ザ・グレート・展開予測ショー

黒き翼(7−2)


投稿者名:K&K
投稿日時:(02/ 8/31)

 [キーンコーンカーンコーン]

 「ファーッ!。」

 終業時刻を告げる鐘の音とともに、横島はそれまで突っ伏していた机から身をおこすと、大きな
欠伸をした。黒板の前では教師が一瞬なにかいいたそうな顔をしたが、すぐにあきらめたように首
を振り、授業の終了を告げた。横島の周りでクスクスと忍び笑いが起こり、彼はいかにも笑われる
のは心外だという表情であたりを見まわす。

 『あいかわらず見事な眠りッぷりですねー。』

 「どんなに熟睡していようと終業ベルと同時に起きるところがスゴイですノー。」

 そうそう、というようにうなづく周りの連中へジロリと一瞥をくれると、声の主−ピートとタイ
ガー−に向かって口を開く。

 「それもこれも、全部美神さんが悪いんだ。あの人、自分は昼間寝れるからって、真夜中の除霊
  三日連続で入れやがって。そのくせ、おキヌちゃんやシロタマは体に悪いからって、俺ばっか
  こき使うんだよな。」

 文句とも泣き言とも取れる内容にピートは苦笑を浮かべた。

 『なんで、美神さんは横島さんばかりこきつかうんでしょうね?』

 「んなもん時給が安いからに決まってるじゃねぇか。」

 二人のことを良く知るものからすると恐ろしく的外れ(幾分かはあたっているが)なこの答えに
ピートは溜息をつき、

 (さすがは横島さん。美神さんも大変だな。)

と胸の中でつぶやいた。隣でタイガーもおかしそうに笑っている。横島はなぜ笑われるのか理解で
きずにブゼンとしている。

 「じゃあいっそのこと、美神さんのところをやめたらどうですかいノー。横島さんならどんな除
  霊事務所でも雇ってくれるとおもうんじゃがノー。」

 「バーカ。物事そう簡単にいくか。第一俺みたいな半人前そう簡単に雇ってもらえるわけねーだ
  ろ。それにな、ときには俺だってもうやめようかって考えることもある。けど、あの人の前に
  立ってあの乳や尻や太ももを見たり、文殊で風呂を覗いたりするとモー、俺は、俺はモー…。」

 だらしなく鼻の下をのばし、唐突に妄想状態に突入した横島に周りの連中が一歩引く。そこへ、

 『恋と学業の両立に悩める若者。ウーン、これこそ青春だわ。』

と、これまた場違いなセリフが飛び込んできた。正気に返って振りむくと机妖怪の愛子が笑っている。

 『さすがは横島君ね。朝から学校が終わるまでずーっと寝てたと思ったらいきなりこれだもの。』

 愛子が言うと少しもいやみに聞こえない所が不思議であるが、さすがに横島は恥ずかしかったの
だろう、なにごとか呟くとプイッとそっぽをむいてしまった。

 『(クスッ)ねぇねぇ、機嫌なおしてよ。お詫びにケーキおごるからさ。』 

 「ケーキィ?」

 『そう。学校にくる途中に新しいケーキ屋ができたでしょう。あそこ、美味しいって評判だから
  一度食べてみたいっておもってたんだ。ピート君やタイガー君もいるんだし、4人でいってみ
  ようよ。』

 『僕は構わないですよ。』

 「わっしも結構甘いものは好きですケン。」

 「俺は牛丼がいい。」

 『牛丼じゃ放課後の青春がだいなしよ。ねぇお願い。つきあってよ。』

 手を合わせる姿に、しょうがねーなーと言いつつカバンを持つ。あいかわらず女性には優しいんで
すね、といって笑っているピートに、バカいえ、おごりって言うからつきあうだけだ、と答えて教室
を出ようとしたとき、

 「横島。」

 不意に背後から呼び止められた。

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