ザ・グレート・展開予測ショー

もう一つの物語(5)


投稿者名:hoge太郎
投稿日時:(02/ 8/25)


「・・・というわけなんです。老師。」
「ふ〜む。」

老師こと、斉天大聖老師はキセルをふかしつつ、ゲームに没頭している。

「あの、老師?」
「ふ〜む。」

テレビ画面には、老師の操るキャラクターが、鮮やかな動きで敵を打ちのめしている。

「あの・・・?」
「ふ〜む。」

プチッ。

「老師!!!!!!!!」
「のわあっ!」

小龍姫の声に慌てた猿は、コントローラから手を滑らせる。
コンピュータはその一瞬の隙を逃さず、老師のキャラクターは
あっという間にKOされた。

「なんてことするんじゃ小龍姫!あと一人!あと一人だったんじゃぞ!!」

だが、言葉を続けることはできない。小龍姫の怒りの顔が、眼前に迫る。

「な・に・が・あと一人だったのですか?老師!!」
「あ、いや、こっちの話じゃ。相変わらず切れやすいのう、小龍姫。修行が足らん。」
「私の話をお聞きにならないからです!!」
「聞いておったわい。ちょうどいいタイミングじゃ。雇えばよかろう。」

あっさりと言う老師に、小龍姫は戸惑う。

「え?あの、いいんですか?」

老師はすでに、新しいキャラクターを吟味している最中だ。

「いいぞ。給料その他諸々は小龍姫、お主に全て任せる。」
「はあ・・・。」

拍子抜けした小龍姫は、ふと気になった一言を思い出した。

「あの、タイミングがいいってどういう意味なんですか?」

老師は、しばらくキャラクターのステータスを眺めていた。

「今はまだ話す段階ではない。話すべき時がくれば話す。それだけじゃ。」

一瞬、老師の顔が暗くなったような気がしたが、それを確認するひまも無く、
ゲームが始まった。話は終わりということだ。

「わかりました。」

そういうと、小龍姫は立ち上がり、出張所に戻っていった。

「・・・あの小僧はいいやつじゃ。だがな・・・。」

老師の呟きは、誰にも聞かれることはなかった。

・・・続く。

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