ザ・グレート・展開予測ショー

#FILE.夏祭り NO.1「そーだ、たこ焼き喰おう」


投稿者名:ダテ・ザ・キラー
投稿日時:(02/ 8/ 5)

「最初に見ときたいのはー……」
『ごくり』
一同が固唾を飲んで次の言葉を待つ。
「やっぱ夜店の配置っきゃないわー♪」
「アホか!」「神様がそんなケチくさいことでどーする!?」「『あの人』ってのは?」
口々に罵声が飛ぶ。
「とーぜん、行列ができる美味いクレープ屋のご主人ねー」
「ま、祭マニアだったのか?しかしNoゼロの台詞は……」
「えぇ。言ってるでしょー?飽きてる、ってー」
言って、鞄から出すバッタモンの単行本を広げて一同に問題のシーンを読ませるヒャクメ。
「た、確かにこれは…百戦錬磨の祭好きにのみ許される台詞……」
「しかし読者の期待を百八十度裏切るコンビだな。ヒャクメとこの筆者は」
「あぁ。ワシなんて反対票の嵐にさらされるんじゃないかと思うと冷や冷やするぜ」
不吉なことをぬかす老いぼれである。……マァ、そっちは放っとくとして。
ヒャクメちゃんよ、縁日に着といてたこ焼きほったらかすのは感心しねーぜ?
(注釈*ヒャクメの百の感覚器官のうち一つは、筆者とのダイレクト回線なのだ)
「ふ。」
ヒャクメは寂しげでいて、そこはかとなく侮蔑を含んだ吐息を漏らす。
「仮にも神であるこの私が、そんな祭初心者婦女子が犯す間違いに走るものですか」
な、なんだとぅ!?たこ焼きを選ぶことの、どこが間違いだ?
「ジェントルメンならいざ知らず、気品漂う淑女が最初に汗臭い焼き物狙いはしないわー。
かといってチョコバナナが最初というのもお下品。遊び物も落ち着きがない。
ならば、選べるのはカキ氷と綿飴、杏飴の三択。でもこれも、口の周りがべたべたねー?
けど、焼き物にあって一つだけ、どっからどーみても若い娘のためにある品――」
ぬぅ!?女流祭ストとは、初手をそこまで繊細に選ぶものだったとは!!
(注釈*祭ストとは、祭で遊ぶことに情熱を燃やす者達の総称だ!)
「ふふふ。それが解らないから、男なんて、平気でアクシズを地球に落とせるのよー」
く…言い返せない……!これが若さというものか…!!時に。
「なによー?」
俺、前々回の今回ででしゃばりすぎかと思うんだが、そろそろ台本どおり行け。
「ぶー。クレープ屋がいーのにー」
たこ焼き屋を覗き込んだ千里眼に映るものは――?

一方その頃――美神除霊事務所ご一行。
「ふふん、なぁんて浅はかなのかしら?
まさか七福神自ら召集した席に、よりにもよってこの私を招待するなんてね」
ぐるぐると欲望渦巻く瞳で、美神が呟く。
「罰かぶりもここまで来るといっそ神様も罰当てるのに疲れそうでござる……」
シロがぼやくのを、なんとはなしにタマモが聞く。そして、質問する。
「あら?七つの福を丸ごと掻っ攫って独り占めしよーってゆーんでしょ。
今までで一番実入りがいい仕事なのに、やる気ないみたいね」
「当たり前でござる!!」
「……?…ヘンなの」
「あぁ!なんて素晴らしいのかしら!?今回はちまちま一匹づつ揃える手間がないのよ!!」
「ほら、美神さんは燃えてるじゃない。アレが正しい妖怪退治の姿勢なのよ、きっと」
「ううううう!こんな時に先生はどこへ消えたでござる?」
「たこ焼きを買いに行かせたわ。
ナニワっ子の威厳に賭けて、最高のたこ焼きを見定めて買ってきなさい、ってね」
美神が力強く答えると、タマモはふと物思いにふけるような顔になって、呟く。
「忘れかけてたわね、そんな設定……」
「知ったかぶらんでも、拙者が知らないのに新参のお前が知ってるわけないでござる」

またまた場面は変わる。
「ぶはははははははは!ぎゃーっはっはっはっはっはッ!!」
「一文字さん、みんな見てますよ?女の子がそんな大口開けて笑うから…」
「ぐ…ぐくく……だってよぉ……ケッサクだろぉ?……ぶわはははッ!」
涙目になって、肩を震わす、といえば、彼女が魅力的に映らぬはずはなかった。
ただちょっと、少々やかましいだけだ。いや、ホントに。
「…邪魔ですわ……」
弓の、刺々しい一言が突き刺さるも、一文字は笑いやまぬまま。
「く…くは……はははは…は、なんだって?なんで邪魔?なぁんのジャマー!?」
大声で聞き返す。
「店先で騒がれると、お客が寄りつかなくってとっっっても迷惑ですの!」
やけくそ紛れに叫んだところで、一文字からの嘲笑攻撃が弱まることはなかった。

「あれ?雪之丞じゃねーか。お前がこんなとこで遊ぶ余裕があるとは驚きだぜ」
横島は特に感慨も込めず、適当に言い放つ。
「そりゃお互い様だ。それに、あいにくと俺は遊んでねーよ。仕事仕事」
「ったって、まさか神様のお膝元でおイタしよーなんて奇特な奴は……
一部を除いて、いねーんじゃねーか?」
「誰だその一部ってのは?」
お前が大将と呼んで持ち上げてるヒトだよ、と横島が言い返すより早く、続ける。
「そりゃGS稼業は今日は閑古鳥さ。けどよ、俺は方々を旅する内に、
そういう日に、つまりは今日にピッタシの副業を見つけたってことよ」
「夜店?」
「ビンゴ」
「でもお前、喰う専門だからちゃんと喰えるもん作れるようには見えないぜ?」
「バカだなお前。夜店のたこ焼きなんてもなぁ、まともな代物じゃないのが通例よ。
ま、たこ焼きが要りようなら声かけてくれ。身内のよしみでびた一文まかんねぇから」
「頭から尻尾まで余すことなく腹立つぞその発言」
横島がうんざりとぼやく。
「まぁまぁ。今夜ハリふってんのは俺じゃなくて弓なんだからよ。
一応、健康に悪くはねーと思うぜ」
「その台詞聞いて行きたいなんて思う奴は神様仏様イエス様だぜ…って、
お前の副業なのに結局弓さんに押しつけて遊んでるんじゃねーか」
「いきたいでちゅ」
「いや、今夜は一緒に居たい、っつーから、そんじゃま、お前たこ焼けるかよって話に…ん?」
「お前のそーゆー行いを世間一般ではヒモと…ん?」
「行きたいと思うだけで、厳しい修行パスして神様になれる♪絶対いくでちゅ。ね、童子」
「うむ。あくまでお前について行きたいのではなく、修行は余もいやだから、行くぞ」
「魔族のガキ!?」
「天竜童子!!」
「神様なれなかったら、責任とってくだちゃいね……ッ!」
「お…お前ハナから信じてないくせに言いがかりつけて俺らムシる気かよ!?」
「あー!そうかこいつが妙神山に行ったばっかしに最悪のデュオが…!?」
祭の夜は、まだまだこれから――

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