ザ・グレート・展開予測ショー

命の『選択』?7


投稿者名:運値
投稿日時:(02/ 8/10)

次の日。美神達4人は除霊の依頼で都内の某ビルに来ていた。
「あんた達、いい加減に諦めなさい!!!ぼーっとしてると怪我するわよ!!!」
「……………」
しかし、メンバーの雰囲気は依然暗いままである。
「……ったく、あの馬鹿は!!!帰ってきたらしばき倒してやる!!!」
「…でも、本当に帰ってくるでござるか?」
横島の代わりの荷物持ちとして莫大な荷物を抱えて肩で息をしているシロが尋ねる。
「考えてもみなさいよ!!!あいつが他の仕事につける訳無いじゃない。例えついたとしてもセクハラで直クビに決まってるわよ」
「そうですよね、すぐ帰ってきてくれますよね!!」
「そうそう、だからさっさと仕事終わらせて食事でもしましょ」
「「「はい」」」
とりあえず、皆を励ます美神。しかし、少し雰囲気は改善したものの未だに本来の雰囲気とは程遠い。
(横島君…帰ってきたらコロス!!!)
などと仕事を増やしてくれた横島に美神は内心いらついていた。
「とりあえず、仕事ね。このビルに多数の霊が集まってきてかなり被害が出てるらしいから、くれぐれも単独で行動しないでね。まあ、今回は依頼者も霊の数が膨大だから、私達の他にもう一グループのGSを雇ったらしいけど」
「え?それじゃ、彼等と一緒に行動しないんですか?」
「うふふふふ、甘いわ、おキヌちゃん!!!なにも、一々待ってる必要は無いわ。私達だけで解決したら、そいつ等の依頼料も私のところに入ってくるようにごり押ししといたから!!!」
「……がめつい」
「なんか言ったタマモ…」
「…別に」
「そう、じゃ、せっかく出し抜くために集合時間前に来たんだから、そいつ等が来る前にさっさと除霊しましょ!!!」
「「「はい」」」
一同はそう言うとビルの中に入っていった。

ビルに入ると霊の集団が襲いかかってきた。
「…まさか、この調子で1階から10階まで除霊していくのでござるか?」
霊の攻撃をかわし、霊波刀で切りつけながらシロが尋ねる。
「そうよ!!!エレベーターは使えないから階段を昇りながら10階に居るボスを目指すのよ」
「…先生はよくこんな荷物を持ちながら戦闘が出来たでござるな…ハアハア…」
「居ない奴のことを言っても始まらないわ。おキヌちゃん、お願い!!!」
美神は神通棍で悪霊を吹き飛ばし、おキヌに指示を飛ばす。
「はい、美神さん!!!」
おキヌが笛を吹くと悪霊達の動きが次第に鈍くなる。
「今よ、タマモ!!!」
「ええ、狐火!!!!」
ゴウウウウウウウっと悪霊の固まっている所に狐火を飛ばすタマモ。この攻撃で1階の霊団はあらかた片付いた。
「よし、この階終わり!!!次いくわよ」
「「「…はい」」」
まだ1階だというのにかなり疲れた3人。
(…こんなんで大丈夫かしら)
とタマモは心の中で舌打ちした。


「ふう、や、やっと8階ね……」
「そ、そうでござるな…」
美神達は各階の雑魚霊を片付けながらようやく8階まで来た。しかし、雑魚は雑魚だがその数は半端でなく霊力の殆どを消費してしまっていた。
「美神さん…、おとなしく彼等が来るのを待ちませんか?協力してやればもっと楽に」
おキヌは正論を言う。しかし、ことお金に関しては美神に正論は通じないのだが。
「うっさいわねーーー。ここまで来たらあと2階なのよ!!!待ってるなんて馬鹿らしいわ!!!」
一喝されて黙るおキヌ。
(こんなとき横島さんがいれば…)
と思うが、無い物ねだりをしても始まらない。美神は決して認めないであろうが戦闘面における横島の貢献度――精神的・肉体的――を改めて認識した。

「さあ、後2階よ、気張っていくわよ!!!!」
美神がそう叫ぶ。
「……あたしはこの階に残るわ」
しかし、その気勢の中タマモが冷静に言った。
「ど、どうしたのタマモちゃん?」
おキヌが尋ねる。
「私の妖力はもう殆ど残って無いから、この先ついていっても足手まといにしかならないわ」
実際、美神は霊団の処理をタマモの狐火で行ってきた。精霊石でも代わりは出来るのだが、経済的に勿体無いという判断でタマモに任せっきりだった。その結果タマモの妖力はもう限界にまで来てしまっていた。今は人間形態をとるのがやっとと言う感じで戦闘する余裕は既に無かった。
「柔ねーーー、ま、いいわ。この階で休んでなさい。上の階はもう私達だけで何とかなると思うから」
「……ごめんなさい」
「いいわよ。これもあの馬鹿がいけないんだから」
と責任を横島に押し付ける美神。
「ふふ…、じゃ頑張ってね…」
「任せるでござる」
「タマモちゃん、もう悪霊はいないと思うけど、一応気をつけてね?」
「…ああ、わかった」

階段を昇っていく三人。その姿が見えなくなると、タマモは壁に背をつけて座
り込んだ。
「ふう、もう限界ね…私もまだ死にたくないし」
しかし、ピクッと背中に悪寒が走る。
「何?この感じ。まさか…」
そういって、急いでその場を飛びのくタマモ。次の瞬間今まで居た場所に大きな穴があく。
「しまった!!!迂闊だったわ!!!」
普段のクールな顔は既に無い。
(多分、上のボスに近いからそれだけ直に悪霊が集まってくるんだわ!!!だからボスを倒さない限り幾ら倒しても意味が無かったのよ!!!)
タマモは自分の判断ミスを後悔した。もう自分の妖力では例え雑魚の悪霊だとは言っても逃げることしか出来ない。
「……絶体絶命ね」
タマモはそう呟いて覚悟を決めた。その間も悪霊はタマモを追い詰めてギリギリと詰め寄る。そして腕を大きく上げてタマモに振り下ろそうとした。
(あ〜あ、もう終わりか…。キツネうどんもっと食べたかったな)
その光景を見て、そんなことを考えながらタマモは目を瞑り『自分の死』を覚悟した。

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