ザ・グレート・展開予測ショー

#新歓企画!『対決!!』verhazuki


投稿者名:hazuki
投稿日時:(02/ 7/24)

その日は眩しいくらい空が青かった。
さんさん―というよりもぎらぎらと照りつける太陽。
アスファルトの道路には照り返しがきつく既に蜃気楼が見え、街中というのに、砂漠で遭難しそーなき分を味わえること間違いなしの陽気である。
街路樹も暑いとでもいっているかのように聞こえる。
そう、季節は夏である。
だが、その陽気よりも―夏という季節よりも更に暑い(もしくはうっとうしい)男がいた。
その男は、暑さから遮断されたとある一軒の喫茶店にいたりする。
涼やかな店内―その男だけがひとり暑い。(うっとうしいともいう)
男は―拳を握り締め語っている。
「対決、決闘、…ああなんという甘美な響きなんだろうか!!
己が力を出し切って、互いの力を引き出し―戦う。
ああ…なんと素晴らしい言葉!!そう想わないかっ横島!!」
どんっ
とガラス張りのテーブルに拳を軽く叩き、向いあっている男に切々と―あふれんばかりの情熱をもって語りかける。
「―いや、思わん。あ、すいませーんアイスコーヒー一つねー」
だが還ってきた言葉は、男の情熱におもいっきし水をかけるに等しい言葉であった。
「なんでだっ!!!」
がたんっと席をたち男。
「―なんででも。―あ、ついでにクラブサンドも追加してなーおねーさん」
ぐいっと男の服を掴み再び座らせながら男。
それはもちろん、この男を落ち着かせるためではなく―逃げさせないためである。
ちなみに今現在横島は一円たりとももっていない。
いま服の先にいる男が横島の貴重な財布なのである。
―もっともその男も横島と同じレベルくらい貧乏であるが。
なおも言いつづけている男の言葉を―
「第一言い分けなら、弓さんがきてから言えよな」
横島のこの一言が粉砕した。
同時にぴたり―と押し黙る。
「………」
「ま、オマエは思う存分決闘やら対決やら―武者修行の旅とやらで満喫したんだろーがその間連絡一個もなかった―て彼女いってたぞ…つーかなんで俺がオマエを弓さんに引き合わせなきゃならんのだ」
はーっとこれ見よがしにため息をひとつ横島。
ようするに、この男は今時―力を上げるために、全国を5ヶ月ほどかけて回っていたのである。
それは、修行やら闘いに、溢れる毎日でもうこの男にしたらおもいっきし楽しい(?)そして充実したものであったのだろうが―回りの人間にとってみれば楽しいはずもない。
中でも、一応恋人の弓としては、笑うしかないといった感じだ。
はがきに一言『修行してくる』と書いたっきり半年近く音信不通……これで愛想をつかさなかっただけでも奇跡だというのに更に優しく迎え入れるなんぞ、不可能である。
そして東京に帰ってきた男をその親友(本人は激しく否定している)頼んで捕獲してもらったということである。(ちなみに報酬はこのサンドイッチと珈琲である)
「あと十分くらいで弓さんもくると想うけど―ま、がんばんな」
にやりと口元を意地悪く歪ませ横島。
「……だから俺は、修行にいってただけなんだぞ」
ううっと頭をかかえ男。
「その言葉オマエ弓さんの前で言えるか?」
「…いったらその場で命の保証がなくなるにきまってるだろーが」
顔面そーはくになり男。
すると横島はなにか思いついたかのように笑い
「…いいじゃないか」
といった。
その言葉にどこかうぞ寒いものを感じる。
「今回の修行最期の―対決ってことで」

どちらが勝つかなどと―考えるまでもない。
そして夏の暑さよりもうっとうしい男は―数時間後には灰のようになっていたとかいなかったとか…
おわり。

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