ザ・グレート・展開予測ショー

続・プリンセス・オブ・ドラゴン(その6)


投稿者名:CSU
投稿日時:(99/ 2/ 4)

話を始める前に今まで謎にしていた指輪の事について説明します。

竜神王が横島・小竜姫に渡した指輪について簡単に説明すると、
まず主となる人物(この場合は小竜姫)のマイナス思念を核として自我を持った精神分身体が生み出され、対象となる相手(この場合は横島)の深層意識に送り込む、と言った物。
対象の精神に送り込んだ分身体は時間を掛けて自分の本体の事を植え付ける、早い話が惚れ薬の力を具現化した様な物だ。
ただこの場合、マイナス思念が元になってる分身と言えども、オリジナルの考えてる事その他が100%反映されることが上げられる、そんじょそこらの分身を作るアイテム(たとえばドリアングレイの絵の具)とは訳が違うのです。

☆☆      ☆      ☆☆      ☆      ☆☆                

「父上!今の話は一体・・・」
「お、おぬし聞いとったのか?」
天界では竜神の親子が何かしらの議論をしていた、竜神王が独り言を言ってる所を童子が聞いていたのだ。
「一体横島の精神に何を寄生させたのですか?」
「それは・・・」
「父上、はっきり言って下さい!」
「そうじゃな、実はかくかくじかじかで・・・」
一分位の説明が続く、、、

「余も何となくそう思ってましたが、はっきり言って父上は小竜姫の事を全然分かってないです、小竜姫はそんなこと絶対に望みませんぞ」
「いや、まあ、わしの余計なお節介かもしれんが、多分今頃は指輪の中で大事が起きてるはずじゃ」
「だったら余が今すぐ行きます、何か方法は無いのですか?」
「・・・・・・・・・」
「父上!」
「わ、分かった、この指輪を使えば今すぐにでも指輪の中に行くことが出来る」
小竜姫の持っている指輪のスペアを取り出した、と言ってもこの指輪には対象の精神に寄生する能力は無く、指輪の仮想空間に行くだけのものだ。

「ちょっと待て、これも持っていけ!」
竜神王が童子に指輪と一緒に何かを手渡した。
「これは・・?」
童子の手のひらには指輪と一つの勾玉があった。
「お前も知っておろう竜の牙だ、何かの役に立つはずだ」

次の瞬間童子は指輪をはめた。
「では行くぞ、準備はいいか?」
「はい!」
竜神王が童子に催眠術をかけ、童子は眠りについた、
そしてその精神は横島の指輪の中へと送られていった。

「頑張れよ我が息子、かなりややこしいことになってると思うが何とかなるじゃろう」
竜神王が心の中で呟いた、どうやら本当の事は童子に話してなく『分身を作り出す事』は省いて、一部曲解してる様子、結構でたらめな性格なようだ。


☆☆      ☆      ☆☆      ☆      ☆☆                


「だから誰なのよ、あの人は?」
「いや、だからあの人は・・・」
横島の深層意識の底に居たのは小竜姫自身、いや、正確にはそのシャドウだ。

「え!?小竜姫さまの分身?じゃあこの邪悪な気は一体何なの?」
鈴奈はこの霊波が邪悪なものだと気づいていた、
「でも確かに言われてみれば霊波の質が似てるような気も・・・」

『お前達の相手はこっちだ』
奴が指を鳴らすと先ほどと同じように霊波が収束され、徐々に人の形を成していった。
その姿は言うまでもなく横島だ。
「よ、横島さん・・・、やっぱりこうなっちゃうの?」
予測出来た事とはいえ辛い展開だ、もちろんおキヌは横島と直接戦った事など有る訳ない
『自分の愛する者の手によって殺されるがいいさ!』

とてもじゃないが小竜姫とは似てもにつかない言葉遣い、
だがそんなことを考えてる余裕は無かった、横島が文珠と霊波刀を手に全力で向かってくる。
「きゃーー!」
「おキヌちゃん危ないっ!」
とっさに鈴奈が風の精霊術による結界を作った。

バシッ!

向かってきた横島は結界に弾かれカマイタチによるカウンターダメージを与えた。
しかしその瞬間横島の深層意識の景色がぐにゃりと歪んだ。
「だめです鈴奈さん、ダメージを与えたら横島さんが死んじゃいます!」
「そ、そんなこと言われたってどうすれば・・?」
思わず考え込んでる鈴奈。

「鈴奈さん、前、文珠が来てます!」
「え?」
【爆】の文珠が前方2m位のところまで迫っていた。

突風を巻き起こし文珠をどこかに飛ばそうとした、だがそれより早く文珠が発動した。
「だ、だめ、間に合わ・・・」

ドガアッ!!



「お、おかしいわね、こんな程度の相手に手こずる筈ないんだけど・・・、最近修行さぼってたからかしら?」
苦戦してる小竜姫だが、その後ろから何かが飛んできた。
「な、何?」
後ろを振り向いて飛んできた物体を掴んだ、
掴んだ物は竜の牙だった。
「え?何でこれがこんな所に・・・?」

「小竜姫ーー!」
後ろの方から声が聞こえた、
この声はよく聞き慣れた声、そう天龍童子だ。
「で、殿下、何でこんな所に?」
「いや、父上からの言づてを頼まれてな、・・・かくかくじかじかで」
その話を聞いた小竜姫の表情が変わった、少しショックを受けてる様子。
「そ・・・それって、ひ、非道い・・・」
思わずうつむく小竜姫。
「大丈夫じゃ、未だ間に合う!」
「え?」
「完全に呪縛が完成したらどうしようも無いが、きっとおキヌ達が何とかしている筈じゃ」
「分かりました、竜の牙が有って、殿下がいれば百人力です!」
二人はあっという間に雑魚共を蹴散らした。


文珠の爆発音が止むと、おキヌに向かって鈴奈が飛ばされてきた。
彼女は上昇気流のような風を巻き起こし文珠の威力を受け流し最小限に抑えていた、だがそれでもかなりのダメージを受けている。
「く・・・そ・・・」
「鈴奈さん大丈夫ですか?」
「何・とか・ね、でもどうするの?はっきり言って私たちだけじゃ絶対に勝てないわよ」
「それは・・・私にも分かってますが、どのみち横島さんが敵に回っている以上どうしようもないですよ」
「横島さんが敵に・・・か、だったら!」
鈴奈の表情が少し変わった。
「何か方法でも有るんですか?」

「こうなったらこれしか無いわ、いい、おキヌちゃん、これから私が横島さんに対しての精神コントロール波を増幅する仕掛けをするからそれを利用して横島さんを元に戻して」
「何するつもりですか?」
「大丈夫、多分この方法なら何とかなるはず、あっちの方は私が何とかしておくから!」

おキヌの手に触れると鈴奈は念を込め始めた、横島の精神に入る時に使って今まで見えなかった赤い糸が具現化され輝きだした、今度は霊波の伝線を専門とする能力に変化した、その糸先には横島がいた。
「鈴奈さん、これでどうしろって言うんですか?」
「前も言ったでしょ、赤い糸は霊波の伝線も可能だって、要するにおキヌちゃんの能力を使って・・・」
聞こえないように耳元で囁く。

「この糸を切られたらお仕舞いよ!」
「分かりました、後は私が何とかします!」

再度横島が向かってきた、
おキヌは、横島が有る程度の距離に近づいたのを見計らって笛を吹き始めた。

☆☆      ☆      ☆☆      ☆      ☆☆                

ピュリリリリリーーーー、バチバチバチバチッ!
横島の深層意識の底にネクロマンサーの笛の音色が響きわたった。
同時におキヌの手から赤い糸を伝わり精神コントロール波が横島に向かって伝線していく。
外からはネクロマンサーの笛、内からは霊体の触手の要領での思考波、
内と外からの精神波二重攻撃だ、しかもここは横島の深層意識の底。
その効果は抜群で、横島の精神内に巣くった呪縛は見る見るうちに解けていった。

『ちっ、そうはさせるか!』
そうはさせじと奴が襲いかかってきた。
「おキヌちゃん早くして、一分位なら私が食い止めておくから!」
おキヌと横島の前に立つと、持てる力の全てを費やした風の力を解放・起動させた。
鈴奈の前方を境に強烈な突風とカマイタチが巻き起こる。
『こ、この・・・』
強烈な風圧にさしもの奴も足止めを喰らっている。
その瞬間、発生したカマイタチの一つが奴の右腕をかすめた。
『このあたしに傷を付けるとはなかなかやるね、だが・・・』
鈴奈の視界から奴が消えた。
一瞬見失ったが、得意の超感覚ですぐに奴のいる場所を把握した。
奴はおキヌ達の上空にいた。

上空から霊波攻撃を仕掛けてきた。
「ここは通さないわ!」
放ってきた霊波に対して横から風をぶつけて方向をそらす。
行き先を変えられた霊波は地面に当たり消えた。
『ちいっ!』
攻撃を止められた事に苛立ちを感じたのか、奴が舌打ちをした。

――その瞬間

スピードを増した奴が四方八方からおキヌを狙って攻撃してくる、
「ちょ、ちょっと待って、は、速い」
反応は出来るのだが身体と能力がついて来ない、それでも何とか防いでいる、が・・・。
「こ、こんなの防ぎきれない・・・」
立て続けに霊波攻撃を仕掛けてくる小竜姫の分身体、パワーの強さもそうだが、正確に狙いを定めてくるその連続攻撃、はっきり言ってまともに防ぐのはもう無理だ。

「こうなったら・・・!」
おキヌの側に寄ると鈴奈の周りに光が集まり始めた、
両手を掲げると半径5Mくらいの周りにサークルを描くように無数のつむじ風が起こり始めた。

『何をする気かしらないけど、無駄な事を!』
奴が前方20Mほど離れた所に現れた。
そして再び連続霊波砲を仕掛けてくる。

「いくわよ最後の手段!」
両手を勢いよく振り下ろした。
無数のつむじ風が『風の塊』と化し一つ一つ連結し巨大な渦巻き状の風が起こり始めた。

ゴオオオオオオオオオ・・・・
竜巻の様な風の壁を作り出す風の精霊術の最大出力技、攻撃は凌げるが使う本人の消耗度はハンパじゃない。

「り、鈴奈さん、そんなに力を使ったら・・・」
「私の、事は、、い、い、か、ら、早く横島さんを!」
しゃべるのも辛いくらいの力を使ってる、こんな小さな身体の何処にこんな力があるのだろう。


「痛っ!」
「どうした、小竜姫?」
途中で立ちはだかっていた雑魚共を軽く蹴散らし、おキヌ達の所へ急ぐ小竜姫達。
だがその小竜姫の左腕に刃物で切った様な切り傷があった。
「小竜姫?お前その傷どこで受けた?」
「いえ、こんな傷受けた覚えはないですけど・・・」
「どっかで引っかけたんじゃないのか?」
「それ位しか考えられませんけど、別に大した傷じゃありません、先を急ぎましょう!」
再び駆け出す小竜姫達、だが小竜姫には何か嫌な予感がしてならなかった。


しばらく時間が経過、、、
ようやく横島に掛かってた呪縛を解いたおキヌだが、それと時を同じくしてあたりの竜巻の勢いが弱まり始め、そして消えた。
さっきまで巻き起こっていた風が嘘の様に消え、あたりに静寂が戻った。

鈴奈は空中で止まったまま動かない、そして浮遊力を失ったその身体は地面に向かって落下していった。
「大丈夫ですか鈴奈さん!」
思わず手のひらに乗せるおキヌ。

「おキヌ・・・ちゃん、横島さんは?」
「大丈夫です、もう呪縛は解きました、もうすぐ元に戻るはずです」
「そう・・・じゃあ私の役目も終わりね、疲れたから眠るね」
そのまま鈴奈は気絶した。
「しっかり、しっかりして下さい!」
思わず抱きかかえる。

『お別れの挨拶は終わったかい?』
「まだ死んでません!」
キッと睨みながら強い口調で言い返す。
『あらそうかい、たかが妖精のくせによくやった方だよ』
奴が一歩近づいた。
思わずおキヌは鈴奈を手に持ったまま横島の前に立つ様な形になった。

『分かったら横島を返しな、呪縛が解けるにはもう少し掛かるからね』
「あなたは一体何なんです?小竜姫さまのシャドウの姿をしているのは何故なの?」
『私の事なんか・・・どうでもいいさ、いいからそこをどきな!、・・・ん?来たか?』
「嫌です!横島さんは絶対に渡しません!」
その言葉を聞いた後奴が一瞬怯んだ。

『わ、私は・・・』
奴が少し悩んでいる様だ。
『う・・・うるさい!邪魔するなら力づくでいくよ!』

鈴奈は気絶していて、横島はまだ元に戻らない、おキヌだけでこの強敵に勝てる訳ない。
神剣を構えた奴が地面を蹴った。

「きゃ・・・!」

ギィィィィィィン!!
激しい金属音が響きわたった。
「お待たせ」
おキヌが目を開けると、すんでの所で小竜姫が奴の剣を受け止めていた。
交差する互いの剣を振り解いて、距離をとった、が・・・。
「この者達に手を出すことはこの小竜姫が許しません!私が来た以上もはや行くことも引くことも叶・わ・ぬ・と・・・?」
お約束の決め台詞を言おうとするがその台詞を最後まで言うことは出来なかった、何故なら・・・。
「・・・って、だ、誰よあなた!?」
『誰?、見ればわかるでしょ、あたしはあんただよ』


まだ続く、、、


ずいぶん話を引っ張って来ましたが、次回からが本番です、小竜姫さまの恋の行方にご期待を。


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