ザ・グレート・展開予測ショー

続・プリンセス・オブ・ドラゴン(その7)


投稿者名:CSU
投稿日時:(99/ 2/12)


「二人共大丈夫ですか?」
目の前の敵に驚きながらもとりあえずおキヌ達を気遣う小竜姫、
本当は横島だけを気遣いたいのだが、おキヌちゃんが目の前にいるのでちょっと遠慮している様だ、

―――今はそれより目の前の敵に集中
これが今の彼女の考えている事。

「鈴奈さんはごらんの通りですけど、私は平気です、それより・・・」
今まで起こってた事を全て話し、同時に目の前の敵が何者なのか彼女に問いかける。
「そうですね・・・」
キッと目の前の敵に鋭い眼光を浴びせながら小竜姫は奴に向かって言葉を発した。
「私の姿を真似るとは・・・何者です!、正体を見せなさい!」
『何者?まだそんな事を言ってるのかい、私はあんただってさっき言ったでしょ』
「ふざけたこと言わないで!」

『じゃあ証拠を見せてあげるよ』
奴が神剣を抜くと自分の指に近づけた、そして軽く指先を切った。
「つっ!」
指先に痛みが走った、よく見ると血が滲み出てきている。

「そ、そんな、まさか・・・」
直前に起きた出来事に驚愕する小竜姫。
「ま、まさか・・・父上は・・・」
天龍童子が何か知ってそうな素振りを見せている。
「殿下?」
「確か前父上の武器庫にこれと同じ様なのが有ったような・・・」
「どういう事です?何か知ってるんですか?」
「いや・・マイナス思念を核にした分身を相手の精神に送り込む指輪ってのがあった様な気が・・・」
「な・・・って事は・・?」
再度分身体を見る小竜姫。

『どうやら私の正体に気づいた様だね、分かったらあんたは引っ込んでな』
「だ、誰があなたなんか認めるものですか!」
神剣と竜の牙を構えた両者が戦闘態勢に入った。

――その瞬間!

おキヌ達の視界から二人が消えた、超加速に入ったためだ。

ドカッ!、ギィィィン!、バチバチッ!
光の筋が辺りに交差する、激しい激突音が響き渡る。
稲妻が走る様な超高速の移動を連続的に続ける。
「な、何も見えない」
「余も見えん」
戦いの状況を全く把握出来ないおキヌ達、だがその時横島が目を覚ました。
「う・・・」
「横島さん、起きたんですか?」
「お・・・キヌちゃん?ここ何処だ」
「ここは横島さんの深層意識の底、今小竜姫さまが戦ってます」
「え?戦うって誰と?」
・・・かくかくじかじか、今まで起こってた事を全て話すおキヌ。


静かな深層意識に何度も激突音が響き、ぶつかり合う善悪二人の小竜姫。
パワーはほぼ互角、竜の牙がある分小竜姫の方が若干有利だが、互いにシンクロしてるので一定以上のダメージが全部自分に跳ね返って来るから、倒すことは出来ない。

『何で邪魔する?あと少しで横島の心にあんたの事を植え付ける事が出来たのに』
「誰がいつ何処でそんな事頼んだわけ?勝手なことしないで欲しいわね」
『何言ってんだい?あんたはあいつの事が好きなんだろ?だったらどんな手でも使うべきじゃないのかい?』
「な・・・、そ、そんな・・・そんな偽りの恋なんか私は欲しくない!!」
ギンッ!
再び両者の剣が激突する。

『はん、すっかり清純派ヒロイン気取りだね、あんたにそんなの似合わないよ、言っとくけど私はあんたの分身体なんだからね、私が考えてるって事はあんたも考えてたって事なんだからねっ!』
「だ・・・・・・・黙りなさいっ!!」
竜の牙のフルパワーの一撃を喰らわした。
『くうっ!』
そのまま空中から地面に激突し加速が切れた
自分の背中に痛みを感じながらも奴を追従する小竜姫、集中力が切れたせいか加速が切れてる、その目は半分我を失っていた。

「やばいっ!」
自分の分身にとどめを刺そうとする小竜姫を横島が止めた。
さすがに竜の牙の威力はハンパじゃなく、受け止めた横島はダメージを受けた。
「あ・・・?横島さん、何で・・・何でこんな奴の味方をするんですか!私より・・・私よりこんな奴の方がいいって言うんですか!??!」
結果として、自分の醜い部分をモロに見せられかなり頭の中が混乱・動揺している、
もはや自分でも何を言ってるのか分かってない様だ。
「お、落ち着いて下さいよ、これは小竜姫さまの分身なんですよ?こいつを殺しちゃったら、自分も死んじゃうかも知れないんですよ?」

「だって・・・だってこんなの私じゃない!、こんな・・・横島さんの精神を乗っ取ってその上さらにその横島さんを使っておキヌちゃん達を殺そうなんて・・・」
半分は指輪の魔力のせいとは言え、本人には非道くショックだったらしい、とその時。
「何言ってんスか、誰だってマイナス思念の一つや二つ持ってますよ、ね?ほら、例えば俺なんかマイナス思念の固まりみたいなものじゃないですか」
笑いながら語りかける、
さっきまで混乱していた小竜姫、だが横島のこの一言で冷静さを取り戻してきた。
「横島さん・・・」
前半部分はともかく、後半部分は全然フォローになって無いのだが、それでも小竜姫にはその言葉が嬉しかった。
――何故?何故こんな事がこんなに嬉しいの?
頭に浮かんだその疑問はすぐには理解出来なかった。

答えを導き出そうとしていたその時。
『ふふ、、なるほどね』
横島の後ろ2m位の場所にいた筈の奴は既にいなくなっていた
吹っ飛ばされた地点からは既に消えていて、横島達の前方10m位の場所に浮いていた。
『そうかい、そこまで言うなら見せてもらおうかしら、あんたの覚悟を!!!!』


不気味なほどの静寂が漂い辺りの雰囲気が変わった。
「ま、まさか、これは・・・」
・・・そうだ、横島はこの雰囲気を過去に二度知っている。
一度は天界で。

そしてもう一度は・・・

『逆・鱗・龍・変・化!!』(PC版GS美神風)

轟音が轟き、閃光が走る中、小竜姫の分身体は巨大なドラゴンへと姿を変えた。
「だーー!!やっぱりぃーー!!」

☆☆    ☆    ☆☆    ☆    ☆☆                


キシャーーーーー!!
グオオオオオーーーーンンッ!!
ドラゴン化した分身体は所かまわず暴れ回っている、
あたりにあるもの何から何まで破壊していく。

「う・・・ぁ・・・」
「横島さんしっかり!」
地面に倒れたまま横島は頭を抱えていた。
それはそうだ、自分の深層意識でこれだけ暴れられたらひとたまりもない、
以前美神の夢の中で冥子の式神十二神将の暴走が起こったが、それとこれでは暴走のレベルが全然違う。
深層意識で龍神変化、、、考えただけでも恐ろしい、このまま行くと精神崩壊を引き起こしそうな感じだった。

(ここで自分が何とかしなければ横島さんが・・・)
追いつめられた小竜姫、彼女は今三つの選択を迫られていた、
一つは奴をこの精神世界から現実世界に引き戻す、しかし現在、現実世界とのチャンネルは遮断されてるので実行は不可能である。
深層意識の中から指輪の仮想空間に連れ戻す手段もあるが、そんな事が出来る状況ではない。
もう一つは自分の分身体を倒す、しかし、奴は小竜姫自身と言ってもいい存在なので、分身体を倒すことは自らの死を意味する、そんなのは本人だって嫌に決まっている。
そして、、、最後の一つは・・・。

一度大きく深呼吸をした後、自らの持っている竜の牙を剣の型から弓の型に変化させた。
「おまえ何するつもりじゃ?」
童子が質問を投げかけるが、小竜姫はその質問には答えずただ黙って竜の牙を童子に手渡そうとしている、そしてその目は何か決意に満ちたような、そんな目だった。
「小竜姫・・・?おまえひょっとして・・・」
「お願いします!」
スッと童子に弓と化した竜の牙を手渡した。
一度横島の方を向いた小竜姫
そして、、、倒れてる横島を見つめる。

―――横島さん・・・大丈夫ですよ、私の不始末は自分で何とかしますから。

そしてそれから。
小竜姫の頭に生えてるツノが輝き始めた、
やがてツノから発せられた霊波は全身を包み込む、そして・・・。
『ピカッ!』っとその身体が光ったかと思うとその姿は光の矢へと変化していった。
光り輝く霊波を放出しながら変化していくその姿は、さながら夜空に舞う流れ星の様
に美しかった。
完全に光の矢へと変化した小竜姫、そのまま竜の牙へと装着された。
「お前本当にやる気か?どうなっても知らんぞ」
「いいんです、他に方法が無いのでこうするしか・・・それにこれ以上私の事で横島さんに迷惑かけるのは我慢がならないんです!」
光の矢へと変化した小竜姫から声が聞こえた。

「分かった、では行くぞ」
童子が弓矢を引き絞り始めた、そして奴の額に狙いを定める。

ヒュン

限界まで引き絞った竜の牙から光の矢が奴に向かって放たれた。

暴走状態でも闘争本能はちゃんと有る小竜姫の分身体、
自分に向かってくる矢に気づくとそれを叩き落とそうとした。

「超加速!」
瞬間的に加速し、自分を弾き飛ばそうとした奴の手を回避すると、そのまま額めがけて突撃して行った、、、


まだちょっと続く、、、




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