ザ・グレート・展開予測ショー

#新歓企画『対決!!』Ver.居辺『お祭りバトルロイヤル!?』3


投稿者名:居辺
投稿日時:(02/ 8/ 3)

8.ジャングルスタッフ
 会場はパニックに陥っていた。
 タイガーの幻覚攻撃で、気分の悪くなった者、逃げ出そうとして、ぶつかったり、転んだりでケガした者。阿鼻叫喚の地獄絵図が繰り広げられていた。

 弓と一文字は呆然としていた。
 この場から逃げるべきだと頭では分かっているのだが、張本人のタイガーと親しい間柄であることや、倒れた雪之丞がまだ回復していない為、動けなくなっていた。
「タイガーのヤツ、後でシメてやる」
 一文字魔理は断言するが、及び腰である。
 突然、得体の知れない生物のウヨウヨするジャングルに、放り込まれたのだから仕方の無いことであろう。

「雪之丞さん? 早く目を覚ましなさいな」
 弓かおりは雪之丞の手から、丼をもぎ取ろうと引っ張っている。
 どう言うわけか雪之丞は、丼を離そうとしないのだ。それどころか抱え込むようにして、ママ、とかつぶやく始末。
 マザコンとは薄々感じていたが、これほどとは思わなかった。
「私(わたくし)に母親代わりをさせるつもりですの? 雪之丞さん、起きなさい!」
 弓は雪之丞の頬をはった。

 向こうの岩の上(幻覚でこう見えている)では横島が、これは幻覚やー、幻覚なんやー、幻覚じゃなきゃやだー、と叫び声をあげている。
「横島ぁー! しっかりせんかーー!!」
 シュルシュルっという回転音がして、パカンと何かが横島の顔面に当たった。
 ひざの上に転がり落ちたそれは、女物の下駄の片方。
「…こ、これは?」

9.回天
 脅えた目つきで辺りを見回す横島。目が合う。彼がこの世でもっとも怖いと思う女性の一人、美神令子だ。
 美神は紺地に白とピンクの、牡丹の花柄の浴衣を着て、袖を肩まで捲り上げて腕組みをして立っていた。
 片足立ちしているのがちょっと間の抜けた感じだが、本人は気にしていないようだ。
 その横には、美神を支えるようにして、おキヌが立っている。薄紅の地に百合の花柄の浴衣だ。
 その後からシロとタマモが顔をのぞかせている。二人とも美神の剣幕に脅えているようだ。

「し……、新鮮じゃー!! 普段のボディコンは慣れちまったが、浴衣となると、あらたまってて色っぽい!! おおう、カメラを持ってきていないのが残念じゃー!! こうなりゃ網膜に焼き付けて永久保存じゃーー!!」

 その瞬間、横島にアイディアが浮かんだ。
 文珠に『幻』を込めて発動させる。
「幻覚には幻覚じゃー!!」
 ジャングルの木の影から、葉の影から、岩の影から、際どい格好のネェちゃん達があふれ出す。
 美神を初め、おキヌちゃん、シロにタマモ、小笠原エミに六道冥子……。あらゆる女性達(横島の母親以上の年齢の女性は除く)があらわれて、悩ましいポーズを決めた。

「こ、これは?」
 急に咳込むようにして鼻を押さえるタイガー。
 指の間から血がほとばしる。鼻血だ。大出血だ。
「ワシの……、幻…覚……が」

 舞台上ではネェちゃん達がクネクネと踊り出してる。
 もはや、色っぽいを通り越して不気味である。
 横島はその真ん中で、狂喜していた。
「ナイス幻覚。幻覚サイコー」
 手を叩いて大喜びだ。
「いっぺん死んでこい!!」
 美神達(プラス弓と一文字)の総攻撃が始まった。
 標的はもちろん、セクハラ大王横島とセクハラの寅ことタイガーだ。

10.勝者
 大食い大会は勝者無し。けが人多数と言う、散々な結果に終わった。
「もう、ここではお買い物、できなくなっちゃったじゃないですか」
 おキヌが赤い顔でつぶやく。同じように顔を赤らめたタマモがうなずいた。
 美神もさすがに恥ずかしそうだ。
 シロだけが意気揚々としている。
 ぼろぼろになった身体を、身動きできないように縛られた横島は、シロに引きずられてゆく。
 朦朧(もうろう)とした意識の中、それでも横島は幸せだった。
 前を歩いて行く美神達の後ろ姿を見られたから。
「下…からの…アングルが…また……、新…鮮!!」

おしまい

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