ザ・グレート・展開予測ショー

レット・イット・ビー!! 〜弐〜


投稿者名:我乱堂
投稿日時:(02/ 8/10)

「拙者もー」
 と叫ぶシロも含め、色々な意味で納得していなかった面々をさっさと追い払う。
「じゃあ西条さん、シロとタマモは頼んだから」
「ああ」
 一番納得いっていなかったのは、実はこの男だったのかも知れない。しかし令子に「頼む」といわれては断れようはずもない。それに、仕事の合間を縫って上司の美智恵の代理として見舞いにきていたのだ。このまま居座るわけにはいかなかった。
(しかし、看病か――)
 なんとなく、心にトゲのようにその言葉が刺さっていた。
 だから。
「Dr.カオス、ちょっとお話が……」
「? 何じゃ?」
 病院の通路で、呼び止めた。


(なんだか不思議な感じ……)
 おキヌは横島のベットの横に椅子を置いて坐った。
 ベットの横島は静かな寝息を立てている。
 令子はおキヌから少しはなれた場所にやはり椅子を置いてこしかけ、書類をチェックしている。
 何処か遠くから救急車の音が聞こえた。
 こちらに向かってくるのかもと思ったが、また遠ざかっていく。
「――横島さん、疲れていたんですね」
 ぽつり、とおキヌは口にした。
 令子は書類を膝の上に置き、おキヌへと顔を向ける。
「ええ。そうみたいね」
(美神さん……?)
 その声が落ち着いていて、何処か優しげなのにおキヌは違和感を覚えた。何がどうと言う訳ではなく、ただ感じた。
 そう言えば――。
(美神さんは気づいていた?)
 お医者さんの言葉に何の反応も示さなかったと思い出す。
 これが他の人間だったなら、令子が横島のことをどうとも思っていない冷血女とでも解しただろう。しかしおキヌは違う。幽霊時代から今にいたるまで、この意地っぱり娘がどういう人間なのかかなりのレベルで理解していた。そして、それによるならば令子は横島が「倒れた」と聞いて冷静でいられるわけはないのだ。何せこの人は――
「美神さん、もしかして――」
 思わず口に出した時の自分の顔は、よほど切羽詰っていたのかも知れない。
「ええ」
 と令子は書類をベットの上に投げ捨てた。
「そろそろね、こんなことになるだろうって思ってはいたわ」
 ひどく真剣な眼差しで、彼女は眠っている横島の顔を凝視した。

今までの コメント:
[ 戻る ]
管理運営:GTY+管理人
Original GTY System Copyright(c)T.Fukazawa