#新歓企画!『対決!!』ver.斑駒
投稿者名:斑駒
投稿日時:(02/ 7/19)
「……往くぞ、マリア! 気合を入れろ!」
「イエス! ドクター・カオス!」
狭い室内。低い天井に届くのではないかと思われるような長身の男が、決然と立ち上がる。
「分かっておるとは思うが。今回、正義はわしらにあり……じゃ!」
「イエス! ドクター・カオス!」
男は、ともすればその体重のために沈みかけてしまうボロ畳を一歩、一歩。しっかりと踏みしめて、入り口へと向かう。
「……とは言え、あやつのことじゃ。今回もそうそう甘くはいかんじゃろう。心してかかれ!」
「イエス! ドクター・カオス!」
そして男は、いやな音を立てて軋むドアノブに手をかけた―――
あんてな新歓企画!『対決!!』ver.斑駒
副題:『泣くコと、地頭』
「なんだい!あたしがさっきからずっと戸を叩いてたってのに。居るんならさっさと返事くらいおしよ、カオッさん!」
果たして。開かれたドアの前に立っていたのは、カオスとマリアにとって最大の難敵と呼べる人物だった。
「……まあ、良いではないか。……で、大家のバァさん。今日は何用じゃ?」
カオスはまず、勢い込む大家を軽くいなす。
相手のペースに飲まれたら、負けだ。
「? あんた、ついにボケたのかい? 先々月分の家賃を徴収しに来たに決まってんじゃないか!」
「家賃か……フッ」
カオスはあくまでも余裕の笑みをたたえたまま、もったいぶった様子で両の目を軽く瞑(つむ)ってみせる。
「……何がおかしいんだい!?」
気の短い大家さんは「スチャッ」っと音のするような勢いで、愛用のナギナタを構える。
「ま、待てッ! 落ち着いて話を聞けッ! バァさんも先刻の核ジャック事件のことは知っておろう?」
カオスは、焦った様子で、反射的に前に出した手をぶんぶんと一生懸命振ってみせる。
「…? どっかのバカが爆弾持って南極に篭城したってヤツかい? そんな話する前に、家賃をお寄越しよ」
「待てと言っておろうが! そのバカが手にした爆弾は世界を一瞬にして灰塵に帰すことのできるものだったのじゃ! まさしく世界の危機であったと言えよう!」
未だにナギナタを構えながらも、多少軟化した大家の態度を見て、カオスは余裕を持って話を続ける。
「へぇ、そうだったのかい? でも、そいつはもうだいぶ前に解決しって話じゃないか。言っておくけど『世界が滅びるはずだったから家賃は用意していなかった』なんて言い訳は聞かないよ?」
そう言って大家はナギナタを構え直す。
彼女の中では、もう結論は見えているらしい。
しかし、カオスも今回は動じなかった。
「クックックッ。ワ――ハハハハ!」
高笑い。
「?」
大家が訝しげな表情でカオスを見据える。
「フフフ。このヨーロッパの魔王を見くびってもらっては困る。そんな下らんことは言わんよ」
「?? じゃぁ、さっさと家賃を――」
ナギナタをホウキの如く脇に立てて、手を差し出す大家。
「待て待て、話はまだ終わっておらん。実は先月末の夜にわしとマリアがここを留守にしておったのは、別に家賃の徴収から逃れるためでは無くてな。その核ジャック事件の犯人を追い詰めておったのじゃよ」
「ウソ言ってんじゃないよ! あの事件はもうずっと前に―――『本当です! ランド・ミストレス!』――ええっ?」
与太話を一蹴しようした大家に、思わぬところから援護の手が伸びる。
「マリア・アシュタロスを・倒すために・闘って・ました! アシュタロスは・南極を・脱出し・東京で・新たな・世界破滅計画を・実行して・いました」
「アシュ……? ふぅん。どうやらウソは言ってないみたいだね」
大家はマリアの目を正面から覗き込んで、溜息を一つつく。
「そうなのだ。つまりわしらの活躍なくして、今のこの平和な世界はありんかったと言うことじゃな」
「……で、礼でも言って欲しいってのかい?」
納得はしても、大家は明らかに焦れてきている。
「礼か……フッ。そんなものを要求したりはせんよ。ただな、世界を守ったということは、同時にこのアパートの存在も守ったということじゃからな。つまり、わしらはもうアパート全体の一生分の家賃をバァさんに対して支払ってやったようなものであってだな―――」
ガガン! ゴッ! シュシュシュッ スチャッ
(二連撃)(兜割り)(振り回し) (構え)
「結局、踏み倒しの理屈つけてんじゃないか!」
……プス、プス、プス
満身の殺気を放つ大家と、目の前で頭から煙を出して倒れるカオス。
しかしカオスは文字通り不死身の男である。
「(………クッ、やはりダメじゃったか。……仕方ない、マリア! 作戦βに変更じゃ!)」
「(了解。ドクター・カオス!)」
すかさずマントの襟元に忍ばせた専用回線で、マリアと次の作戦を示し合わせる。
「ランド・ミストレス!」
「なんだい? マリアちゃん。あんたもこんなボケ老人の世話で大変だろーけど、家賃ってのは何が何でも払うのが世のスジってもんだよ」
大家は床に倒れ付すカオスの頭をナギナタでぐりぐりしながら、諭す。
「イエス……ランド・ミストレス。でも、マリアは――」
「なんだい? あんたまで私に楯突こうってのかい? 言っておくけど。年寄りだからって、まだまだあんたくらいになら負けないよ」
気が立っている大家はマリアに対してナギナタを正眼に構えてみせる。
大家は以前にも一度、マリアとカオスを相手に完膚なきまで叩きのめしたことがある。
ハッキリ言って、バァさんには有り得ない強さを誇っているのだ。
「ノ、ノー! ランド・ミストレス!」
マリアも、慌てて手を前に出し、ぶんぶんと振ってみせる。
大家もその反応を見て――最初からその気も無かったのか――ナギナタの構えを解いて、再び脇に立てる。
「……マリア・先月末の・アシュタロスとの・闘いで・深刻な・ダメージを・負いました」
「! そうだったのかい。女の子が、大変だったね。……もう、“治”ったのかい? “疵”(きず)とかが残ったらコトだからね」
大家の目が、憤怒から、思いやりのものへと変わる。
「ノー・プロブレム。この数日間・ドクター・カオスが・つきっきりで・“直”して・くれました。“傷”も・一切・ありません! でも・お金が――」
「ああ。分かった、分かった! 分かったからそんな目で見るんじゃないよ! マリアちゃんがケガしちまったんじゃぁ、治療費も結構かかったんだろ? それに、カオッさんも看病につきっきりじゃぁ、仕事して金を稼ぐことも出来なかったんだろ?」
大家はマリアの言葉を片手で制して、「全て分かっている」とでも言うかのように両目を瞑って、ウンウンとうなずいてみせた。
「そうなのだ! 大ダメージを受けたマリアを完全に“直”すのには、莫大な金がかかってな」
未だに床につっぷして頭から煙を上げながら、カオスが大家に返答する。
「…フン。あんたもなかなかイイトコロあるじゃないか。マリアちゃんを、大切におしよ!」
カオスを見下す大家の目にも心なしか、いつもの『相手を蔑むような』ものではなく、『相手の人格を認めるような』視線が混じっているように見える。
「……と、言うことは……?」
しかし、喜びを湛(たた)えて顔を床からパッと上げたカオスが、そんな大家の様子にも気づくでもなく、ただただ大家の結論に期待の眼差しを向ける。
「うん。私も鬼じゃぁないからね。今回の徴収分、先々月の家賃は――――」
大家はそこで、チラッとマリアの顔を眺める。
カオスと同様、マリアも嬉しそうな顔をしている。
しかし、大家はその表情の理由が『家賃』に無いことを知っている。
……もう一度、床に情けなく突っ伏す男の方に目をやる。
おそらくこの男は、自分に掛け合って、家賃を何とかできたことを喜んでいるのだろう。
そしておそらく、マリアちゃんも同じ理由で喜んでいるものと思っているはずだ。
大家は、軽く溜息をついて、言葉を続けた。
「来月に、先月分とまとめて2ヶ月分、徴収することにしよう!」
――だあぁっ――
大家の予想通り、カオスは盛大にズッコケて、再び頭を床に突っ伏す。
無理も無い。誰だって今の繋がりなら家賃免除か、最低でも徴収を一か月分ずらすことを想像するだろう。
「なんなんじゃそれは―――ッ! 因業大家〜〜! オニ〜〜! 悪魔〜〜! 守銭奴――」
「じゃぁ、そういうことだから。がんばるんだよッ!」
「イエス! ランド・ミストレス! ありがとう・ございました!!」
数分して。気を取り直したカオスが連綿と悪態をつく中、大家は笑顔でマリアと挨拶を交わし、カオスの存在を全く無視ししたままドアの向こうに消えていった。
「………クッソー。今に見ておれ……あのバァさんめ。わしが長年の研究成果で大金持ちになった暁にはこんなアパート―――」
「ドクター・カオス! アルバイトの・時間です!」
絵に描いたような負け犬の遠吠えを吐くカオスに、こちらはさほど落胆した様子でもないマリアが、声をかける。
「………くうぅ……………仕方ない、まずは家賃じゃ。行くぞ、マリア!」
「イエス! ドクター・カオス!!」
『稼ぐに追いつく貧乏なし』
結局は働くのが一番なのだが、研究より日々の生活に追われるカオスには貧乏が板についてしまっている観もある。
カオスは何かを諦め、振り切るかのように勢い良く起き上がり、さっき大家も出て行った部屋のドアを「バンッ」と思いっきり開け放って、ずかずかと外へと歩いて行った。
マリアもカオスの後を追って、部屋を出ようとするが、ふと入り口の目の前で、部屋を振り返る。
「お〜い! なにしとるんじゃ?マリア! 早くこんかいっ!!」
「イ、イエス! ドクター・カオスッ!」
しばらく部屋の様子に見入っていたマリアが、慌てたように後ろ手で部屋のドアを閉じる。
……重たい足音がドアから遠ざかってゆく。
部屋の中。完全に日に焼けたボロっちい畳の上には……
雑然と散らばる、見た事もないような工具のたぐいと、
一箇所に山と積まれた、なんだか分からないネジや部品のたぐい。
――そして、おそらくは新しいものと交換したのだろう。
カチューシャの形を模した、マリアのアンテナだけが、残されていた………。
今までの
コメント:
- ど〜も〜ご無沙汰いたしておりました。ふちこまです。
ついに! 終に! 遂にっっ!
初のあんてな発の企画をお届けいたしますッ!
みなさんも、この例にならって奮ってご参加を………『例』?
……いちおう『対決!!』……ですよね。
家賃の徴収から逃れたという点ではマリアの勝利、結局来月になってもとるものはシッカリとるところは大家さんの勝利……という(汗)
でも、最後の方、ちょっと『魂の機械』方向に引っ張り過ぎたような気も……(激汗)
み、みなさんも“ご自分なりの”『対決!!』を見つけて、参加なさってみてくださいね! (斑駒)
- 新歓企画が早速始まりましたね。 中盤にやや間延びした印象をうけましたが、ラストシーンで会心の一発を心に決められました。リクエストばかりして、どうしようもないアフロですが、新作も期待しております。 (アフロマシーン改)
- 恐らく人間界では最強の戦闘能力を誇る大家のばあさんのシバキを食らわなかった点マリアたちの勝ちと言えるかもしれませんね(笑←ほんとかよ)。問答無用な調子で責めながら同時に人情味も兼ね備えているばあさんがいい味出してました。「ヨーロッパの魔王」カオスは何やら最後まで情けないままでしたけど(爆)。ばあさんに多少はカオスの事が認められた時に嬉しそうな様子を見せたマリア...う〜ん、やっぱりこの時点でマリアたちの勝ちかもしれません♪ (kitchensink)
- . (T.I)
- そろそろこの「展開予測」にも飽きてきた。
殆どの奴が、トップに書いてあることをやってねーじゃねえか。
管理人はなにやってんだ!さっさとこういう奴らは規制しろ!!
それが出来なくば、ヤマシンとかいう奴の管理する「奇面組の部屋」に設置されてた
「空想の部屋」っつー予測の場の二の舞にしてやろうか!! (通りすがり)
- To通りすがり氏
>殆どの奴が、トップに書いてあることをやってねーじゃねえか。
貴殿が「手本となる文章」見せてくれたら嬉しいけど
カナタネタの「展開予想」書いてくれるのカナ?
過去に投稿してたなら教えて欲しい>作品名 (TOMO.KIN)
- ↑本当にトップページに準拠するならば、カナタネタは扱えませんけどね(汗)
私自身は、この企画が『展開予想』のガイドラインに反するものであるとは思いません。
私の投稿に限定して言えば、これは
『過去の話は、こんな展開の方が良かったんじゃないか(ぜひここまで掘り下げた話が欲しかった!)、という指摘』
に類するものだと思いますし、これからみなさんがお書きになる作品も
『あなたが妄想する今後の展開』
か、若しくは私と同じもののどちらかには、自然と類するものになると思います。
ですので、話の内容の方針とかを変える必要は一切無いと思います。 (天乃 斑駒)
- 今回の企画というのも、
話の方向性を既定することでみなさんが、あくまで各自の趣向においての妄想を導き出し易いようにし、『展開予想』全体での投稿増加の呼び水となるような形で考えられたものです。
同時に単に『歓迎』や『イベント』として、展開予想に参加する人たち相互の親睦を深めたいという希望もあります。
……というわけで、新歓企画への参加をご予定の方は、
どうかご自分の所業に疑問を持つことなく、今までどおりの道を邁進してください。
みなさんのご参加により、この企画自身はもちろん、『展開予想』全体までもがよりいっそう盛り上がり、楽しいものになるであろうことを私は信じていますし。それゆえこの企画に、より多く人が参加してくださることを期待する次第です。
それでは。みなみなさまのご執筆でのご健闘をお祈りいたします! (天乃 斑駒)
- 『コメント返し』。ああ、甘美なる響きよ(←よーするに、懐かしい)
アフロさん。
早速のコメントありがとうございます。
中間での間延びは……ギャグとシリアスの両方を一緒に求めようとした、しわ寄せですね。……ご指摘感謝です。上手くミックスできるように精進いたしますです(←素直に一本に絞れ!という話もある)。
それと、ラストシーンの意図を汲み取っていただけたことに激しく感謝します。実は少しギャグ味を濃くしすぎて、伝わりにくくなったのではないかと危惧していたものでしたから(嬉)
新作?……新作、……は、夏休みにでも……(汗)
…ぁ、アフロさんも、また違った視点からマリアの『対決!!』にチャレンジです!(反撃) (斑駒)
- kitchensinkさん。
お久しぶり――で、コメントありがとうございます!
ついでに言うと、『対決!!』には欠かせない要素としての『勝敗』についてのフォローも、ありがとうございます。なんとなく、これも『対決!!』であったような気がして来ました(爆)
カオスについては……まあ、家賃とかは世間の常識の範疇の話ですから、彼の扱いはこんなものかと……(参『非常識なシチュエーションであるほど、活躍するカオス』。逆もまた真ナリ)まあ、この埋め合わせは、近いうちにしてあげるつもりです。他の作品内で(笑) (斑駒)
- >……というわけで、新歓企画への参加をご予定の方は、
どうかご自分の所業に疑問を持つことなく、今までどおりの道を邁進してください。
わかりました。そうさせていただきます。僕もそう思いますので。
感想
ばあさんいい味出してますね!いい話だなあ〜。さすが斑駒さん! (ヨハン・リーヴァ)
- マリアが(多分)心を持っていることが良く分かりますね♪私は思いっきりキャラにコワれてもらいますので、よろしくお願いします(実は過去に書いたままで投稿してない作品を出すつもりだったり)。 (マサ)
- 修羅と化した大家さんもマリアにはやっぱり弱いのですね。
一連のやりとりがほのぼのしてて、とても極楽らしいと思いました。
カオスとマリアの苦難はまだまだ続きそうですね。頑張ってください。
蛇足ですが、斑駒さんのおっしゃることは正論だと自分も思いますよ。
↑でアホなこと書いてる暇人は放っておくに限ります。
ったく、某氏もいい加減になさい。
チャットではすみませんでした。荒らしたみたいになってしまって。 (通りすがり1)
- 新歓企画、ついに発動ですね? いやはや、初回から気合の入った話が。大家のバーさんは個人的に大好きなので、カオスVS婆にしてくれたのは嬉しいですねー。しっかりマリアしてるし(笑)。フチさん、マリア書きの面目躍如ですね。 (ロックンロール)
- カオスのボケっぷりとマリアのやさしさ(?)で大家と、マリア話の王道を行ってますなぁ斑駒さん(笑)
ともかくあんてな企画発動おめでとうございます。 (NGK)
- 祝!新歓企画・・・発動おめでとうございます
家賃を来月に延ばしてもらい、婆さんをカオスへのシバキも無く撤退させるとは―――個人的判定・・・カオスでは勝負に持ち込めなかったのでマリアの勝ち!
>最後の方、ちょっと『魂の機械』方向に引っ張り過ぎたような気も……(激汗)
作者に対しても、マリアの勝ち!
ということでこの話はマリアの一人勝ち!(^o^)
斑駒さんの書く世界を堪能し、嬉しそうな顔をしているマリアを思い浮かべPCの前でニヤニヤしてしまいました(^_^;)
最後のシーン『マリアのあんてな』の扉絵にならないかなぁ(凄くあつかましい要望ですが・・・) (ぴろしき)
- かなり読みやすいように工夫されてますね。うんうん。
カオスさんちの家賃を想定しますと、都内の物件ですが、かなり築年数がたってますし
(昭和40年代前後?)償却年数もかなり過ぎてるとみます。
6畳台所付で便所は共同みたいです。お風呂も無い様ですから、月4万弱って
ところでしょうね。(笑)
貧民カオスのことですから、敷金礼金は免除してくれたのでしょう、バーサンは。
大家さんの税金の負担も場所がら大きいでしょうし、ちゃんと払ってあげよーね(笑) (みみかき)
- 恋せよ乙女!(挨拶)ウィーケストリンクのようなブタクリアです。
レベル高いですね〜。
交流の場・・・私が毎日来ていたときは過去ログの中でコッソリやっていたもんです。
あ〜〜なんかおセンチな気分。 (ブタクリア)
- T.Iさん。
スイマセン。遅くなりましたが、お読みいただき、賛成していただいてありがとうございました。票のみ入れてくださった方々も、同じくです(礼)
今後もどうか『対決!!』企画の行方に注目してやってください。 (斑駒)
- ヨハン・リーヴァさん。
なんだか、もはや初めてお会いしたような気もしないのですが……というか、ご挨拶が遅れて申し訳ありません(焦)。はじめまして、ふちこまです(笑)
まずは企画への賛同、ありがとうございます。とても勇気が出ました。
元は、古参の者が企画作品を書いて、ヨハンさんのような新しく参入された方に楽しんでいただこう。という趣旨だったのですが……。
ヨハンさんの気概を目にするに至り、むしろ目的を共にして歩むことこそが、真に先輩後輩の交わりであり、真に楽しいものであるということに気づかされました(肯)
是非、がんばってください。
負けませんよっ(笑→注:競争要素は本企画からは撤廃されています) (斑駒)
- マサさん。
どーもです。執筆のほう、がんばってください。
壊れは大歓迎ですが、みなさんのお叱りは受けない程度にほどほどでお願いします(笑)
通りすがり1さん。
チャットではこちらの方こそ失礼いたしました。そちらがオリジナルでいらっしゃることにスグに気づけなくて(平伏)
通りすがり1さんのコメントはいつも的を射ていて、展開予想に常に新しい風を吹き込む役割を果たして下さっているものだと思います。
ですから別人であることには、言われる前に気づくべきでした。未熟者でスイマセン。
でも、そんな私と企画を応援していただけて、すごく嬉しかったです。
これからもよろしくお願いします。 (斑駒)
- ロックさん。
『マリア書きの面目躍如』
……げふっ(吐血)、嬉しいような、痛いような(汗)
なんか最近マリアをお書きになる人が増えて、私の立場(?)も危うくなったようにも感じますし………私も頑張らなきゃっ(笑)
お忙しい中のコメントに、感謝です。
NGKさん。
『初の〜』→ありがとうございます。
でも、企画自体はみんなで作った、みんなのものです(@会議室&チャット)
そして、みんなで頑張って楽しんでいきましょう!
手伝って……いただけますよね?(笑→投稿) (斑駒)
- ぴろしきさん。
うぃ、マリアに圧敗です!(揚拳←何故か誇らしげ)
マリアの嬉しそうな顔をイメージしていただき、ありがとうございました(笑) そこは、最重要ポイントでしたね。
最後のシーンの扉絵化は、参照できるような取材先があれば――(←逃げ)
みみさん。
4万……2か月分でも、8万……。
日本で、しかもマリアのパワフルさなら、けっこう簡単に稼げそうな額ですが。稼いだお金はいったいドコに消えているのやら……(汗)
カオスが大家さんを見返せる日も、そう遠くないのかもしれませんね(笑) (斑駒)
- ブタクリアさん。
初対面ですが、言わせていただきます。
「お帰りなさい」
私は、今年1月ころから顔を出すようになった若輩者、ふちこまと申します。
ブタクリアさん主催の社交場は、私がまだここのROMをしていたころから存じておりました。
経営がトンプソンさんに移ってからも、残念ながら一度として顔を出すことができなかったのですが、新しい社交場を作るにあたっては、ぜひともそちらに挨拶が必要であると思っていました。
事情(さる事件と、その直後の急展開)により、事後となってしまいましたが………
「斑駒です。今回、新しく展開予想の社交場を管理経営することになりました。よろしくお願いします、先輩!」(ぺこりっ)
お暇があれば、ぜひ企画の方にも参加なさってみてください。詳細は、社交場の『会議』の方へ。 (斑駒)
- あはは♪ 大家さんらしい優しさですね♪
新歓企画の発足、おめでとうございます♪(=^w^=)/
私も、夏休み中には後に続きますね〜♪(←いーのか、受験生) (猫姫)
- やっぱり斑駒さんのお話はおもしろいですね。
ドクターカオスとマリア、そして大家さん…キャラクターらしさがでていてよかったです。 (3A)
- 考えてみると良い企画ですね。
『対決』ってゆーストレートなテーマだからこそ純粋なバトル物よりもギャグが出回りそうで。
僕は、この夏は、コメントに専念しますので作者の皆様がんばってください。 (魚高)
- コソッ キョロキョロ そろーりそろーり…
……4号?
「―――!?(ビククゥッ)」
何をこそこそして……(ん? あの手に持ってるのは……あぁ、そうか)
「………(汗)」
ねぇ、4号。カオスの家賃なら、今回は何とかなったみたいだから、そのブタさん貯金箱の出番は無いと思うよ?
「………(しゅん…)」
カオスとマリアの、お役に立ちたかったんだね。
「…………(コクコク)」
それなら貯金箱の代わりに、このスイカを持って行ってあげてくれるかな? きっと、飢えてるだろーし(笑)
「!? ……(コクコクコク!)」
じゃあ、はい。自動車(を跳ね飛ばさないよう)に、気をつけるんだよ。
「……(ペコリ)」
ガチャッ トテトテトテトテ……
――いってらっしゃい。 (黒犬)
- 「「「「(ジィ〜〜)」」」」
(――!?Σ( ̄ロ ̄; 何だ!? この背後からのプレッシャーは!?)
「「「「(ジィ〜〜)」」」」
(この気配……他のみにマリ達か。……マ、マズいなぁ(脂汗))
「4号だけ…」「お手伝い…」「ずるい…」「でち!」
え、え〜と……(そ、そうだ!)……4号以外のみんなには、斑駒さんが何かお手伝いをして欲しいって、言ってたんだよ(汗)
「「「「――! 斑駒さんの・おうちへ・行って来る・でち!」」」」
あ、あぁ…(斑駒さん宅と、斑駒さんを壊さないように)気をつけてね・・・・・・(汗)
「「「「行って来ます・でちーーーーーっ!」」」」
ダダダダダダダダッッ シュゴォォォーーーーーーーッッ!!!(←ジェット噴射音)
…………斑駒さん…ゴメンヨ……(涙) (黒犬)
- 猫姫さん。
……ですよね。大家さんって、きっとこんな感じの方ですよね。
良かった。ちょっと自信なかったんです。原作ではむっちゃ怖いし……(汗)
投稿も受験もムリしない程度でがんばってください。
3Aさん。
なんだか凄くお久しぶりです(←ダメ)
コメントありがとうございました。楽しんでいただけたようで嬉しいです。
魚高さん。
そうなんです。みなさん奇抜な発想をお求めになるので、あまりストレートで殺伐とした『対決』にはなりにくいんですよ(笑)
今夏はコメントに専念なさるということで、少し残念ですが、仕方ないですね。
魚高さんもがんばってください。 (斑駒)
- ……さぁ〜〜ってと。あらかた片付いたかな?
ンゴオオオオオォォォオオォ!!
……ムッ!? 大気を揺るがすようなこの音はもしや……?…しかも、複数!?……!!…まずいっ――
ガッシャ〜〜ン!!
……やっぱりか〜〜〜!!
黒犬さん。
昨晩、突然みにマリ達が窓から元気良く来訪して来ました。
窓際にいた私は咄嗟のことに反応できず、部屋の反対端まで後ろ回り受身で転がることになったのですが、みにマリ達も窓側に立ち尽くして(反重力ホバリング状態)動かないのです。
どうやら部屋の様子がいつもと違うことに気づいたようなのですが……。 (斑駒)
- 「斑駒さん・夜逃げ・でちか!?」元気な声で、1号。
「家出・でちね?」興味津々な様子で、3号。
「早まっちゃ・ダメでち」何を勘違いしたのか、2号。
確かに部屋にはまとめられた荷物が山と積んである。
確かに床の上には置手紙が置いてある。
確かに部屋はすっきりキレイに片付いている。
でも……でもね?
「……引越し……でちね?」
……うん。
5号と顔を見合わせて、軽く溜息をつく。
でも、共感して一緒に溜息をついてくれる人がいるというだけでも、ちょっと幸せ♪ (斑駒)
- 「わーい♪ お引越しでち!」何故か楽しそうに、1号。
「お手伝い・するでち!」手袋をはめなおして、2号。
「斑駒さん・どっか・行っちゃう・でちか?」寂しそうに、3号。
「……もう、会えないでちか!?」私の目をじっと見つめて、5号。
……イヤ、手狭になったから、近くに移ろうと思って。
……いなくなったりなんて、するわけないよ。
私の言葉に、みんなの顔が(1号や2号までも)パッと明るくなる。
そんなみんなを見て、私もすっごく嬉しくなる。
そう。喩えその後に壮絶な『お手伝い』が控えていることを、頭では理解していたとしても……
次の日、廃墟のようになった新居で荷物の上に腰掛け、ドナドナを歌っている人影があったとかなかったとか……(完) (斑駒)
- と、その時、不意にオーナーの耳に、否意識下に声が聞こえてきたのだった。
『そんなに気を落とさず、初めまして。オーナー』
何事かと、声に出さずいるオーナーに準じた答え。
『私は渋鯖男爵が造られた「人工霊魂」の第二号です。私も、霊力さえいただければ、たちどころに・・』
だが、現オーナーに霊力があるか・・なぞである。
(Byトンプソン) (人工幽霊二号)
- 人通りの無い小道。全身を鎖でグルグル巻きにされ、馬に引き摺られて行く黒い犬が一匹。
黒犬「おぉう! 何故に俺が拘束されて町内引き回しの刑!?」
??「ふっふっふ。貴方も飼われ犬とは言え、一応は魔獣(BLACK=DOG)の端くれの末席の隅っこのオマケの出涸らし。私の新居を修復するくらいの霊力、とことん絞りに絞り尽くせば採れるでしょう…」
黒犬「いーやー!(涙) 搾取はイヤぁーっ!(泣) それに、霊力だったら姫(化け猫)にだって…」
??「ふっふっふっふ。私が猫姫さんに酷い事をする訳ないぢゃありませんか…」
黒犬「差別だ! 贔屓だ! 犬権侵害だ!!」
??「何とでも言うが良いです。さぁ……」 (黒犬)
- ――どさっ(←手荷物を取り落とす音)
猫姫「お兄ちゃん……??さん……」
黒犬「ひ、姫!?」
??「……猫姫さん」
猫姫「お兄ちゃんと??さんが白昼堂々天下の往来でSMプレイーーーーーーーッ!!!(滝泣&脱兎)」
黒・?「ちょっと待てぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっっ!!??Σ(゚ロ゚;」
〜続く(斑駒さんにパース)〜 (黒犬)
- 場面は再び廃墟な新居(笑)
今度は畳に長座して、なにやら独り言をブツブツ言いながら、梱包材をプチプチ潰す人影が一つ。
どうやら、事態はより深刻な方向に進んだらしかった。
「ううっ、黒犬さんったら。イキナリ伝説の魔獣の力を取り戻して鎖を引きちぎったかと思ったら、誤解を解くために超音速で猫姫さんを追いかけてくんだもんなー。……まあ、猫姫さんもかなりムチャな速さだったけど」
『オーナー! オーナー!!』
「ああっ、他に霊力を得るアテなんてないし……もう私にはどうしようも……」
『“??”オーナー!!!!』
「なに? 人工幽霊二号。霊力が欲しいって言っても、無い物は無いよ!」
『オーナーにお客さまです! 外でお待ちですが?』
「私に……お客?」 (斑駒)
- ……5号!? どうしたの、こんな夜中にッ!?
「壊しちゃった・斑駒さんの・おうち・直しに・来たでち」
しょんぼりした様子で外に立ち尽くす5号。
……そんな、大丈夫だよ。こんなの私一人でなんとかなるから。5号が気にする必要は無いんだってば。
「でも・直したい・でち。道具も・持って・来たでち」
5号の手には、なにやらバル○ンのようなものが握られている。
……ええっと――なになに。『局所時空転移剤 1日タイプ……これを噴霧した空間は局所的な時間移動を受け、1日前の状態に戻ります』……マジ?
「ますたー・ひのめが・創って・くれたでち」
…………
「…………」
思い沈黙が場を支配する。 (斑駒)
- ――ガランッ――コロコロコロ
乾いた音を立てて、局所時空転移剤の缶が道を転がる……
「……!!」
……ありがとう、5号。でも、これは使えないよ。
「……??」
……昨日5号に。…みんなに引越しを手伝えてもらえて、すごく嬉しかった。この家はこんな状態だけど。これは、みんなに手伝ってもらった証なんだ。それを無かったことにするなんて、私にはできない。
「………」
……だから、これはちゃんと“あった事”として噛み締めながら、私が地道に片付けるよ。
そう言って、足元の瓦礫を拾おうとする。
と、その手にもう一つ、小さな手が重なる。
「お片づけも……お手伝い・するでち!」
……5号――!! ……うん。ありがとう。
夏の宵。
風の通り抜ける家は寒かったけど、心は今までにないほど暖かかった。 (斑駒)
- その風の通り道を利用して、己が本心を語るすべを持った人工霊魂。
「オーナー、お優しい方ですな」
・・・。しかし、それが何になろう。 (人工幽霊二号)
- ――夜もふけて、深夜。
もはや瓦礫の山と言って良い家屋の中、寄り添い合うようにして眠るふたり。
「……んむにゃ…おてつだい…がんばる…でち……すぅすぅ…」
「…むにゃむにゃ…5号は…良い子だねぇ……ぐぅ〜…」
そんな二人の上に、月明かりに晒された三つの影がかかり落ちる。
骨張った長身の影。柔らかな曲線で描かれた、細身の影。そして、小さな影。
『――貴方方はいったい?』
「ふむ。お主が渋鯖男爵の作品2号か。ワシらの事は気にするな。なに、ただのお節介じゃ」 (黒犬)
- 訝しげに問うて来る人工幽霊二号の質問を軽くいなすと、長身の影――ドクター・カオスは、傍らに控える二人に指示を飛ばす。
「マリア、4号。お前達には、瓦礫の撤去を任せる。ワシはこれから、最寄の地脈から霊力の流れを引っ張ってくる作業に入る」
「了解です。ドクター・カオス」
「……了解・でち」
床で眠りこける者達を起こさないように、細心の注意を払いながらそれぞれの作業にかかる三人。
そして――。
「ふむ。上手くいったようじゃな」
数時間後、霊力を供給された人工幽霊二号によって、見る見る内に修復されていく家屋を眺めながら、ドクター・カオスは満足げに相好を崩した。 (黒犬)
- ――くいっ くいっ
と、そんな彼のコートの裾を引っ張る、小さな手。
「ん? なんじゃ?」
「……どくたー……ありがとう・でち」
「ふん。まぁ、気にするな。スイカの礼じゃよ」
右手を伸ばして、もみじのような手を取り、コートから放させる。そのままその右の手を、戸惑うように何回か宙に泳がせてから、自分の腰の辺りに位置する金色の頭に、ぽふんと軟着陸させた。
がしがしがし。――掻き回すように、頭を撫ぜる。 (黒犬)
- 「どくたー……」
うっとりと猫のように目を細め、嬉しそうにカオスの顔を見上げる4号。
(マリアの妹からの頼み、断る訳にはいかんからのぅ…)
結構、満更でもない様子で、皺顔に深い笑みを浮かべるカオス。
――そんなふたりの様を、一歩離れた場所から見つめるマリアの顔に、うっすらと淡い微笑が浮かんで見えたのは、果たして月明かりの見せた幻だったのか……。 (黒犬)
- 「どくたー……」
うっとりと猫のように目を細め、嬉しそうにカオスの顔を見上げる4号。
(マリアの妹からの頼み、断る訳にはいかんからのぅ…)
結構、満更でもない様子で、皺顔に深い笑みを浮かべるカオス。
そんなふたりの様を、一歩離れた場所から見つめるマリアの顔に、うっすらと淡い微笑が浮かんで見えたのは―――果たして、月明かりの見せた幻だったのか……。 (黒犬)
- ↑回線の混雑で、二重送信をしてしまいました!?Σ(゚ロ゚)
斑駒さん、申し訳有りません(平伏) (黒犬@旅先より)
- ↑イエイエ、なんのです(○w○V
旅先からわざわざありがとうございます。
それから、トンプソンさん。
遅くなりましたが、素敵なネタフリありが……もとい、お読みになって素敵なコメントを残してくださってありがとうございました。 (斑駒)
- ――ちゅん ちゅん ちくちくちく――
……んぅ――? 朝?――かぁ 私、片づけしながら、いつのまにか眠っちゃってたんだ。
朝。眠気まなこをこすりながら、毛布をめくって、起き上がる。関係ないが、すごい寝癖頭になっている。
……あれ? ……えっ? あれ!? ……えっと―――
目の焦点が合うにつれ、自分の周囲の異常さに気づく……イヤ、正常さと言うべきか……。
……5号! 5号は!? ……ぁ、隣か。道理で暖かかったと思った。
「フチ……??…んんっ……システム・再起動・でち」
まぶたも開く前に、重たい頭を持ちあげて起き上がる5号。 (斑駒)
- ……あっ、ゴメン。起こしちゃった?
「………。 あっ、斑駒さん・おはよう・でち」
しばらくは無反応だったが、いきなり目をパッチリ開けて、見上げてくる5号。
……おはよ――
「!? あれ? 斑駒さんが・全部・片付けちゃった・でちか?」
……え? 私が寝ちゃってる間に5号が全部やってくれたんじゃなかったの?
「?? データに・ないでち」
「……??」
……??
二人、顔を見合わせる。
そのとき、ふと視野の端に異質なものをとらえる。
天井の一角に貼られたそれは――護符……!
しかも、書かれている文字には見覚えがある。これは――魔法言語……!!
………。
そっと目を瞑り、護符の持ち主にひそかな感謝の気持ちを寄せる。 (斑駒)
- 再び目を開けると、5号が心配そうに見つめていた。
「斑駒さん。どっか・痛い・でちか…?」
突然目を閉じたので、心配させてしまったらしい。
……ううん! ちが……大丈夫!! ちょっと感謝してただけ――!!
ウソをつけない私。焦って余計なことまで口走る。
「感謝……??」
このままでは、折角の無言の計らいが無為になってしまう。
……そ、そう。昔から寝ている間に仕事が片付くのは『小人さん』が代わりにやってくれるからだって言われてて、だから今回もそうなんじゃないかと思って。
言い訳も、苦しい。
「小人さん……でちか?」
……そう、小人さん。
「……」
……。
沈黙に、冷や汗が出る。 (斑駒)
- と、突然。
5号が中空に向かって叫んだ。
「小人さん! ありがとう・でち!!」
……!! ………。
5号はどうやらあの苦しい言い訳を信じたらしい。
取り敢えず、本当の助力者の意思を尊重できたことにホッとする。
同時に、5号の純粋さに少し胸が痛む。
(……でも、別に騙しだわけじゃないよね)
心の中で、誰にとも無く、呟く。
――とてぱた、とてぱた
5号は家中を歩き回って、嬉しそうに『小人さん』の仕事を見て回っている。
夏の早朝のすがすがしさのせいか、家までもが嬉しさの波動を発しているようにも感じる。
(……良かった)
細かいことなど全て忘れて、ただ一つの想いだけで胸がいっぱいになる。
(……本当に、良かった)
森羅万象に感謝の気持ちを感じずにはいられない、そんな一日の始まり。 (斑駒)
- そんな二人の様子をただ黙ってじっと見守る者があった。
言わずと知れた人工幽霊二号である。
昨晩の一部始終を知る彼は、そのオーナー達に事実を伝えることもできたのだが、
彼はそれをしてしまうような無粋者ではなかった。
尤も、5号が中空を向いてお礼を言ったときには、
思わず「いいえ、私なんかよりも……」と応答し、全てを暴露してしまいそうになったのだが……。
彼にはオーナーの心の呟きも聞こえていたのだが。
肯定の声をその心に伝えることもできないほどに消耗しきっていた。
しかしそんな状況でも、不思議と疲労感は全く無く。ただ清々しさのみを全身に感じていた。
それは場に充満した、歓びの霊波動のせいだったのかもしれない。 (斑駒)
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