魔女の過去Y
投稿者名:NGK
投稿日時:(02/ 8/11)
「さて・・・自信があるようだが、よほど馬鹿なのか・・・・・・それとも―――」
見たところ、それほどの魔力を持っているとは思えない。
「・・・確かめる必要があるな―――馬鹿猫、戦え」
「な、何でボクが・・・・・・!?」
「分からんのか・・・?愚かな奴だ―――」
男は手をかざした。
「貴様は失態を犯した。このままでは―――」
”処刑”
その二文字が少年の脳裏に浮かんだ。
「まぁ、その代わりに魔女を呼び込んだが―――だがこれが―――」
「っ・・・・・・!!」
男の手が少年の顔を圧迫する。
「どうだ?貴様の取るべき行動は二つに一つだ。このまま死を待つか、こいつを倒して青い爪の魔女のために貢献するか・・・のな」
「わ、わかったよ・・・」
「まぁ、安心しろ。こいつがただの馬鹿なら貴様でも造作なく魔力を抜き取ることが出来る」
ふぁさ
男は少年から手を離した。
ガク・・・ガク・・・
少年の手が震える。
「ちくしょう・・・覚悟しろよ・・・!!女!!」
少年は、やけっぱちに叫ぶと魔鈴の視界から消えた。
「(―――上か)」
すっ・・・
魔鈴は手に魔力をこめると球体を上空に撃ち出した。
「遅いよ!!」
その球体は少年にとっては楽々と避けることのできるスピードだった。
ひょい
「・・・・・・・」
「あははははは・・・僕の身体能力が人間と同じものだと思ったら大間違いさ!!」
魔鈴は諦めたのか棒立ちになる。
「そうか・・・諦めたのか・・・よかったよ・・・!」
だが少年が安易に近づこうとする。
「(・・・こいつは馬鹿か?)」
魔鈴は片手をこちらに向けて光線を撃ち出した。
「・・・あ、諦めたわけじゃないのか・・・!?」
少年は動揺を隠しきれずに言葉を発した。
「に、人間の分際で・・・!!」
恐怖を与えてやる!!
耳をハサミで切られたあの恐怖を人間にも!!
「今は僕の方が力が上なんだ・・・ああ・・・そうさ、僕が恐怖を与えてやるんだよ!!!」
少年は気が狂ったかのように叫んだ。
「ちっ・・・!発作か!!」
男は舌打ちした。
おそらく少年の脳裏には人間に飼われていた過去を思い出しているのだろう。
―――人間に虐待を受けていた頃の。
「・・・そうさ・・・僕のこの耳を傷つけた人間をこの僕が傷つけてやるんだっ・・・よ!!!」
少年は魔鈴に飛び掛った。
「(先程の様子から考えると、こいつに恐怖を与えた人間というのがよほど―――)」
男は、そこで思考を止めた。
「・・・他愛も無い・・・」
魔鈴の放った一撃で少年の身体は崩れ落ちた。
「次は貴様だ」
魔鈴は冷たく言った。
「馬鹿でなくて残念だった?」
魔鈴は嘲笑した。
「・・・まぁ、いい。青い爪の魔女の居場所を言う気はない・・・」
「クックククク・・・こいつを倒してすでに勝った気でいるとはな・・・」
男は魔鈴の言葉をさえぎると額に手を当てて笑った。
「だがこの私はそう簡単にはいかんぞ」
男は、そう言うと静かに目を閉じた。
「・・・遅いな・・・」
闇の中に老女がいる。
老女の爪の色は―――青い。
「・・・これ以上は待てんな・・・」
”大魔女”になる為に出来るだけ純然たる”力”を取っていたかったが・・・
身体の要求がこれ以上抑えきれそうにない。
・
・
・
「・・・・・・!!」
そして老女の”食事”により・・・・・・老女は闇の中から姿を消していた・・・
――――――続く――――――
今までの
コメント:
- 微妙に”男”の一人称が変わっていたり戦闘シーンは難しいなど色々・・・(−−; (NGK)
- 約2ヶ月ぶりの「魔女の過去」シリーズ復活おめでとうございます! 「馬鹿猫」くん、最後まで「馬鹿」っぷりを発揮してくれましたが彼の過去を聞くと何となく可哀想な気もしますね。そんな猫くんを何のためらいも無く殺せてしまう魔鈴はほんとに現在の明るい姿とは完全に相容れない感じです(汗)。そして青い爪の魔女も着々と準備を進めているようですし、果たして魔鈴、西条&美智恵ママはその前に阻止することが出来るのでしょうか? 次回も楽しみにしております♪ (kitchensink)
- 「馬鹿猫」の悲しい過去を聞くと、彼は「絶対悪」ではないのだなあと思います。
魔鈴が勝ってもどこか釈然としないですね。
なにはともあれ、次回も楽しみにしています! (ヨハン・リーヴァ)
- 恐らくは、今の彼を形作ったであろう「馬鹿猫」の過去……憐れです。
しかし、それでも己の人生の取り分を他人に肩代わりさせられる訳は無く、過去の悲劇は振り上げた拳の免罪符にはならない。
彼は、ただ殺そうとし、そしてただ殺された。……つまりは、そう云う事に過ぎないのでしょう。悲しい事ですが。 (黒犬)
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