未来掲示・別編(ラプラスの語り、26)
投稿者名:トンプソン
投稿日時:(02/ 7/29)
そこは一筋の陽光も蛍光灯もついてない薄ぐらい場所である。ある特殊な牢屋だ。
貴方はどうしてもこの鬱屈として建物の奥にいかねばならなかった。
=話せ、と言われてもな =
悪魔ラプラス、確実に未来を映し出す能力を持つ。
待ちなって、未来ってのは無限の可能性が有る。その数と同等の俺がいる訳なんだがな。
それでも聞きたいなら俺の知っている歴史を語ろうじゃないか。そう忠告を一つ。
逃げるなら今のうちだぜ。
あの横島って奴はのっけからピンチを迎えていた。
「なんでなんやー・・」
そうだろう。魔界へと身をおとしちまったんだからな。
事の起こりは単純だ。
GS美神と愉快な仲間たちは妙神山へと遊びにきていた。
魔界との交渉バイパスまであるとあれば危険極まりない場所であるわけだ。
魔界へ通ずる穴は厳重に完備されているにもかかわらずそこに逃げ込んだのが我等が横島さ。
何ぃ?そこに落ちた理由だと。聞くまでもなかろう。
勝利品いや証拠品は横島のポケットにある妙な形をした布切れさ。
五つあるって事は、狼娘や狐娘、竜娘のまで手に入れたのかねぇ?
自業自得って諺、誰か教えてやれよ。
無駄か。
でだ。横島が望むも望まぬも魔界側からすれば親分を殺した張本人がフラフラ出歩いているモンだ。
「野郎、何故ここにいるかしらねーが、いいチャンスじゃねーか!」
「そうよ、奴をバラせば名があがるしな」
「くく。地獄へ落としてやるぜ」
ん?ここは地獄とは違うのか?
まぁ、どーでもいいがな。だがそこは横島持ち前の運で、ナントカしのいでやがる。
とはいえ、秩序が乱れるのは必須だよな。
「これからって時に偉いのがきちまったよなぁ」
おや、そんなまともな事を言ってるのは・・。サッちゃんかな?
あんたも大変だな。いや。横島を管理するって事自体大変なことかもしらんがな。
「しょーがねぇな、この魔界で奴と面識がある奴は誰?あぁワルキューレ姉弟か」
ジークは運良く天界にお使いにいってたから、ワルキューレが出向くことになったんだ。
「・・・いい迷惑だ!」
まったくそのとーりだ。
さすがは生粋の軍人。すぐに横島を救出したよ。
「はぁ、はぁ。助かったー」
「・・命令でなければ救わん」
にべもなにのも判らんでもない。簡単に救出した、と俺は言ったが何せ魔界の猛者共とやりあったからな。
思わぬ怪我も当たり前だよな。
もうちょっと正確に教えようか。
髪が焦げている。
目の部分が腫れている。
腕が半分千切れている。
足は無い。
「たいした怪我じゃない」
嘘だろ?
だがよくも悪くもだ。助けた相手はオールマイティーキャラクターだ。
言わずともがな、文殊だな。
「ほら、無理するなよ、文殊『回』
それは違うだろ?ほら回ってるじゃないか。
「きゃーー」
やっぱ、女なんだな。悲鳴がろっぽいぜ。
「わ、私をどーする気だぁ?」
まずはちゃんと回復させてから、誤る横島だが、ワルキューレの形相は鬼そのものだ。
いや、ホンマモンの鬼なのか?
まぁ、どーでもいい事だな。
「しーましぇん。堪忍です。何でもします。ゆるひてー」
泣くのも当然だぜ。横島、あの美神の恥じらいパンチより数段上のボディーブローを食らったんだからな。
「・・。なんでもします?だと」
「えっ?えぇ」
「ふむ」
と、手を顎につかえ、考えてな。
「ちょうどいい。ちょいと付き合ってもらおうか」
「はぁ?」
それがまさか・・・。お見合いの席とはおもわなかっただろーなぁ。
魔界ってのも意外と人間世界に通ずるところがあってな。
そんな中でもなぜか「見合い」ってのがあるんだ。
まぁ殺伐とした世界だからな、娘にゃ少なからず幸せにって思いがあるのやもな。
「・・。と、言うわけで私はこの少々頼りないがこの男とつ・・付き合っている」
まぁ、顔を赤らめるのはご愛嬌としておこうか。
「あら、そーだったのーー。オバさんの誘いを断ってた理由がわかったわー」
それからとりとめも無い話が続くのが女ってやつでねぇ。
とてもじゃないが、全部語る気にはなれん。最後の一言を教えてやろう。
「せっかくだから、旅行いってきなさいよ!」
新婚旅行だとよ。信じられねぇかもしらんが魔界にだってそういう事はあるさ。
「はぁ・・じゃあ」
と、言ったのがワルキューレだったんだ。横島は一言も、しゃべらせてもらえなかったとさ。
成り行きで浪漫飛行となった訳だが、これが間違いの大本でな。
そのオバさんが用意した宿ってのが・・まぁ、ある種の御香を常備していてな。
つまりは・・変な気分になっちまうって訳だ。
後々に考えればだ。見合いとは言え、互いに手を出せば離れなくなるって寸法だ。
現世と違って魔界ってとこは案外とこーゆー事に対しては古風というか、
何と言うかだ。
「・・・判ってるだろうな、事故じゃすまされない」
「あぁ、そうだな」
もう破れかぶれという横島だろうな。
だが、だ元来環境適応力がある横島だし、何より、
「丈夫な子供を産んでくれよ」
と、言う状態なら男も逃げられないって訳さ。
さて、どんな子供が生まれるか、後でみてやろう。
−くくくく。忠告したはずだぞ。逃げるなら今のうちだぜ。と−
不意に貴方は腕に痛みを感じていた。
見るとどこから現れたのか空中に手が浮かんでいる。
これは封印されている悪鬼の悪戯であるが、一向に振りほどけない。
何とかしてくれという、貴方にラプラスは一言。
=離せ、といわれてもな=
FIN
今までの
コメント:
- トンプソンさん、お久しぶりです♪(多分憶えてらっしゃらないとは思いますが←笑) ワルキューレと横島クンという予想外の2人の話でしたが、一つの可能性として「有り得なくも無い」と思ったので賛成です。魔界の「古風」な結婚に関する慣習などが笑えました。いつもよりも一層元気な横島クンに一票♪(爆) (kitchensink)
- ラプラスを使う理由、理解しました。果たしてトンプソンさんの意図を完全に理解できたかどうかはわかりませんが、このニヒルな雰囲気がかっこいいと思います。
オチも素晴らしいです! (ヨハン・リーヴァ)
- くわばら、くわばら(汗)
久しぶりのラプラス、堪能させて頂きました。
それにしても、横島。あのワルキューレと『出来ちゃった結婚』とは…。
後で事の顛末を知った、ジークの反応が面白そうです。 (黒犬)
- お久しぶりですー。ラプラスの語り、相変わらず渋くてニヒルで、もぉ堪りません。しかし……叔母さん。可愛い姪の為とは言え、やることが流石魔族(笑) (ロックンロール)
- あ、あは、ははは、はははは……(汗)
ワルキューレさん、これから苦労しそうですね……(^^; (猫姫)
- 驚き…
想像できないお話で楽しませていただきました。 (3A)
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