ザ・グレート・展開予測ショー

過去の思いと今の幸せ


投稿者名:ぴろしき
投稿日時:(02/ 7/31)

山の全景が見渡せる麓に広がる野原

娘との小さな旅行

道端に車を止め、ゆっくりと降りる

周りの景色に惹かれるように

ふらふらと足を踏み入れていく

目に入る広がる景色をただ眺めていた




                      


どれくらいそうしていたか

小さな手がシャツの裾を引っ張る

「パパ?」

返らない答え

「どうしたの?」

不安で泣き出しそうな声

「ないてるの?」

「・・・ち・・・違うよ」

やっと返ってきた返事



いつもと違うパパの表情

「・・・・・・」

何かを言いたくて

いつもの声を聞きたくて

でも言葉が浮かばなくて

口を噤み・・・ジッと見詰める事しか出来ない

「・・・綺麗だったからさ」

いつもより元気の無い笑顔

でも大好きなパパの笑顔

「うん! きれい!・・・とってもきれい!」

「パパなんて凄く感想しすぎて・・・涙が出てきたもんな」

「?・・・やぱっりパパないちゃったの?」
首を傾げ 何で泣くんだろう? と不思議がる

「凄く感動すると・・・凄く綺麗なものを見ると・・・涙が出て来るんだよ」

「???」

「大きくなったらわかるよ・・・きっと」

「???・・・・大きくなったら?」

「うん・・・大きくなったら」

パパの大きな手が自分の手を包む・・・優しく包み込むように

「ママが心配するから戻ろうか?」

「あ、あ・・・・うん」

包み込む温もりに寄りかかり・・・夢見ごこちのうなづき





紅く色づいた山々

夕焼けに染まったような木々

季節と季節の隙間が染めた色に懐かしい想いを蘇えらせた


2つの細長い影・・・結びついた手・・・繋がった影


昼と夜の隙間が

幸せそうな親娘を

柔らかく染めていく

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