ザ・グレート・展開予測ショー

#新歓企画!『対決!!』Ver.トンプソン


投稿者名:トンプソン
投稿日時:(02/ 7/31)

暗い室内にスクリーンが用意され、男達がひしめいている。
「此方の写真をご覧下さい。超貴重種、メスです」
スクリーンにシロのあどけない姿が映し出された時、会場内にどよめきが走った。
「今のところ健康状態良好ですが、一般のペットよろしく、予防接種は必須です」
満場一致で頷く。この男たちに白衣姿もチラホラといる。
「あんたら本気なの?」
タマモが呆れ顔で確認すると、
「あの貴重種を守らなくて、何が動物医師だーーーー」
男達のどよめきが会場内にこだました。
「・・・・・・」
おとなしく一人で予防接種に来たタマモの表情は苦笑も凍るという奴であった。
家に帰ったタマモは、
「あっ、シロあしたあんたが予防接種だって」
意地悪く教えたのであった。
「な、何でござるとぉ!逃げるで御座る」
だとか。
幸い、ひのめちゃんの子守代という事でお金は持っているシロである。更に。
「まぁ、私としては何もしてやれないけど、コレあげるわ」
と、幾ばくかの銭を渡し、
「そーだ、こんなんもらったからあんたにあげるわ。私は狐だからいらない」
と、首輪まであげている。
普通なら怪しみそうだが、そこがシロの純情な所である、としておこうか。
「ありがとうで御座る。さてと、では早速」
「えっ?もう夜に近いってのに?」
「善は急げで御座る。さらば!タマモよ、先生よ」
注射ってそんなに痛くないのに、と後姿を見守るタマモであった。
「ふっ。拙者がいつも走って逃げるとは限らんでござるよ」
と、意気揚々としているのは、上野発の夜行列車である。
「このまま津軽海峡までいって青函連絡船に乗って海外に行くで御座る」
どこもかしこも間違っている。第一青函連絡船とっくには無いし、第一国内線である。
「さてと、小腹もすいたし・・駅弁でも食べるで御座る」
と、売店に向かおうとしたところ。
「えー、車内販売でーす、ジュース、酒類、取り揃えておりまーす」
「おっ。ちょうどで御座る、おねーさん」
呼ぼうとしたとき、そこは犬である。
・・・・・・・・・。
失礼、狼である。
その人間離れした・・。
・・・・・・・・・。
更に失礼。
犬離れした、鼻が反応する。
病院独特のにおいを嗅ぎ取っている。
「ま、ままままままさか!」
そう。その車内販売というワゴンには・・。
「さぁ、注射の時間ですよ。シロちゃん、あんまりてこずらせないでねぇ」
そう、あの山村動物病院勤務のおねーさんである。
ゆっくりと、確実にこちらに向かってくる。
「うぎゃー、で御座るぅ」
何事かと、起き出す客も当然である。
いそげとばかりに隣の客車に向かうが、
「ど、ドアがあかない!」
当然の細工である。
細い路地、開かない窓、そして目の前の敵。否獣医看護婦。
今シロの脳内には「ダースベーダーのテーマ」が流れているに違いない。
「ど、どーするで御座るかぁ。先生・・」
横島の事を思い浮かべたときである。ある策が頭をよぎった。
「そ、そうで御座る!」
思い立ったら即実行、そこがシロである。
身を低くして、猛スピードで近づき、
「あら?」
看護婦も意外なパターンに身をのけぞらせたのが不味かった。
身をかがめ右手・・本来なら前足やもしらんが。
とにかく右手をスカートの端に手をつかむ。
「あっ。黒のレースでござるぅ!」
マリリン・モンローもびっくりの状況である。
「きゃっ。何するのよ!」
と、両手でスカートを下ろしたのが間違いである。今度は腰に手をあてて、
「すまんで御座る!だがこれも武士のしきたり、許されよ!」
突然始まったサービスは、乗客は喜んだであろうか。
少なくとも作者は喜ぶ。
そして。アナウンスが始まった。
『まもなくー。郡山、郡山ぁ!』
「これこそ、天運。日ごろの行いがいいからで御座る!」
どこがだ。
とにかく、脱出に成功したシロである。
青森から、福島になってしまったようだ。
郡山は田舎である。因みに横山大観の博物館がる。どーでもいいことだが。
だが、
ここは東京羽田。
「そうか、クランケシロは郡山に下りたか。よし、みな向かうぞ!!」
携帯で連絡を受けたのは、山村動物病院委員長、山村氏である。
舞台は・・田舎町へと移行する。
何時でも離陸可能な戦闘型大型輸送ヘリが今か今かと待機していた。

都合で後編へ。

今までの コメント:
[ 戻る ]
管理運営:GTY+管理人
Original GTY System Copyright(c)T.Fukazawa