マリアのアルバイト
投稿者名:AS
投稿日時:(02/ 7/20)
平坦な道が続く。
その道を『ワタシ』は歩いてるのだ。
終わりが見えない永き道。
ふと周りを見回すと、同じような道がいくつも。
それぞれの、自分の道を歩く人達がいる。
その道は交わる時もある。
けれど、その人達はいつも、先に道の終わりにさしかかる。
いつも『ワタシ達』よりも、先に足を止めるのだ。
止メルノダ。
〜マリアのアルバイト〜
今日も道を歩くであろう『ワタシ』を、陽光が照らす。
それは一日が始まるという事だ。
休ませていた『ワタシ』の身体が、活動を再開する。
さぁ今日は『ペットショップ』でお仕事だ。
仕事が始まった。
店の人に言われるまま、ノミ取りや店内のお掃除。
それらを黙々と繰り返す。
ふと、そうした仕事の合間に、猫が一匹すり寄ってきた。
頬をすり寄せて、前足を『ワタシ』に預けるようにする。
掃除の途中なのですが・・・思考が排斥さえも考慮する。
そう思っても『ワタシ』の身体は、その猫を振り払えない。
指先から、掌の中から伝わる。それは温もり。
脳にあたる機能。何らかの『記憶』が揺さぶられる。
鮮明に蘇るその『記憶』は、一枚の絵画のように。
その絵は真っ直ぐ『ワタシ』を見つめてる。
まだ『ワタシ』の歩む道が、平坦だった頃。
猫がいた。
頭が良くて、気難しくて、誇り高い猫。
胸に愛しさが広がる。あふれだす。
「マリアさ〜ん」
マリア・ワタシの・名前。
「今日はペットショップでお仕事なんですかっ?」
マリア・聞かれた事に・答える。
『イエス・家賃・明日まで・お仕事大変』
「おーいマリアさ〜ん、今日はもうあがっていいよ〜」
「わ、じゃ途中まで一緒に帰りません?」
『イエス・ミスおキヌ』
マリア・ミスおキヌと・帰る。
マリア・この猫と・さよなら。
「あれ? マリアさん、その子もこの店の猫なんですか?」
『イエス・ミスおキヌ』
「でも・・・何だかマリアさんとその子、すごく親しそうに見えます」
(・・・・・・)
『ノー・ミスおキヌ・帰りましょう』
「う〜・・・家捜ししても金目のもんはないのう、おや?」
「これは仕事行く前、マリアが見とった写真?」
「んぅ〜〜・・・」
「誰じゃったかの、これ?」
今までの
コメント:
- 「ある方とチャットでお話してる内に話題に上った、マリアの1人称創作・・・突貫気味ですけど、一読して頂けたら嬉しいです」 (AS)
- マリアが心の中とは言え、フツー語を話している前半戦は意表を突かれたましたが、そのフツー語も人間と違って短く、無機質な感じがする点が「らしい」気がしました。それでも近寄ってきた猫によりマリアの感情が多少「洩れた」点からやはり彼女もまた「こころ」を持った存在なんだなぁ、と気づかされました(←マリアの「こころ」に一票!)。それにしても、ドクター・カオスは日に日に記憶力が後退しているような...(汗)。 (kitchensink)
- いいですねぇ、こののんびりした雰囲気。この真似できない感じがなんとも。
マリアの「ノー」に少しばかり含みが感じられて良かったと思います。
最後まで明らかにしないで終わるのも、キレイに終わらせられてて良かったです (ダテ・ザ・キラー)
- 字のまわりの白い空間もうまく利用して、マリアの心象風景が巧みに描かれた作品だと思います。言葉のひとつひとつにマリアが伝わってきます。これ以上のことは私には言えません。 (アフロマシーン改)
- ばいば〜い♪ またにゃ〜♪(←マリアちゃんとおキヌちゃんの背中に前足をふりふり)
いつだって、マリアちゃんは親しくなったひとたちに、置いて行かれてしまう立場なんですね(涙) …ただひとり、カオスじーちゃんを除いて。
でも、マリアちゃんのメモリの中に、想い出として残っているはずの、たくさんのひとたちとのことは、決して無駄なことじゃないと思うです。 (猫姫)
- マリアの心情の変化って原作中でもちらほらと伝わってきたことがあって、
その僅かな感情の漏れを感じとる度に、不思議な安心感みたいなものを持った覚えがあります。
実の人間以上に人間らしい感情を持った女性。
私はマリアをそのように見ています。
この猫との出会いもまた、彼女の新しい感情を作り出すきっかけになるのではないでしょうか。 (NEWTYPE【改】)
- マリアの気持ちが書かれていてそれがよく伝わりました。
とても楽しめました。 (3A)
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