ザ・グレート・展開予測ショー

過去の思いと今の幸せ〜冬


投稿者名:ぴろしき
投稿日時:(02/ 8/ 2)

「ぱぱ〜 ごはん できたよ〜」

「おー、今行くからー」

(パタン)
娘の呼び声に読んでいた本を閉じる

書斎から廊下に出ると

「うぅ・・・さみぃ・・・」

突き刺すような寒さ

「(はー)・・・息が白い・・・」

吐き出した息が温もりを無くし姿を凍らせる



(ん?)

視界の隅に映る淡く小さなひかり

いつもなら寒さから逃げる為に気にしなかっただろう

なぜか今は・・・



「雪か」


温もりを拒絶した冷たい世界

捕らわれたように

庭に出でいた



見上げれば

自分を・・・世界を・・・温もりを・・・

隠すように降り注がれる

幾千の儚い結晶



ふと前を向くと

家の明かりが儚い結晶を光らせていた



舞い散る儚い結晶は

何処にも姿を残していない

何かにぶつかり

その身を消してしまう



受け止めるように掌を差し出す

掌に乗る儚いヒカリ

消えていく・・・


手に入らない儚いヒカリ







「ぱぁ〜ぱぁ〜〜 はやく〜!」

「あっ・・・」
娘の声に引き戻される
「あぁ・・・わかってるって」
娘に言ったのか・・・誰に言ったのか・・・

(トテトテトテ)
「パパ、なにしてっ・・・あぁあああ! カゼひいちゃうよ パパ!」

焦った声で駆け寄ってくる娘

「ちょちょっと雪をな・・・」

「いいから、はやく!」(ぎゅっ)

「あ・・・あぁ」
引かれる手に感じる暖かさ

「もうパパったら・・・」

可愛い怒った声を聞きながら家に入る

暖かな世界が迎え入れてくれる


手の中にあるぬくもりを

(ぎゅっ)

握り締めた

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