ザ・グレート・展開予測ショー

戦士ゆえに Vol.1


投稿者名:MODEL1897
投稿日時:(02/ 9/ 2)

ここは空母インビンシブルの甲板上。美神(母)の声が響く。

「魔法円準備よし!空母電源は?」

「接続完了、いつでも行けます!」

「よろしい、テストします。蓄電開始、原子炉出力最大!」
 
「了解。原子炉出力最大115%!コンデンサー蓄電開始!」搭載された強力なコンデンサーに、空母の都市を丸ごとまかなえるほどの電力が流れ込む。
 
「カウントダウンは5秒で行きます。」美神は言いながら『竜の牙』を変化させる。

「了解。」オペレーターが答える。

「蓄電完了!」

「了解。カウントします。5,4,3,2,1,接続!」

「はあああああっっっっっ!!」

接続と同時に、カウントダウンをしたオペレーターが、自前で用意した野球のボール(直筆サインいり)を空中に放り投げる。

「ブウウウウゥゥゥゥゥンンンンン…‥」槍から放たれた雷を受けたボールはすっと虚空へと消えた。

「おおっ!」空母の甲板員、整備員達がざわめく。

数瞬後、再び虚空から現れたボールを、持ち主のオペレーターは見事にキャッチした。

「おおーー!!」どこからともなく拍手が沸き起こる。

「いいでしょう。作業は完了です。皆さんお疲れさまでした。」

作業の終了を宣言すると、美神はブリッジに向かって歩き出した。
兵たちはまだざわついている。無理もない。これまでの人生で、空母の電力すべてをその身に受けて、なおかつ時間を越えて物体を移動させる人間など見たことがなかっただろう。
それらを尻目に美神は足早にブリッジへと上がっていく。





後に、敵戦艦に大打撃を与えることになる作戦に出撃する空母の改造が終了し、美神は自分の娘のことを考えていた。と、そこへ、

「美神さん!」声がかかった。

「大佐」

声の主こと『大佐』は、今回の作戦のためにJ2から出向している人物で、年の頃は40ほど。長身、立派な口ひげ、制服、いかつい手、そして軍人らしい鋭い瞳。J2に来る前は海軍にいたらしい。海軍将校のイメージそのままだ。しかしどこか憂いを含んでいる。

「ちょっとお話があります。よろしいでしょうか?」それに対して美神は、

「ええ‥、かまいませんが…」





二人が来たのは人気のない士官室。おもむろに『大佐』が切り出す。

「失礼ですが今回の作戦、中止ということには出来ないでしょうか?」

「はぁ?」つい間抜けな声が出てしまった。(何をいきなり言うのか、こいつは。)

『大佐』は続ける。

「仮にも相手は、たった一機で山をも消し飛ばす火力を持っている化け物です。あなたの作戦は理解できますが、少し無謀というものではないですか?」

美神は少々面食らいながらも問いに答える。

「無謀は承知の上です。現在、神,魔族の戦力はほぼ皆無。アシュタロスに対抗出来るのは我々人間のみです。それをお忘れですか?」

「しかし…‥」

「あなたも軍人ならば、このような作戦もやむを得ないということをご理解いただけるはずですが。」

「………」

「それに勝機がないわけではありません。むしろこちらが有利に事を進められると考えていますが。」

しばしの沈黙が流れる。と、『大佐』が口を開いた。

「…ならば‥あの少年のことはどうするのですか?このままでは敵戦艦とともに死ぬことになるのですよ?!それでもいいと言うのですか?!」

(『あの少年』というのは横島のことか?しかし…‥)

「…‥人類の敵を滅ぼすためには、多少の犠牲もやむを得ないのでは?」

「あなたはそれで満足なのですか?」

(この男それでも軍人か?)

「あなたこそ、どういうつもりでこのような事を仰るのか分かりませんが…、対アシュタロス作戦の全指揮権はこの私にあります。あなた方はただ私の命令を実行すればよろしい。以上です。では、これからGS本部へ出向かなければなりませんので。失礼。」

「あっ、美神さん…」

しかし、すでに美神は部屋を出て都庁へ足を向けていた。



(なんだというのだ?あの男。いったん戦場に出れば、死は覚悟の上ではないのか?)

もちろん気持ちは分かる。自分だって横島には死んでほしくない。しかし、戦いというものは常に死と隣り合わせだ。

急に、胸の内に静かな怒りが沸いてくる。

(令子でさえ死ぬ思いをしているというのに…、この期に及んで…)

ふと、この事ばかり考えている自分に気づいて首を振る。

(今はそんなことに囚われている時ではない。)

そうは思ってはみるものの、やはり考えずにはいられなかった。



                     To be continued.




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はじめまして。よろしくお願いします。
MODEL1897といいます。通称ポンコツと呼んでください。
これから、ちょくちょく(といっても稀にですが)寄らせて頂こうかと思っています。

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