ザ・グレート・展開予測ショー

GS美神if極楽大混戦「エピソード0(その4)」


投稿者名:野見山
投稿日時:(02/ 8/12)

傷ついた横島が目を覚ます少し前、おキヌが憑いた令子を連れて、マリアが現場へと向かっていた。
「ちょ…ちょっと高すぎない、マリア!? 完全に雲の上だよ!?」
下界を遥かに見下ろす高度まで舞い上がったマリアに、おキヌは悲鳴を上げる。
「ノー・プロブレム・ミス・おキヌ!」
だが、マリアの答えはにべもない。
「この高度なら・妖怪・悪霊の群れ・存在せず! 弾道飛行で・現場に・急行・します!」
基本的に信頼しているのだろう、マリアらしい理の通った説明を聞くと、おキヌはもうそのことに触れようとはしなかった。
「横島さんたち、無事かなあ」
代りにこれから向かうところにいる人の心配が口をつく。
「本当に美神さんの魂取り戻せるのかしら…」
そう言葉にだして、うんんと首を振る。
(横島さんなら、きっと………)
何の根拠があるわけでもないが、おキヌはそう思った。
今までも、ここぞと言うときに彼は力を発揮してくれた、今度もそれを見せてくれるはずだから、と。
そこで、つい先ほどの令子が死んだと言われたときの横島の反応を思い出し、なぜかキュンと切ない気持ちにおそわれた。
(横島さんが、美神さんのことを気にかけるのは当然じゃない、ルシオラさんって言う恋人が出来ても、あの人は………)
そう、ルシオラとはまた別に、令子は横島にとって特別な人なのだから。
(……だったら私は?)
それは、考えるのに勇気がいることだった。
いや、令子の存在と、ついに恋人の地位を得たルシオラの出現によって、もう考えてはいけないことにしてしまっていた。
今、この姿を見せたら、横島はどんな反応をするだろうか。
令子の姿を見て喜ぶ横島の顔を、この身体の中で見せつけられる、そのことを考えると、急に恐くなってくる。
(私…私は………)
思考の悪循環に陥ろうとしていたおキヌを、マリアの声が現実に引き戻した。
「(ピーー、ピピピピッ)!! 後方に・飛行物体! 追尾されて・います!」
マリアが感知したまだ影としかみえないそれは、急速に間を詰めてきていた。
「運動性が昔のデータより8%アップしてるわね。カオスのやつ、コツコツ改造してるのか…!」
つぶやきにもにた言葉が、その影の口からもれる。
見る見る内に接近したその姿を確認した二人は、驚きの声を隠さなかった。
「!! あれは!!」
「『テレサ』!?」
そこに現われたのは、マリアの妹として創られながら造反を起こし、結果海に消えたはずのテレサであった。
《海の底から戻ってきたわよ、姉さん!! 『懐かしの敵キャラ大集合』なんでしょ?私も混ぜてもらうわ!!》
「…………」
通信回線を使って大名乗りを上げるテレサに、驚きからか声も出ないマリアだったが、やがて一言問い掛けた。
《テレサ・魔物だった・ですか?》
「うっ」
きついツッコミに空中で器用にずっこけるテレサ。
「ひ、ひとが気にしてることズバッと言ったわね!? あいかわらずデリカシーないわねっポンコツ!! どーせ私は魔物と同じ分類で復活したわよ!! 悪かったわね!!」
だれしも身に覚えのあることを言われるのが一番腹が立つものである、彼女もその例外ではなかったようだ。
だが人工ながら魂を持ち、最初の行動を造物主に逆らうことから始め、あげくに人類の支配を目論んだ彼女である、十分魔物にふさわしいともいえるが。
さんざんまくしたてて少しは収まったのか、ちょっと口調が素に戻る。
「よみがえった私のプログラムは一つよ、姉さん!!」
そう言うと同時に彼女のひざ上の部分が開き、ミサイルが放出される。
「アシュ様の敵の抹殺!!」
そして間髪入れず点火したミサイルが、一気にマリアめがけて突進した。
「ミサイル…! 緊急回避!!」
迫り来るミサイルを、機動力で振りきろうとするマリア、だが。
「きゃーーー!!」
その腕に抱えられたおキヌが悲鳴を上げた。
「め、目が、目が見えないーーーーーっ!?」
異常を訴え、パニックに陥る。
それを見て、テレサは不敵な笑みを浮かべる。
「ブラック・アウトよ! 人間は急激なGが加わると血液が回らなくなって機能障害を起こすのよ。時には回復不能なまでにね…!」
「!!」
回復不能、その言葉がマリアの行動を掣肘した。
(安全確保、最優先。回避以外の行動を選択)
《その女もろともふき飛ぶといいわ、姉さん!!》
テレサの声と同時に、再びミサイルが迫る。だが、おキヌを気にして先程のような回避行動を起こすことが出来ない。
それを見てテレサの口元が期待に歪む。
目前のミサイルに、見開かれるマリアの瞳。
ズムッ
爆音が、夜空を震わせた。

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