ザ・グレート・展開予測ショー

続・プリンセス・オブ・ドラゴン(その8)


投稿者名:CSU
投稿日時:(99/ 3/ 5)


ドガァッ!

光の矢が奴に命中、あたりに凄まじい閃光が走った。
以前妙神山で見た時と似たような状況だ。
さっきまで暴れていたドラゴンはその動きを止め、土煙と共に竜神変化は解除された。

「はぁ・・・はぁ・・・よ、ようやく終わったか」
何とか精神崩壊を免れた横島、あとちょっと遅かったらかなり危険な状態になってたかもしれない。
「あれ?小竜姫さま達は?」
横島の視界に移っているのは、おキヌと天龍童子、そしてまだ目を覚まさない鈴奈の三人だけだ。
あたりを見回すと土煙が舞ってる、よく見るとその中に人影が見える、
二人・・・いや一人?、一瞬見えた二人分の影は幻だったのだろうか?
よく分からないまま土煙が消えるのをじっと待つ。

しばらく時間が経過し視界が晴れた。
その場所にはさっきまでいた筈の分身体はいなく小竜姫一人だけが存在していた。
小竜姫がとった手段とは、、、
龍神変化が解ける瞬間を狙っての分身体との強制合体融合、そして自分の中に吸収する。
これが残された最後の手段、倒せない以上こうするしか方法が無い。
相手の了解を得ない強制融合はそれなりのリスクが伴う、
精神力の強い方が主導権を握れるが、下手したら、自分の意識が消滅する可能性もあり得る危険な賭け、

地面に跪いた状態のまま小竜姫は震えていた、その額からは汗がしたたり落ちている。
「う・・・く・・・く・・・」
何度も何度も首を横に振りながら自我と戦っている、軽く肩を叩いただけで崩れてしまいそうな脆さが感じられた。
小竜姫自身の姿とシャドウの姿が交互に出たり引っ込んだりしている。
まるで赤と青の信号が交互に点滅しているような、そんな感じだった。

やがて激しい稲光が小竜姫の体から発せられ精神の点滅は終わった。
その姿は、、、小竜姫自身の姿で、安定してる様だ。
彼女は跪いたままだったが身体の震えも収まっており、決着がついた様だ。

「どうやら小竜姫の奴自我に打ち勝った様じゃの、まったくよくやるもんじゃあいつも」
「そんなにヤバい事やったのか!?小竜姫さま」
まだ完全に状況を把握してない横島が童子に問いかける。
「そうじゃの、自分の分身だから出来るんじゃが・・・」
「そんなことより小竜姫さま、気絶してるんじゃないんですか?さっきから全然動きませんよ」
そう言って小竜姫の側に行こうとするおキヌ。
すぐさま、横島と童子もその後をついていった。

「小竜姫さま大丈夫ですか?」
おキヌ、そして横島と天龍童子の三人が小竜姫に近寄る。
その時!
彼女の周囲に強烈な霊波の渦が巻き起こった、
その身体から発せられた衝撃波は太陽風のようなエネルギーの風を巻き起こし、周囲にいる者全てを吹き飛ばす!
「うわっ!」
「きゃあ!」
「な、なんじゃ!?」
その場にいる三人はそれぞれ別の方向に飛ばされる。

「おい、どうした小竜姫!?」
童子の呼びかけにも小竜姫は応えない、ドラゴン状態を解除した分身体を吸収した筈の彼女、見た目は元に戻ってるので大丈夫だと思ってた。
「ま、まさか・・・」
まさかと思った、タイミングが早かったのだ。
小竜姫は『彼女の分身体』がドラゴンから元に戻る前に合体融合を行ってしまったのだ、そのせいでドラゴンの力と意志をコントロール出来ていない、吸収どころか二つの意識が混雑する中、小竜姫自身の意識は殆ど無視されてる状態だ。

ゆらゆらと立ち上がると小竜姫は神剣を構えた、その目に意識は宿ってない。
早い話が、姿は小竜姫でも力と意識はドラゴン状態、しかもこれが通常の状態、すなわち直接元に戻す方法は存在しない。
【邪魔・するな・・!】
ほとんど自分が何をしているのかも分からないような状態。

―――その時!
小竜姫が神剣を構えたまま向かってきた。
彼女の狙いはおキヌだ。
「しょ、小竜姫さま・・!」
「おキヌちゃん危ないどいて!」
神剣がおキヌに当たる前に横島がおキヌの前に立ち霊波刀で神剣を受け止めた。
「な、何だこの力!?」
衝撃に耐えきれず後方に飛ばされた。
「横島さーん!」
横島の所に駆け寄ろうとするおキヌ、だが再び小竜姫が襲いかかってきた。
「やめろ小竜姫!自分が何してるのか分かってるのか!?」
今度は天龍童子が止めに入る。

☆☆      ☆      ☆☆      ☆      ☆☆                

「ん・・・」
辺りの騒々しい雰囲気を感じたのか、おキヌの手のひらでいままで眠ってた鈴奈が目を覚ました。
「え、何?どうしたの!?」
しゃべりながらおキヌを見上げる
「あ、鈴奈さん、実は小竜姫さまが・・・」
「何それ?自我暴走!?いったい何でそんな事に・・?」
訳の分からない状況に戸惑いの色を見せる鈴奈、
だが、おキヌから事情を聞くとすぐさま行動を開始した。

「おキヌちゃん、こうなったらあの時使った方法で!」
「え・・・?」
おキヌがその言葉に反応するよりも早く鈴奈は『霊波の伝線』を専門とする赤い糸を素早く作り出しおキヌの手に絡める。
その行動でおキヌは全てを理解した。
「あれをやるんですか・・・そうですね、横島さんの暴走も止められたんですものね、きっと・・・!」

そして振り向きざまネクロマンサーの笛を吹く
おキヌの霊波の宿った赤い糸は意志を持った別の生き物の様に小竜姫に向かって高速移動していく(これじゃまるで蛇使いだな・・・)。

バリバリバリバリバリ・・・!!
横島を元に戻した時使ったおキヌちゃんの新技『精神波二重攻撃』
「き、効いてない?」
小竜姫にはあまり効いてない、横島の時はかなりの効果が有ったにも関わらず何故効かないのか、
それは精神攻撃を仕掛ける者が相手の意識下に影響を及ぼせる人物でないと効果が薄れてしまうからだ、
横島の時は、おキヌちゃんが行ったからこそ効果が出たのだ、他の人がやってたら多分駄目だっただろう。

「・・・と、言うことは」
天龍童子が横島の方を見た。
「横島!こうなったらお前しかおらん、お前の精神波を小竜姫にぶつけるしかない!」
「な、何で俺が!?」
「横島さん、こっちを何とかして・・・!」
鈴奈の声が聞こえる。
声のした方を見ると、今にも襲いかかって来そうな小竜姫を前にして、鈴奈がおキヌを背に風の壁を発生させていた、が。
先ほどの戦いでエネルギーの大半を使い切ってるせいか攻撃を防ぐには力不足だ。
「くそーー!!何とかならないのかよ!?」

無意識におキヌを狙っている小竜姫、潜在的に何か気になることでも有るのだろうか。
このままだとおキヌが危ない、とてもじゃないが今の小竜姫の攻撃から守りきれるとは思えない、そこで・・・。
「おキヌちゃん連れてとりあえずどっかに逃げてくれ、後は俺が何とかしとくから」
と鈴奈に向かって言う。
「待って下さい横島さん、私も一緒に・・・」
「何言ってるのよおキヌちゃん、横島さんの気遣いが分からないの?」
鈴奈が反論するがおキヌは何か別のことを考えている様子。
分身体は現在小竜姫と一体化してるので、今まで出来なかった精神世界からの脱出も可能になってる様だ。
「しょうがないわね・・・」
そう言うと鈴奈はおキヌの手の近くに行く
そして、横島の精神内に入る時使った赤い糸の効果を消した。

その瞬間、おキヌの精神体は虚空に溶け込むように徐々にその存在が薄れていった。
「ちょ、ちょっと鈴奈さん、何したんですか!?」
「じゃ、後はお任せします、頑張って下さいね横島さん!」
有無を言わさずおキヌと共に深層意識から消える鈴奈、彼女は何時如何なる時でもおキヌちゃんの事を第一に考えるから、この行動は当然といえば当然だがちょっと強引だったかもしれない。

「そうか、そう言うことだったらお前に任せる、後は任せたぞ!」
「・・・え?」
予期せぬ童子の発言に驚きの声を発する横島。
「ちょ、ちょっと待て、そう言う意味で言ったんじゃ・・・」
横島が童子の方を振り向くと、既に童子の身体は消えかかっていた、横島の深層意識から外に出ようとしてるのだ。
あわててその手を掴もうとするが空を切る。
小竜姫の狙いがおキヌである以上、彼女をこの場に残しておくことは危険だ、
鈴奈はエネルギーが残り少ないので、戦力としては期待できない、
天龍童子は一度とはいえメドーサを退けたことも有るので、戦力としてアテにしていた横島だったがその考えはいとも容易く崩された。

「どーしろって言うんじゃーーー!!」
自我の暴走で恐るべき力を発する小竜姫と一人で対峙する羽目になった横島の情けない声が辺りに響く。
(何か無いか?)と思いGジャンのポケットを探ってみる、すると何かがあった
ポケットから取り出してみるとそれは竜の牙だった。
「あいつ、いつの間に?」
本人は置きみやげのつもりなのだろうか、いつのまにか横島のポケットに入れておいたらしい。
早速竜の牙を剣に変えてみる
パアアッと全身に霊波が満ちて自らの霊力が急速に高まっていくのがはっきり分かる。
「これなら何とかいけるかも・・・」
少しだけ自信が出てきた横島、だがよく考えたら戦って倒したところでどうにかなる様な状況ではない、
『小竜姫の自我暴走を止める事』これが唯一最大の目標である。
「・・・といってもどうすりゃいいんだ?」
と横島が悩んでる最中だったが・・・。

ダンッ!っと強く地面を蹴った小竜姫が神剣を斜に構えたまま向かってきた。
「くっそーー!」
竜の牙を出して応戦する、勝ち目の薄い戦いであること位百も承知だ。
『ギイィィン!!』と両者の剣が激しく交錯する。
いつもの正確無比は攻撃とは裏腹に一撃一撃がかなりいい加減だ、とても神剣の達人とは思えない様。
しかしその一つ一つの攻撃は以前とは比べ物にならないくらい重い。
超加速を使って来ないだけまだいい方だが・・・
「く・・・なんてパワーだ」
竜の牙で一時的に霊力が上がってるとはいえ、力の差は歴然としてる、普段の小竜姫だったらまだ何とかなったかもしれないが、ドラゴンの力をその身に宿す今の小竜姫、そのパワーは並ではない。

一方その頃・・・・・・。
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横島の精神内から脱出しようとしたおキヌと鈴奈だったが途中で見えない壁に当たり行く手を阻まれた、まだ指輪の魔力は多少なりとも生きてるようだ。

「ここは・・・」
指輪の仮想空間に二人は居た、すぐ目の前にお化け屋敷のような建物が見え、その周りには小竜姫たちが倒したと思われる、雑魚共の残骸があった。

「何処行くのよ、おキヌちゃん!?」
おキヌは立ち上がるとすぐに行動を開始した。
「決まってます、横島さんの所に戻るんですよ!」
「だから、それは・・・」
いまいち力のない鈴奈の言葉、おキヌの強い口調に少し気圧されていた。
「鈴奈さんが何と言おうと私は行きますから!」
そう言うが早くおキヌは深層意識に通じる道を再び入っていった。
その強い口調と行動によって鈴奈も行動を共にせざるを得なかった。
「あ、待ってよおキヌちゃん私も行くから〜」
すぐさま鈴奈もその後をついていく。

「なんじゃ、せっかく二人っきりにしてやろうと思ったのに・・・」
その状況を見ている一人の影があった。



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