黒金3・『集中』
投稿者名:紫
投稿日時:(02/ 9/ 7)
壊す。殺す。抹消。
それは、『王』が目覚めて最初に思うこと。
それが最優先される『意志』。
ルシオラは困惑した。顔は横島である。雰囲気も少し違うが、あまり変わらない。
確かに、いつもの『包み込むような』感じがする。
・・・まあ、全ての元たる『力』を引き連れているのだから、そんな感じもするだろう。
しかし自分に反応してくれない。彼が自分を『見ない』なんて・・・。
さっきの直感は間違いだったのだろうか。そんなはずはないと思うが・・・。
・・・横島の意識は『王』に支配されていた。当然である。
世界そのものの意志に、一人の人間が逆らえるわけがない。
・・・普通なら。
彼はまっすぐにコスモ・プロセッサをにらみ付ける。ルシオラを気にもとめずに。
彼は進もうとする。疲労して座り込んでいる彼女を放っておいて。
一歩を踏み出す。声をかける彼女を無視して。
(・・・ふざけるんじゃねえ!!)
横島の力の源は煩悩とは限らない。それは一面にすぎない。
ただ、生来の女好きにより、それが最も表立っているだけである。
彼は本来、その凄まじい『集中力』により力を引き出すことができる。
それが、世界と最も近い存在である事と相まって、奇跡を起こしていた。
GS試験で。香港で。妙神山で。月で。
彼は、ここぞという時に、実力以上のはずの成果を出していた。
横島は怒り狂った。ルシオラを無視した『王』に対して。『自分』に対して。
彼の心の中に作られ、彼を支配していたはずの『王』。
それを怒りによる集中力で支配し返す。
「ふざけるんじゃねえ!!」
突然大声を上げて、驚いたのだろう。ルシオラが目を見開いてこっちを見ている。
「・・・ヨコシマ?・・・」
さっき無視してしまったからだろう。遠慮がちに声をかけてくる。
『王』の支配を跳ね返すなんて事、そう長くはやっていられない。
あと一、二分が限度だろう。
・・・今のうちに、何か言ってやらないと。荒くなっていた息づかいを鎮め、答える。
「・・・俺は大丈夫だよ。・・・心配すんな。」
その言葉を聞いただけで、彼女はほっとしたような笑顔を見せた。
言葉以上の何かを感じ取ったのだろう。
「そう・・・よかった・・・。」
(さっきはどうなるかと思ったけど。)
(・・・っ・・・くそ!まだだ!!・・・もう少し話をさせろ!!)
「・・・悪いけど、ここで待っていてくれないか?」
アシュタロスをどうにかしようというのに、彼女がいてはまずい。
「・・・そうね。ここならながめがいいし、おまえがあいつを壊せばすぐ見えるし。」
こちらの意図するところをわかってくれたのだろう。
(・・・こーゆう、さりげないところで幸せをかんじるなあ。)
これを、この幸せを、彼女を、守らなければ。
ふと、ルシオラを治した方がいいかな、と思ったがやめておく。
『王』ならともかく、自分がこんな力をうまく扱えるか自信がない。・・・それに・・・
(それを理由に湯治に行ったりできるかもしれないしな。)
こんな時に、こんな事を考えるあたり、横島である。
「全部終わったら迎えにくるから、待ってろよ!!」
かなり後ろ髪を引かれるような思いをしたが、そろそろ行かなければ。
・・・精神が『王』の方に傾いてきた。
「あ、ちょっと待って!!」
起きあがる。結構元気である。
顔を近づける。口づけ。
「・・・がんばってね。」
「・・・お、おうっ!!」
横島の意識がコスモ・プロセッサの方へ向き、『王』と目的を同じくする。
自信を分解し、目標地点で再構築されるように『力』の方向性を定める。
転移。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
何でこんなに時間がかかったのだろう、第三話です。
・・・また話がすすんでないよ・・・どうしよう・・・なぜでしょう?(コラ)
でも大丈夫!!きっと次では結構すすむさ!!(根拠なし)
それはともかく、違和感ないように会話文を書くのは難しいですね。
って、違和感ないように書けてるのか、俺?
では!!コメントお願いします。
今までの
コメント:
- う〜ん・・・今回は確かに話し的に見れば違和感は無いけど前の話と続けて読むと微妙に違和感があります。
でも!話し的にはかなり引きこまれる所があるのでこの後の展開が楽しみです。
続きも頑張ってください (D,)
- 相変わらず『GS美神』の諸設定に関する紫さんの考察&オリジナルの設定が興味深いです。横島クンの霊能力の強みとして「集中力」を挙げている点に関しても、原作時のアシュ編でのことを考えれば説得力がありますし。「王」に支配されながらもルシオラのことを思ったり、「湯治」に想像力を働かせているあたりが横島クン「らしい」雰囲気でした(笑)。アシュとの直接対決に向かった横島クンでありますが、勝算はあるのでしょうか? そしてその過程で「王」に完全に支配されたりしないでしょうか? 次回も楽しみにしております♪ (kitchensink)
- D,さんへ
むう。やはり違和感ありますか。・・・これでも結構見直して、かなり直したんですが・・・。まあ、話を作るのは難しいってことで、笑って許して下さい(ダメです)。
kitchensinkさんへ
設定作るのとか、霊能についての理屈を考えたりするの好きなんですよ(笑)。話とあまり関係ないので書いてませんが、もっとあります。結界についてとか、美神家の女性は(横島を例外として)かなりの年上好きに違いないとか(笑)。・・・どーでもいいですね。
次回は、ついにアシュタロスと対決!!まで書けるといいなあ(コラ)。 (紫)
- なるほど。『王』は因果律の歪みの根源を抹消するために顕現した訳ですから、目的と意思はこうなる訳ですね。この辺に横島自身の意思との相違が現れていて、面白いです。 (黒犬)
- 世界の力もはねのける、愛のぱわ〜♪(←踊ってる)
ところで、パピちゃんの出番はないんでしょうか〜(←おねだり)<コラ (猫姫)
- 黒犬さんへ
面白いです、とか、続きが楽しみです、とか言われるのがこんなに嬉しいモノだとは。・・・ふふ、踊りたくなります(なんのこっちゃ)。
猫姫さんへ
おねだりされてしまいました(汗)。パピリオの出番・・・最後の方であるかも。・・・かも? (紫)
[ 戻る ]
管理運営:GTY+管理人
Original GTY System Copyright(c)T.Fukazawa