ザ・グレート・展開予測ショー

真・私のそばに立っていて!3(完結)


投稿者名:sai
投稿日時:(02/ 9/ 6)

ピリリリリリリィィィ―――――――――ッ・・・・・・・・・
ピリュリュリュリュリュリリリリィィィィ――――――――――――――・・・・・・・・・・・


天上の音楽。そんな、済みきった音色が響き渡る。
「音が出てる――――――――!?まさかおキヌちゃん―――――――!?」
結界の外で、悪霊のダメージから意識を取り戻した美神が叫ぶ。



『ガッ!?ガガッ!!』
と、外の悪霊たちに異変が生じた。
『ガアアアアアァァァァアァァァァァアアー――――――――!!』
バラバラだった動きが、まとまって苦しんでいるかのような叫びをあげる。

『ヤメロォォォォォッォォォオオオオオオオ――――――――――!!!!!』

ドガァッッッッッッッ!!!!・・・・・・・・・・ピシ・・・・・・・・ピシピシッ・・・バキャッ!!
ひときわ大きく結界に霊団が打ちつけられると、遂に結界が破れる。

「逃げよう!!」
おキヌの手をとって逃げ出すが、霊団の勢いは増しており捕まるまでの時間の僅かな延長でしかない。
「もーダメだー!!チクショー!!」
叫ぶ横島の隣で、おキヌが呟く。


「ごめんなさい横島さん・・・・もう・・・・・いいです」
「え!?」
「守ってくれて嬉しかった・・・!でも・・・この霊たちの辛さが分かるから―――――もう・・・」
おキヌの表情はホントに嬉しかったように微笑んでいた。しかし、霊たちの悲しみに取り付かれた諦めも浮かんでいた。そして、横島とのお別れを悲しむ表情も混じっていた。

「バ・・・バカなこと言うな!!んな簡単に『もういい』とか『もーダメだー』とか言うな!!あんなやつらの為に死ぬなんてバカ考えるな!!」

(『もーダメだー』は私のセリフじゃないんですけど・・・)
と思ったが、横島の真剣な瞳にさすがに口にはしなかった。



「おキヌちゃんは俺が―――――――俺が、守る!!」
さっきは小さな声で呟いた事。
向き直って栄光の手をかざし、悪霊たちに突っ込んでゆく。

漆黒の大きな口を開けた闇。
ズブ・・・・・・・・・・・・・・
(!?な・・・手応えが・・・!?)

{邪魔ヲスルナ・・・!!オマエカラ殺ス・・・!!}
ギリギリギリッ!!!
思う間もなく、霊団のかたまりに捕らえられ捻じりあげられる。



「横島さんっっっ!!!!」
おキヌが叫ぶ。


「やめてぇ――――――――――!!!」
このままでは程なく横島が死んでしまう。おキヌが絶叫する。


「その人は私の――――――――!!」
(私の―――――・・・何?)
硬く凍りついた記憶にヒビがはいる。


「その人は私の――――――――!!」


(ああ・・・・・・・・・・!!)
心の中の氷柱が、光る剣のような手で砕けてゆく。


(そうよ・・・・・・・・・・・・・!!!)









「私のっ、大事な人なの―――――――――――っ!!!!」















ピリュリュリュリュリュリリリリィィィィ――――――――――――――・・・・・・・・・・・!!!!!

ひときわ、強く優しく笛の音が響き渡る。


(そんなことしたって苦しいのは終わらないよ・・・・・・・・・!あなたたちの気持ちはわかるわ・・・)



(だって・・・・・・だって私・・・・・幽霊だったから・・・・・・・・・!!!)



ピュリリリリッ――――――・・・・・・キイイイイイイイイイィィィィィィイイイン――――・・・!!


グワアアアアアアッ!!!
「わっ!?」
笛の音色に反応して悪霊の動きがバラバラになり、横島が解放される。



(みんな、お帰り・・・!)


ギャアアアァアアアァアアッァァァァァ―――――――――――!!!!
ばふっ!!!

「霊団が―――飛び散って消えてく・・・・!!どんな攻撃も効かなかったのに――――!!」
霊団は、ちりぢりになって霧散した。



「おキヌちゃん――――――――!!」
解放された横島が駆け寄り、ややあって美神が駆けてくる。
「大丈夫かっ!?」


「横島さん・・・・・・・・!!美神さんのことも・・・・・・私・・・・・・・覚えてます・・・・・・・思い出しました・・・・・!!」

「え・・・・・!じゃ、幽霊だったときの事も・・・・・・!!」
こく、と涙を浮かべた笑顔で頷くと。


ぽふっ・・・

彼女は、彼の胸に顔を埋めて。



「ホラ・・・・・・俺たち、何も・・・・・・・・無くさなかっただろ・・・・・・・・?」
こく、と胸に顔を押し付けたまま頷く。



「・・・・でも本当に良かった・・・!!・・・・お帰り・・・!!」
彼が、彼女を強く抱きしめると。








「ただいま・・・・・・・!!」




それだけ言って、彼の背中に細い腕を回した―――――――――――――・・・・・・・・・・・・・・

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