ザ・グレート・展開予測ショー

レット・イット・ビー 〜参〜


投稿者名:我乱堂
投稿日時:(02/ 8/11)

「あの、ひょっとして、あの戦いが原因なんですか?」
 おキヌは恐る恐る……しかしはっきりとした口調で問う。
 令子はただ頷くだけでそれに応える。
「じゃあ、やっぱり――ルシオラさんの霊基構造が移植された後遺症なんですね!?」
「――何処からそんな話が出てくるのよ!!!」
 思わずいつもの調子でツッコミを入れる令子。
「違うんですか?」
 心底不思議そうに言うおキヌ。
「わたしてっきり、それが原因で横島さんの魂が変質してしまったりとか魔族の力を得て人間じゃなくなったりとか――」
「……そーいうのはよそのSSの話でしょ!?」
 その時、横島が寝返りを打った。
 病人(?)の傍らであったのにも関わらず声を荒げていた二人だが、思わずビクっと震えて横島を見てしまう。やがてこちらに背中を向けて再び寝息をたてはじめたのを確認してから、令子は声をひそめて言った。
「……だいたい、そーいう問題があればカオスか、さもなくば小竜姫やワルキューレが黙っているはずがないでしょ?」
「そーいえば……」
「そもそも霊基構造を形成する素材――霊力は神様も魔族も人間も根本的に変わりないのよ。ただ、構成の仕方が異なっているだけで。……学校で習わなかったの?」
「まだそこまでは……」
「まあ、詳しくは今度の講義で教えてあげるわよ」
 令子はそこまで言ってから、もう一度横島を見た。さっきとは違って後頭部だったが。
「――というより、何処からそんな話がでてくる訳?」
「それはその、横島さんが倒れる直前に……」
「ふーん……」
 令子は横目に考え込むおキヌを見て、眉をひそめる。
(――ずっと不安だったんでしょうね)
 専門の知識がないのだから、不安になれば妄想は何処までも突き進むのだろう。いや、それよりも問題になるのは倒れる直前に何があったかだ。
 それを問い質すと、おキヌは瞼をしばたかせた。
「……言ってませんでしたっけ?」
「シロは倒れたとしか言わなかったわね」
 横島を師と仰ぐ人狼のシロは、とにかく倒れたというだけで大騒ぎだった。電話で話していてもさっぱり要領を得なかったというのが実際のところだ。
 令子は直感的にかねてから懸念していた事態が起こったと察して落ち着いて話をまとめられたが、そうでなければかなり「解読」には時間がかかったかも知れない。
「でも、美神さんは予想していたんじゃあ……」
 おキヌは怪訝そうに言う。
 原因を知っていたのなら、わざわざそんなことを聞く必要もないのではないか。
「こうなることは、ね」
 令子は軽く息を吐いた。
「ただ、キッカケには何があったのか、それは知らないから」
「…………」
 おキヌはしばらく俯き加減に考え込んでいたが、やがて。
「あれは仕事の終わった後、みんなで東京観光なんかしていて――」

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