOに行ってたんじゃねーのか?」
「もちろん、帰ってきたんですよ。友達じゃないですか。」
「横島。今のてめーは、俺よりも随分強くなった。だけど、覚えとけ!
必ずいつか追い越してやる!」
「雪之丞・・・。こんな時くらい、他のセリフ考えてくれよ。」
「それよりも、飯はまだか!マリア、おにぎりを出してくれんかのう。」
「イエス・ドクターカオス。」
「そうじゃ。おにぎりはやっぱり梅・・・ぶっ!!」
おにぎりを食べようとしたカオスを突き飛ばし、人影が横島に飛びついた。
「ヨコチマーーーー!!」
「パピリオ!!」
「パピリオだけじゃないでちゅよ!ほら!」
パピリオが指さした所には、老師、大龍姫、そしてベスパが立っていた。
「いやいや、全くここまで来るのに苦労したわい。」
「横島よ。私はお前を認めたわけではない。
だが、妹が自ら望んだことだ。・・・妹のことを、頼む。」
「ありがとうございます。必ず幸せにします!」
「ヒャクメは神界で謹慎しておる。伝言を預かってきた。
・・・コホン。この幸せ者ーーーーー!!・・・・・・だそうだ。」
「いってーーーー!・・・・・・どーして殴るんすか!?」
「殴りながら伝言して欲しいと言われてな。」
「・・・さいですか。」
ヒャクメの物まねをする大龍姫に、反撃するわけにもいかず、シクシクと泣く横島。
「・・・久しぶりだな。横島。」
「ベスパ・・・。」
「あの子も、喜んでいるだろう。あの子は、お前自身でもあるのだからな。」
「・・・ああ。」
突如、教会の扉が開いた。
「け、警察!?なんでここに?」
警察官は、横島目指して一直線に走ってきた。
「お、俺はなんも悪いことしてないっすよ!?
Hな本をベッドの下に隠したりしてないし、立ち小便なんてしたことないっす!
あと、それから・・・!」
「横島さん!私です。分かりますか?」
「え・・・?あれ?もしかして、小鳩ちゃん!?」
「はいっ!」
なんと、婦人警官の制服に身を包んだ小鳩であった。
しっかりと、ふわふわ浮きながら貧乏神、ではなく福の神の貧ちゃんもついてきている。
「小鳩ちゃん、警察官になったんだ!」
「はい。できるだけ多くの人の力になりたいって思って。
それで、招待状貰ったんだけど、仕事が忙しくって、でも、やっぱり一目だけでも会いたくって、
先輩に頼んで寄って貰ったんです。
横島さん・・・。小鳩は、小鳩は・・・!」
「小鳩!泣いたらあかん!横島の顔を見てみい。幸せそうな顔の裏に、不幸の影が・・・ぶっ!!」
「てめえ!こんな所まで喧嘩売りにきたんか!!」
「騒がしいのう。何事だ?」
「あ、大龍姫様。いや、この貧乏神が・・・。」
「だ、大龍姫様やて!?」
「ん?ほう、懐かしい奴がいる。久しいのう。」
「だ、だ、大龍姫様!も、も、儲かりまっか?」
「はあ?」
貧ちゃんは、動転して訳の分からない事を口走っている。
その時、外でクラクションの音が響いた。
「あ、いけない!先輩が外で待ってるんです。それじゃ、私はこれで!」
来るときと同様、パタパタと走っていく小鳩。
その足がピタッと止まる。くるりと振り向く。
「横島さん!お幸せに!」
小鳩はそう言って、また振り向くと、そのまま外へ出て行った。
貧ちゃんも慌ててついて出て行った。
「・・・ありがとう。」
そうこうしているうちに、式が始まった。
バージンロードを歩く。聖壇の前に立つ。唐巣神父が仕切っていく。
やがて、誓いの場面に入る。
「横島忠夫よ。汝は・・・彼女を妻として永遠に愛することを誓いますか?」
横島は小龍姫を一度見る。
「・・・誓います。」
「小龍姫よ。汝は・・・彼を夫として永遠に愛され、助ける事を誓いますか?」
小龍姫は一度横島を見る。
「誓います。」
そして、指輪を交換をする2人。
ぎこちないキス。
舞い上がるブーケ。
小龍姫が思いっきり投げたので、なかなか落ちてこない。
ブーケを奪おうと、女性達の激しいバトルが行われる教会前。
「令子!あんたは一生結婚なんてできないんだから、ブーケ貰っても意味ないワケ!!」
「うるさい!あんたこそ無駄なことはやめなさいよ!」
「2人も止めてよ〜〜。でないと〜、私〜、私〜、ヒック!」
「わ、わ、悪かったわ。大丈夫!私達は親友なんだから、ね。」
「幽体離脱して取ったらまずいかなー。」
「わたすが取るだ!山田君と!山田君と!!」
「あのブーケ、魔法薬の材料になるかも・・・。」
「私だって、もう一花くらい!」
「百合子おおおお!捨てないでくれええええ!!」
少し離れたところにいるシロタマ。
「・・・なんでみんな大騒ぎしてるでござるか?」
「知らない。」
そんな大騒ぎの中、ブーケはパピリオの手の中に収まる。
「やった!取ったでちゅ!それで、これを取ったらどうなるんでちゅか?」
女性陣の頭が、カクンと折れた。
そんな中、幸せ一杯の顔をした小龍姫が、横島に話しかける。
「ねえ、横島さん。」
「なんすか?」
「ヒャクメが調べてくれたんですけど、生まれてくるのは女の子だって。」
「女の子かー!」
「それでね、私、名前を考えてみたんです。聞いてくれますか?」
「もちろん!」
「【蛍】です。ルシオラさんにちなんで。」
「・・・いい名ですね。蛍か。美人になること間違い無しだな!楽しみやなー!」
「私もです!!」
横島忠夫、二十一歳
桜が舞う季節
幸せの中に宿りし新しき命、蛍
神・魔・人の血を引くもの
彼女が、これからどんな人生を歩むのか、まだ誰も知らない
今までの
コメント:
- 皆さんこんにちは。hoge太郎です。
ついに完結しました。皆さんには、ご迷惑ばかりおかけ致しました。本当にありがとうございます。2年間を一気に書いたせいで、本当に忙しい文章になってしまいました。私が、この物語を書こうと思い立ったのは、完結の最後に触れた、【蛍】がきっかけです。横島の子供を扱ったSSを多く拝見いたしましたが、殆どがやはりルシオラの生まれ変わりでした。原作がそうなので、当たり前なのですが。ですが、それって相手の女の人にとっては、どうなんだろうとも思いました。それと、ルシオラの生まれ変わりである場合、魔族であるか、あるいは魂だけか。でも、神族・魔族・人間の血を引いていたらどうなんだろう。であるならば・・・!と言った感じです。 (hoge太郎)
- ・・・続き
横島と小竜姫様の結婚で、この物語はひとまずの区切りを迎えますが、もちろん、その先の物語も続いていくことでしょう。横島・小竜姫様・早苗。そして、蛍。さらに加えるならば、4歳年上の、ひのめ。なかなか楽しそうな構成ですね。無いと思いますが、もしご要望があれば、続編を考えるかもしれません(笑)。最後に、この駄文を誤字脱字修正後、煩悩の部屋へ掲載申請をしようと考えております。何はともあれ、改めて皆さんにはお礼を申し上げます。ありがとうございました。 (hoge太郎)
- 横島、この期に及んで、まだ疾しい事考えとったんかい!(挨拶)
なにはともあれ、ひとまずの完結おめでとう御座います。
早苗も、中途半端な役ながら中盤を盛り上げた一人として、感謝!
(山田君とは、無理そうだけどね…ブーケ取り損ねたし)
そしてシロタマ、キヌ、美神、そして暗殺部隊たちにも感謝いたします。
最後に
実は、私も「横島の子供を扱う」とは行きませんが、それに近いSSは書いていました。
……この件については、数日後にお目に書かれる(掛かれる)と思います。 (ギャグレキスト後藤)
- これ以上ないくらいに幸せに満ちたエンディングとなってましたね。そんな中でも、各キャラが「らしい」動きを見せていたのがさすがという感じです。全編を通しても非常によく練られているストーリーが目を引きました。連載お疲れ様です♪ またhoge太郎さんの作品を目にするのを楽しみにしております。 (kitchensink)
- 一応最後ですので参上(爆)。とても長い話のため、私はまだ読破してはいないのですが、まあ、最後には横島への気持ちを語れないままでも盛大に祝ってあげた女性陣全員にブーケを上げたいです。そこら辺がGSのキャラの共通の『優しさ』なのでしょう、きっと。だから、花嫁よりも来賓の女の子たちにもっと幸せになってもらいたい、そんな感じです。 (マサ)
- なにはともあれ、お疲れ様でした。
厳しいことをいえば、力をいれているシーン以外ははしょりすぎではないかとか、他の女性陣はもっと往生際がわるいのではないかとかの感想もあります(偉そうで失礼)。
ですが、やはり“幸せ”はよいですね。
それに、短期間でこれだけの分量をしっかり完結させたのは、素晴らしいです。
というわけで、完結、おめでとうございます。 (米田隆雄)
- コメントありがとうございます。
ギャグレキスト後藤さん、kitchensinkさんへ
殆どの投稿に対してコメントをして頂き、本当にありがとうございました。数少ない賛成票が、投稿を続ける支えになっていました。
ギャグレキスト後藤さんへ
早苗は中途半端な役柄になってしまいました。でも、彼女無くして、この物語は語れないと思います。横島に対する突っ込み役は、美神から離れた今、彼女しかいませんから(笑)。ところで、SSをご投稿なさるとか。是非、拝見させて頂きます。今から、楽しみにしております。 (hoge太郎)
- kitchensinkさんへ
初めて書いたSSなので、とにもかくも幸せになって欲しかったです。強引な展開が多々ありましたが、どうかお許しを。ストーリーについてお褒めの言葉、ありがとうございます。ただ、多くの方のご指摘があったように、もう少し原作に対して検証すべきでした。もし、次回(外伝?)を書くとしたら、今の物語の延長線になると思います。その時は、またよろしくお願いいたします。
マサさんへ
長文になってしまい、申し訳ありません。どこで聞いたかは忘れたのですが、「物語を書くにあたり、如何に短い文章で、綺麗に納めるかで、その人の力量が分かる。」と言うのを聞いたことがあります。その1点に関してだけでも、私は失格ですね。この物語を今お読み頂いてるとのこと。ありがとうございます。できれば最後までお読み頂けたら、嬉しいです。 (hoge太郎)
- 米田隆雄さんへ
>力をいれているシーン以外ははしょりすぎではないかとか、他の女性陣はもっと往生際がわるいのではないか
あうう、やはり、というか、当然のご感想だと思います。バンバン時が過ぎていきましたから。女性陣の横島に対する折檻を、もっと増やすべきだったかもしれません。それにしても、物語を組み立てていく上で、「ハッピーエンド」を築き上げるのは、本当に難しいと痛感いたしました。できるだけ多くの人が納得できる形。惰性にならないようにするには?飽きさせない為には?などなど。実は、最初の投稿時に既に文章はできていたのですが、皆さんのコメントを拝見させて頂きながら、細かい部分などを、随時加筆、修正していました。その意味でも、「展開予想」に投稿して、良かったと思います。ありがとうございました。 (hoge太郎)
- 投稿お疲れさまでした。
最後は横島と小竜姫さまが幸せになり良かったです。
いろいろとありこのシリーズはとても楽しめました。次回作がんばってください。 (3A)
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